「なめらかな舌」というフェティッシュな小説タイトルの小説を読んでいた。
正確にいうとネット小説だ。出典は日本人ではない。解説らんを読むとタイ人の女性作家らしく、誰かが日本語訳をされていた。
なめらかなした、なんていうとアダルト小説か?と一瞬思うのだが、これがまるで違う。
「ねぇ!重たいっ!てばあ!、、、」
「今さっ、アサイーとさコンシーラーの韓国のやつ探してるから、だから重たいから」
俺の頭をグリグリと彼女の足のつけねあたりにくいこませる。後頭部で。ちょうどごりんがりの短髪がいいかんじとのこと。
うるせーなーと思いながら、「なめらかな舌」を携帯で読みかけていた。
われわれ2人は、コトが終わりやや全裸でダラダラしていた。
なめらかな舌は、自殺したい女性が主人公。毎晩眠られない、か細いミクが主人公。いつも裸じゃないと寝れないミク。薄いタオルケットをかけ、ひたすら死ぬ、生きる、死ぬ、生きるというそれぞれのモードを想像する。
生きるモードでは、食べ物や過食してる自分を想像する。死のモードでは、どうすればはやく死ねるかいろいろな死を裸で考える。
飛び降りる
薬をオーバードーズする
ひかれる
刺される
なんかないかあれこれ考え続ける瞬間がたまらなく冷たく好きになる。
本当に怖くなるとミクは、過食する自分を想像する。生のフェイズだ。
こないだ考えたミクの最適な過食は、よくあるコンビニだ。できるだけ最速で、できるだけスリリングに食べまくる何かを丹念に考えるのが楽しい。気持ちよくなると細い大腿部のところをキュッとつねる。
ミクが自分で自分をつねる。だいたい左大腿部のところをつねくりまくってるので、いつもラズベリーの香りがする台北産の湿布を貼りごまかしている。世間体を。湿布の名前は「マーラーカオ」だ。
過食するコンビニの幸福な興奮は、こんな感じ。自動ドアがあき、真っ先にミクが好きなパスタの所に行き、パスタの容器をひとつ素早く手にとる。出来れば「カルボナーラ」だろう。
カルボナーラは、ミクがこの世の中で一番ながしこめる食物だ。
持って安定をきめこんだら、勢い良くビニールをはぐ、そして生菓子コーナーに行き、ビニールに包まれたクリーム菓子、マリトッツォのビニールをはぎ、カルボの上にのっける。
いやぶっ潰す勢いで、カルボナーラの上にひねり潰し気味にひたしぐちゃぐちゃにする。
そして回りの客と言われる人間たち、店員とか言われる人間たちをガン無視する。
グシャッマリトッツォカルボが出来た瞬間、そのコンビニの床に座り、あぐらをかく。
グシャッマリカルボを前に私は、両手をいつでも捕まっていいように強く背中側で両手を握りあう。これはとても強く握る。銅像のように、鋼鉄のように握らなければならない。
そしてあぐらの状態から一気にミクは、口をその床に置いてあるグシャマリカルにツッコミ、犬のように、口元をハグハグしながら、クリームをなめ、パスタの麺をむしゃぼり、卵、ベーコンを顔中にあびる。クリームの質感が化粧品のようで気持ちが良くなる。最高のナチュラルエクスタシーを食いながら、顔面に感じる。あまりのスピードで、若干血の味がすると思ったら、クシャマリカルに血が混じり、なんだか急に別のわたしの味がはいる。
んっ!
血のしょっぱさをクリームで紛らわして
むしゃむしゃむしゃむしゃ
ばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃ
甘さとカルボナーラのくだけちるパスタ麺と血の味を尋常でないスピードで食べまくる。顔を床につけまくり、両腕を後ろで組みながら。
捕まるまえに、ざわつくお客とかいうやつらになんだかやられるまえに、たまらないあの血のクリームカルボを食べる自分を想像した。
気持ちがよかった。暴力的に引き上げ、止められる瞬間までミクは、想像した。
ミクは、考えていた私の気持ちよい行為を邪魔する奴には、私の咀嚼物を全部口からぶちまけてやる気満々だ。
ぶーーーっとふきかけてやるんだ
ぶーーってね、服なり、腕や、顔に、、、、、。
ミクが裸で死のモードを考えていたら、喉が痛くなってきた。薄い白いロンティ七分袖をきる。パンツをはき、サイキのジャージーを着る。
あぐらをかき、喉をゆっくりさわる。何もない事を手でさわる。ゆっくりと自分の喉を触っていると、舌を触りたくなり、舌を指でからめる、、、、、。
「あっ!あった!韓国のアロエマスクもあったー、うわあタッカー」と彼女。
俺は肝心な喉から舌の描写を読みかけていたので、「アロエマスクってな~に?」と茶目っ気たっぷりに変なトーンできいた。
彼女、、、、、、、、、、。
俺。無視された。
ミクは、喉と舌を指で確認しながら、舌の柔らかく肉厚のある舌をぷにぷにさわる。そして喉がキリキリと痛みはじめた。
まるで彫刻刃でぐりぐりぐりぐりやられてるかのような痛みに変わってきた。
あぐらをかいていたが、いてもたってもいられなくなる。すぐ立ち上がり、部屋のドアをあけ、階段を降りる。
喉がグリグリとグリグリと痛くなる。グリグリグリグリグリグリと痛い。コロナなんてもんじゃない。
階段を降りるとそこに犬小屋があった。「ポジ」と書いてある犬の小屋。
どこにでもある犬小屋だ。犬小屋には、穴が空いている。犬はいなかった。そこに喉を押さえながら近づいていった。
そうするとものすごい吸引力の大風がミクの足をすくった。足が犬小屋の穴にとられた。犬山市の穴なんてたかがしれてる。
しかしミクの華奢な体は、あっというまにすいこまれた。
真っ暗な空間は、宇宙空間のような浮遊に包まれていた。一瞬気持ちがよかった。
ホワホワと浮いていた。
しかし、いきなり白い閃光がみえた。まぶしかった。白いおおきな丸いひかりの穴があいた。
そこから、50メートル級の柴犬の顔がクリームまみれになって出てきた。ネトネトの巨大柴犬が、いきなり100メートル級の長さ舌をだしてミクを包んだ。冷たい毛布のようなポジの舌に包まれ気持ちがよかった。なめらかな舌に全身くまなく包まれた。服は、ポジのつばで溶けていった。裸に繊維質のピンクの舌は、まるで肉布団のように全身にひたひたに巻き付いてきた。セックスより気持ちがいい肌触りだ、。
と、思った瞬間。
舌から1億本級の針がにゅにゅにゅにゅと
一瞬でミクは、血まみれになった。
デカイ顔のクリームポジは、ミクを舌でひねり潰して、のみこんだ。
「ねぇ、ねぇねぇ、あったよー」彼女は、まだネットショッピングをみていた。
俺はなんだ?この小説とおもいながら、携帯から目を離した。
そして彼女の太もものあたたかさに身をゆだねた。スヤスヤと。気持ちよく。
おわり