星5つ 輸送船ノストロモ号のエイリアン

【ネタバレあり】


1979年作品

製作ゴードンキャロル、デヴィッドガイラー、ウォルターヒル。

原案脚本ダンオバノン、ロナルドシャセット

監督リドリー・スコット





2000レビュープロジェクト。あと2つで2000になるレビュー。大事な作品をレビューしたいと迷っていた。迷いに迷いみるも却下、見るも違うと思う作品もあった。


冷静に積み棚を見てよーく考えてみる。レビューしてないのがやっぱり出てきた。その中のDVD。エディション2枚組、予約して買った本作「エイリアン」だ。


 出会いは、幼稚園かその前の赤子時代。私は劇場で走り回っていたらしい。のちテレビ放送で見た。めちゃくちゃ怖かった。リプリーがセクシーに見え強かった。このイメージは、シガニーウィーバーに憑依してシガニーの女優人生を決定づける。人気があるゆえの宿命のよう。

ベータビデオにテレビ録画したやつを何度も見た大好きな映画だ。シガニーの着替えるシーンは、セクシーだった。


ちなみにエイリアンシリーズ、「エイリアン2」は超大好きでアルティメットDVD所持。

「エイリアン3」からは、認めない主義。かなり「エイリアン3」でがっくりした。「エイリアン4」はウィノナ・ライダーがでるやつは未見。リプリーが丸坊主になって映画雑誌見てがっくりした。エイリアンの頭皮真似する必要ある?って疑問もった。

「エイリアンVSプレデター」は、兄貴と劇場鑑賞。そんなエイリアン鑑賞事情履歴。

エイリアンのジャスコTシャツをガシガシ着る人になる。


のちテレビでカットされてる所を見てみたいからこのDVDを予約ゲット。(たしか今はなき「石丸電気」購入)何度か見てる。特典映像3時間強も鑑賞済み。音声解説はまだ通してはきけてない。


ひさびさに「ディレクターズカット版」、ジメジメした令和3年梅雨、鑑賞してみた。

 のち、劇場公開版はしおり鑑賞。数々のレビュー読み、メイキングを見た。


 

 

 

 

 

ディレクターズカット、ソフト化によって何回か直しを入れたというリドリー監督。

「ブレードランナー」の成功からいくつかのバージョンを作ってよいと称号が与えられているかのよう。本作しかり「グラディエーター」から「悪の法則」「アメリカンギャングスター」まで調べるとみな別バージョンが存在していて驚く。みんな見てみたい。リドリー・スコットは、お気に入り監督だ。


 ジョンハートからエイリアンが生まれるシーンも同様。臓物やら肉の血やらで撮影は生臭かったという。必見の肉肉しさ!


 エイリアンの卵の中は、牛の胃だそうだ。リドリーは、特典映像で撮影当時、近所のお肉屋から買ってお世話になったという事。


リドリーは、当時参考にした映画に「悪魔のいけにえ」を挙げている。あのレザーフェイスが直接襲う感覚は、エイリアンに影響したといってる。間違いなくラストのリプリーとエイリアンが一揆うちするところは間違いなく影響大であったろう。


忘れてはいけない本作の重要人物、それはダンオバノンの存在だ。

蝶ネクタイのダンオバノン。情熱的に話しまくるダン!

脚本家ダンオバノンだったが、本作の船内イラストやら造形物等、現場に入った。口を出し、美術班を見つめていた重要人物だ。

その中にギガーも、カルロランバルディもいる事を忘れてはいけない。


「ダークスター」をジョンカーペンター作り「砂の惑星」でアレハンドロホドロフスキーに共鳴、創作、頓挫した体験は、「エイリアン」に多大な影響を与えたのも確か。

映画がだめになった経験をダンオバノンは、エイリアンにぶつける。「砂の惑星」体験ですっかりお金がなくなり本作の脚本に奔走する。お金がなくなり製作に入ったそうだ。

ある日、オバノンが「今日のラッシュが見たい!」と言うと


「そんな権利はない!いやなら訴えろ!!」


と会社サイドは強気に出たそう。そんな裏話を赤裸々に語るダンオバノン必見の特典!!


リドリーは、現場にダンオバノンを任せる事を承認。この事実は忘れてはいけない。

ダンの脚本は、製作が進む上で書き直しに書き直され、ご立腹だがそれにより、リプリーの女性主人公キャラ、アッシュのアンドロイド登場のプロットが加わった事は大きな事実だ。

それにウォルターヒルとデヴィッドガイラーの手腕だ。脚本ひとつだが、直されたダンは、激怒だが、それが名作につながる。あのエイリアンの惑星造形、船内を作り出し舞台は整っていった。つまり力は良い意味で全部爆発しているように思える。


監督選定は、ウォルターヒル、ロバートオルドリッチとバトンがつながるが、エイリアンを大事にしない感覚だった。


オルドリッチは、


「フェイスハガーは、クレーンで顔に乗っければいいだろ!」

と投げやり。


そこで「デュエリスト」でカンヌ映画祭新人賞を獲得したリドリー・スコットに矢が立つ。

ストーリーボードを書き、船内イメージは「2001年宇宙の旅」だとのこと。確かに宇宙スーツは、2001年に良く似ている。

エイリアンを単なるB級にしないセンスがあった。ギガーのエイリアン造形にとことんこだわったそうだ。そこは絶対譲らなかった。あとメイキング見て思ったのは、リドリーがその時新人扱いだったのも逆によかったのかもしれない。

リドリー自身話しをきいてききまくって、ココっていうポイントは主張していたようだった。撮影遅いとか、

莫大なセットとか、

隠れセットとか、

製作陣との駆け引きも上手であったことも重要だ。リドリー自身「劇場公開版」にかなり満足しているようだった。

新人だった自分の立場をよく理解していたようだ。この時リドリー41、40歳。よくリドリーは、インタビューで「デビューが遅かった」と言う。その後のキャリアは言わずもがな。今や全ジャンル制覇監督に見える。大好きな監督だ。最新作がやはり処女作「デュエリスト」に戻り、剣士物に回帰した感じなんで、最新作の公開が楽しみ!!


最初は断ろうとしていたシガニーウィーバー。よかったね!引き受けて。リプリーの素晴らしさ、キャラ立ちは、以降続編でよしにせよあしきにせよ話しの中心に。

シガニーの初主演映画だった。スクリーンテストでは、かなり野性味あふれる感じでテストしたそう。リドリーは立ち振る舞い一発で「リプリーだ」と思ったそうです。候補者としては、最後のほうだったそう。

ラストの台詞無しのスーツを半裸体から着こなし、エイリアンを見つめる目必見。シガニーが永遠のヒロインと化した名演の瞳だ。
この化け物を見つめながら、宇宙服に身を包むシーンは、セクシーシーンであり、戦闘を感じさせる覚悟のガン見である!

他船員は、文句言いの技術者、ヤフェトコットー、ハーリーディーンスタントンがいる。
宇宙船ノストロモス船員一堂。この素晴らしい適役適所の素晴らしさ必見!


スペースジョッキーのセット。エイリアンが運転する席という想定。ばかデカイ、しかもミニチュアでわない、だから凄い迫力。

リドリーは、スタジオの隅々までセットを作り予算オーバー。ゆっくり撮影に、スタジオ側も頻繁にピリピリ見に来たとのこと。

このセットを見る映画でもある。宇宙船を見つめる映画でもある。閉鎖的空間を見る映画だ。宇宙船内映画だ。惑星着陸映画だ。この造形美が必見!


エイリアンの性的イメージに見える頭。テラテラしたヌメリ。まるでペニスのような細長い頭。ギガーの素晴らしい想像力。ギガーに影響受けたPCエンジンがあった。ゲーム人がこぞって仕事したくなる気持ちもわかる。


ギガーの個展にも見えるほどの造形美、怪物美。エイリアンの気色悪さを見る映画だ。


 ギガーが、「麻薬をしないか?」と話しかけてきたとダンオバノン。ダンオバノンが個展の画集を見てびっくりしたそうだ。あまりにも素晴らしい画力の画集でパーティーで見いったとのこと。自分の悪魔的イメージにナイーブに悩むギガー(下記写真)

船内に住み着くあの執念深さ。デカくなるエイリアン。


みえない、みせないは、リドリーのこだわり。


観客に想像させたいが為の小出しにだす演出だったそう。「エイリアン2」の出しおしみなく大量に出現するのは、本作ファーストを受けている


エイリアンのあの造形必見。口から口が出る発想が素晴らしい!ギガー、ランバルディの功績!フィギュアも売れまくってるでしょう。今もなお?!

ある意味エイリアンを見る映画。怪物映画の成立、SFホラー確立を決定づけた映画といえる。「スターウォーズ」のヒット受けて、このSFテイストいけると思ったそうだ。


冒頭、茶色の霧のような画面。静かな音楽が鳴る。そこに画面上に次々とゆっくり文字盤のような白い線が現れてくる。
タイトルバックは、「A L I E N」と出てくる。
次第にタイトルだとわかる。最初時計の文字盤かと思った。それはこの先の展開を予兆する。次に貨物船ノストロモがうつる。
 タイトルバックの素晴らしい不穏なスコアを是非味わってほしい。
一字、一字に音楽スコアに不穏な音が必ず流れているのがわかった。本当にかすかだが。

ドコンドコン
コンコン

みたいな音がクレジット文字が出るごとに鳴り響く。ぜひ必聴なクレジットだ!

音楽はジェリーゴールドスミス。冒頭音楽は、「直してくれ」と性急に急いで作った不本意な音らしいが、それが功を奏する。ジェリーはもっとドラマチックなスコアを用意したようだが採用されず。本人も不本意なメジャー感に納得いってなかった様子。だが、作品の出来に満足しているようだった。

冒頭は、船内、離床、惑星上陸。この流れがちょっと昔みたバージョンと微妙に違ったように思う。

かなりカットを足してる気がする。導入がゆっくりかつ長いのがデレクターズカット。みると確かに冒頭のカプセルから起きるまでが少し足して見えた。また船員の演技がかなり足されている。船員の着陸をめぐるまでシーンが足されていて必見。みんなこんなに喋ってるんだと思うほど喋りのシーン追加。ファンはぜひ!みてください!本当微量な付け足しだが。



着陸したあのエイリアンの惑星も、あの大きなエイリアンの運転席のような物体も、あのエイリアンの卵もそうだ。CGじゃない、作ったのだ。必見のセット各種が本作の最初の見せ場だ。


ケイン役は、糖尿病によりカメラテスト中に体調不良になったジョンフィンチから、ジョンハートが面接翌日から急遽出演することに。本作から世界中にエイリアン男として認知されるジョンハートだった。最初怪物のSFときいて、嫌になったというジョンハート。

まさかエイリアンを生む男として世界中の映画ファンから気色悪いイメージを引き受ける。


ジョンハートは亡くなってしまったが、スピルバーグの「インディジョーンズ4」に出演したとき、個人的にテンションが上がった。さすがスピ様と思った。


ジョンハート。よくこのジャケットみると「ノストロモス」と書いてあって、手のこみ方が素晴らしかった。


何度も見てもこの出産シーンが気色が悪い。あの吐き気をもよおすシーンの素晴らしさは、本当必見。サラダのようなものを「お腹すいた」的にほうばる。見つめるアッシュの冷酷な目。それから叫びながらのけぞり、血がスプラッシュする。さらにまたスプラッシュするとあの子供エイリアンが登場する。凄い奇声とともに。
このシーンを見て試写会の案内女性が気絶したそうだ。また、この生まれるシーン、子供を生む女性からは、不評が多いとリドリー。その理由わかる。全然良いイメージではないから。

よくきくと血がぶっかかったもうひとりの女性船員ヴェロニカカートライトの

「オーマイガァアアア」

がきこえる。血の量が思いのほか飛び散った矢先のリアクションだったらしい。

リプリー役だと思って現場に行ったとヴェロニカ。実際は違ったとのこと。
リプリーを殴るシーンが付け加わっていた。フェイスハガーが顔について、そのようすを見る部屋の外。リプリーが来るといきなりつかみかかり殴って、コットーがふたりを引き離す場面が加わっていた。
ヴェロニカは、全然喋っていない印象だったが、こんかいのバージョンでカット追加になり話していた事に気づいた。

ひとりひとりがいつ?出会うというホラーというよりスリラー映画要素が、中盤から映画の様が変わってくる。

船長のトムスケリットが襲われるシーンの閉鎖感の素晴らしい老い詰められ方。この探知機、近づく、探知機近づく、逃げてーは、もはや、ホラーで定番設定になったと思う。その元祖かも。

  「エイリアン」といえば、フェイスハガーの気色悪い手術シーン、あれはカキだそうだ。敷き詰めた。必見!ちなみにフェイスハガーが襲ってくるショットは、細かく見ると複数のカットを瞬間に重ねて襲われた感じを劇的に魅せている。コマ送りするとよくわかる。ここでも一瞬しかうつさない。

誰がやられる。
どこにエイリアンがいる。
助ける、探す、指示する、逃げる捕まるの設定だ。猫のくだり。このへんも「エイリアン2」では、子供をリプリーが探す的シーンに進化。 

みんな猫を探すとき「キリキリキリ」か「キリキリキティ」と呼ぶ。異言語な感じ。

ずーっとこの恐怖が閉鎖的宇宙船ノストロモス号で展開する映画だ。エイリアンとの戦いを静かにじっくりとみつめる。

中盤そこに意外な波乱を巻き起こすのがイアンボルグ扮する、科学者アッシュの存在。まさかの展開は、リプリーとの規約違反をめぐる対立だ。

このイアンボルグの例のシーンは、私トラウマになっている。なにせ小学生が見るもんじゃないくらいのトラウマ。あの汁顔、プランプラン具合。気色悪くて、あの牛乳が口から吐かれるたんびに、「飲み込んでよ!化け物ロボ」と思ったりしていた。シーン最後にコットーが火炎放射器で焼き払う時に胸がすーっとした。2度焼いて下が仮面みたいなのが出てきていた。
 ちなみにこの生首をくっつけるトラウマシーン。この細いコードのようなやつは、スパゲッティの麺(笑)だそうで、きいて爆笑しました。スパゲッティなんだー!あれ!みたいな。フェイスハガーの牛の胃袋といい食事をグロに魅せる正しいSFXだ。
 ノストロモス号にエイリアン以外でも会社的エイリアンがあるというこのロボットの存在は、以後続編にも生かされていく。エイリアンの生み出した代表的なプロットになっていく。
「プロメテウス」でも重要になってくる。
またちなみにちなみに、ヤフェットコットーは、アドリブ豊富で、あまりにも多いんでシガニーも困ったとのこと。

ひとり、。またひとり、、。と襲われラスト付近、時限爆弾をしかけ、サイレン鳴り響く船内を駆け回るリプリー。この爆弾をしかける機械操作のシーンも結構時間をさいている。
なんか灰色の筒みたいなやつを出したり、回したりして爆発の手続きを踏ます。普通だったらカットしたい所をやっぱり時間をさいて魅せる。それがエイリアンだ。
 そしてやっぱりその感覚は「エイリアン2」にも引き継がれていく。あの馬鹿でかい宇宙カニ挟みマシーンとかに進化していく。

 そして脱出できるか!どうか?エイリアンはどこに?みたいなラスト。意外なラストは、いつ見てもハッとする。ていうか、エイリアンが、船内に馴染み過ぎ、色が船内機器と同色過ぎで何度も見てるとソコばっか気になる。

今回のディレクターズカットで一番驚愕だったのが、エイリアンに捉えられたメンバーが蜘蛛の巣のような所に吊り下げられてるシーンがあり、新鮮びっくり。
船長のトムスケリットがゾンビ顔でキルコールを言うというおぞましいシーンがあり、何度も劇場公開版ばっかし見てたんで、普通にびっくりしました。繭がデカくて捕獲してたんで奴はと思われる。未見の方は、是非!

ラスト死闘必見!シガニーが決めて、船外に噴射される。あのシーンの音楽に注目。あのシーン、いかにもエイリアン!怪物ものに相応しい大袈裟な音楽で、これを冒頭らへんに持ってきたかったとジェリーゴールドスミスは言っていたが却下されたよう。

やはり冒頭の
なるか?ならないか?
奏でてるか?奏でてないか?
のあの音楽は実に素晴らしく、ラストのこの音楽聴くとなんかいかにも「宇宙怪人エイリアンでましたあー」みたいなスペクタクル音楽に思えてしまう。

安堵のリプリーを見つめるとようやく静寂。見ている我々もホッとする。

本作のシガニーの功績も凄い!
この顔、喜怒哀楽、戦う瞳にみんな持ってかれる。
シガニーは全然関係ないけどウディアレンの「アニーホール」にチラッと出ているとか。ていうか確認した記憶あるけど忘れちゃった。

いやあ本当に素晴らしい名作だったし、何度見ても気色わりーし、何度見てもイライラするし(主にアッシュとエイリアン、あのテケテケエイリアン。あれ完全に「シンゴジラ」のあれ本作から影響受けてるよね)
素晴らしかった。劇場公開版もディレクターズカットも両方好き。だけど軍配はかなり劇場公開版が素晴らしカッティングだったのが、よーしわかったディレクターズカットでした。




さて

輸送船ノストロモ号のエイリアン


ぜひ!名作です!ご覧ください。いやもし見てない方は、羨ましい!



追伸

令和3年下半期レビュースタートします。改めて見て頂いてる誰だかわからない!あなた!

大変ありがとうございます。


レビューを今回3週間ほっとき休暇しまして、また再開します。マイペース変わらず挙げられたらと思います。