星5、0 キューブリックのシャイニング。北米版について
1980年原作スティーヴンキング。
脚本ダイアンジョンソン。
脚本監督スタンリーキューブリック。
キューブリックが多分チェック済みの予告
キューブリック亡き後の本編散りばめた予告編
私の大好きな映画監督スタンリーキューブリック。
その中でも1番ホラー映画っぽい作品。そしていわゆる付属の話として語られる原作者が気に入らないとされる映画。原作者は天下のホラー作家、スティーヴンキングだ。
午前10時の映画祭11で上映されるという事で、令和3年8月。私のキューブリック祭、ティジョイ新潟で見てきた。前から3番目の席かぶりつきでみてきた。
まず、引っかかた事。
この北米版というのが、やっかいで。結論は、あんまり良くない。
なにせ既存発売されたのは119分。この北米版は143分。23分長くなっている。まあ好きなんでいいのだが、。果たしこの〈北米公開版、4Kリマスター〉が、スタンリーキューブリック演出にどれだけ本意で望んだのか甚だ疑問だった。
まあこのゴゼジュウは、新しいバージョンをやたら見せたがる感じなんだけど、本来の作品意図を尊重するなら通常バージョンを上映して欲しかった。「ワンスアポンアナイムインアメリカ」の特別編集版の鑑賞体験も同様な感慨。
それが見たことないカット満載。が、ひいては、レビューに指摘あったが、間延びしていたように見えた。
物語を補填はしていたが。ホテルは、インディアンの呪いがあるとか、細かい見たことないカットがあった。
あと1番がっくりしたのは、あの酒場に行くといかにも幽霊が腐敗した姿でいるカットがあった。あれはまあわかりやすいけど見たくなかった。ていうかキューブリックが絶対入れないカットで酷く余計だった。見た瞬間「えー」って思っちゃった。
「THE SHIENING」
からひきこまれた。またほぼ内容は忘れていた。見ながら思いだしていた。
前から3列目、かぶりつきで見上げていた。
例のエスカレーターからの血が大量に溢れるシーンでゾワっとした。
エレベーターのシーンは3回撮り直し。1回やると清掃、入れ替えに9日かかり撮ったとのこと。あのシーンが凄いのは、血の量が多くてソファが動いてるのがわかる。予告編からわかる。本編はサブリミナルっぽい使われ方だ。
そこにニコルソン一家がくるのだ。

この3人がまた名演技を魅せてくれる映画だ。
酒を断った教師から小説家。書くのに都合が良いとはじめは言っていた。次第に豹変していく。中盤でテニスボールらしき物をおもいっきり室内にぶち当てキャッチボールする姿からジャックのおかしさがはじまる。そしてそこに子供への暴力があった事がノイズのように走る。
必見のラスト。今や伝説かつホラーアイコンになってしまったドアからニコルソン。
この扉破りシーンも何十回もテイクを重ねている。ヴィヴィアンのメイキングにも気分を高めるニコルソンが映し出されている。ブツブツ悪口を言ってテンションを上げていた。
ラストのシーンのハラハラ感は、実に素晴らしい。ステディカムの迫りくる所が良い。
今回の北米版は、20分以上足してあるのが、キューブリックが望んでやってないのと、どれだけ足した場面に演出が及んでいるのか微妙なんで実質星4.3というところなんですが。
やはりキューブリックのシャイニングを劇場で見れたのが大満足。そんじょそこらのホラーではかなわない作品でありました。
特典映像みてて、前作「バリーリンドン」がコケてかなり焦っていたキューブリック。ワーナーからの打診で小説を読んですぐ映画化したというある意味キューブリック低迷期打破の作品だったようです。
ジャックニコルソンの起用は、ポシャた幻の作品、「ナポレオン」で出演依頼していたジャックニコルソンからきているようです。キューブリックの「ナポレオン」も確かに見たかった、それもジャックニコルソンで、、。
きっと西洋偉人ものもう一回「バリーリンドン」あてて、やるつもりだったけど、駄目になったんですね。「バリーリンドン」確かに長い地味で綺麗でちょい残酷な洋風昔話なんで、ヒットしなかったんでしょうか?!
全然関係ないけど、あのステディカムが本当大変そうで。カメラを赤ちゃんの抱っこ紐のように男性の前側に括りつけたような状態で走り回って撮るんですよね。カメラかついで走ってるようなもんで凄いです。メイキングで見たけど。キューブリックだから何十回もカットを重ねます。
ちなみに本作ワンカットに200カット弱かけたとしてギネスブック認定されてます。しかもそのカット採用されず、カットされ無駄になった記録あり。キューブリックあるある。めちゃくちゃカットをリメイクする、納得するまで完成しない、完璧主義、完全主義が出てきます。
一見本作シャイニングって、グロいわけでもないし、わりと不親切なカットワークだし、演技もわりと過剰満載で、万人受けするようなホラー映画には見えない。
殺人シーン1ヶ所。あとはシャイニングと言われる幻想シーンがいきなり差し挟まれ、親父が大きなホテルで発狂殺人する映画だ。
ラストのカットもわかい頃のジャックニコルソンが1920年代の写真に載っていて、輪廻転生したの?的カットで映画は終わる。
迫りくるカメラ、押しよせる血、ホテルであったであろう殺人・呪い、発狂するジャックニコルソン、キューブリックが挟むシャイニングモンタージュをただただ見つめる映画だ。
名作とは思えないが、独創的にキューブリックが撮りあけたホラー映画として私は大好きな一本だ。また見直していきたい。
さて
キューブリックのシャイニング北米版
ぜひシャイニングファン、キューブリックファンはぜひ!ご覧ください。
追伸
キューブリック「2001年宇宙の旅」も午前十時の映画祭で見たので近日遅延覚悟でレビューします!
こうなるとキューブリック全作品レビューしたくなりますねー。「ドクターストレンジラブ」とか「アイズワイドシャット」(再レビュー)とか。
















