ベルリン映画祭国際評論家連盟賞受賞
脚本佐藤有記。
監督瀬々敬介。
アンダーグラウンドからメジャー難病物、娯楽大作まで撮りあげている瀬々敬介監督。
最初作は、なんと「女相撲」という事で「菊とギロチン」が公開中。
渾身のやりたい作品の匂いがする。
そんな瀬々監督の長編映画が誕生。ツィッターで知る。何やら四時間強の作品。わがシネウインドにて上映もしていた。ソフト化ならないかなあ?と心配してたら見事ソフト化。裏ジャケ見るとクリミナルな文字。瀬々監督のテーマっぽい「殺人」「人間関係」の様子。
瀬々作品は今や全国区「千原兄弟」弟、千原ジュニア主演の「ヒステリック」のみ鑑賞。何気にボーイミーツガール物の小さな傑作。昨今瀬々監督とジュニアのトークショーも開かれていた。行きたかった(東京に嫉妬)
上巻見てすぐに下巻をレンタルして鑑賞しました。
まず殺意殺人の消極姿勢のお話しだというのを受け入れられる方という大前提でお願いしたい。
そんなんあり得ないとか
いきなりそんな行為とか
いやあそれはねーろそこでとか
そんな連続映像だ。
だ、か、ら、あえての面白いネガティブ物語。作家性の強い映画である。だから面白いと思う。少なくとも妥協なき世界観を魅せてくれていて見ていてとってもすがすがしさも感じた。規制や事務所駄目だしも何ものもない感じの潔さも感じた。
あと長さ278分を体感覚悟必須だ。
とりあえず2018年自宅鑑賞今のところナンバーワンの圧倒的重たいお話しぶりで引っ張る瀬々殺人から沈む天国物語のうらみつらみ。
おもーたくも面白かったです!
9章からなる物語。
物にまつわるサブタイトル。から連なるやる人やれられる人と繋ぐ太陽、団地、僻地。
一見すると詳細な相関関係を頭に描きながらも、次第に見ていくと
どうやら悲しくも
何かにとどまる悲しみ
涙
憎しみ
あきらめない
セックス
気まぐれ
隣
たまたま
水
消失
廃墟
突拍子行動
殺意
家族
子供、子孫、以心伝心
再生
人形
失意
どん底
代行
逃避
寓話
自然に溶ける
天国、ヘブン
自分たちのヘブン
等々
さまざまな単語を見ながら俳優のもみあい、悩み、追いかける姿を通す
次第に論理的に繋げようとする筋オイたる思考は、画面上の苦しみに重ねつつ、
瀬々監督の表現するキャラクターの姿に何かを見る。
ラストの説明過多なんかもしれないが、私はそんなん思わずの歌も含め、大変面白かったです。
圧倒的な柄本明と佐藤浩市の素晴らしい存在感必見。
特に佐藤さんってこういう曲がった役が見れるのは、本来の日本映画の見所だと思う。佐藤浩市=真面目、熱血、一途みたいや役ばかり。なんでこういうぶっ飛んだ反対価値の役を見たい訳があると思う。
ムラジュンとヘンテコなやりとりのなか瀬々監督の廃墟ワールドが展開。この話必見。
村上淳も本作参加が強烈な印象になっているようです。インタビューにあり。
見ていくうちに確かにこれは一般劇場では出来ない事象がいくつも出て来る。シネコンにかけられない感じ。自主制作に近い本作だからこそ撮影1年、撮りながら脚本追加していき3時間が4時間になっていったよう。
中盤に入り
誰だこの圧倒的女性に歌手の山崎ハコさん。忍成君と瀬々ワールドをさまよう。
忍成君は、裏若手のネガティブ俳優だが、もっと売れてほしいですね!「リリィシュシュ」でお見かけしてからの久々の再会。
全編にほぼ出る長谷川朝陽。なんか見たことあるなあと思ったらコント集団「ジョビジョバ」の方だった。
監督曰く起用理由
「雀荘にいそうな人」
とのことで。熱演力演しておりました。もっと活躍して欲しい。深い悩みの瀬々谷に挟まれている役だ。
そして本作の子ども達も必見。全然ナチュラルな子ども達ではない。
ゆがんだなかから
もがき走り
間違いなく間違いにむけて
一心に突っ走る
自分たちの天国を探しに。
瀬々監督の投げ出した
ヘブンズワールドに時々ドキドキしながら、ラストなんとも言えない感慨になりました。
瀬々監督インタビューに黒沢清の「CURE」を明確にあげていて本作影響受けたカットがありましたね!見たときまっさきに思ったが、やっぱそうだった。
なんか瀬々監督に
人は殺す可能性もある
殺される失意もある
そのなかに俺は俺をうづめて真剣に考えてみたよ!俺のヘブンズストーリー。長くても見てみろよ!ほらっ!なにが広がる!っと言われたような。
瀬々監督の天国にあの屋上風景と眩しい日差しと悩み奔走する残像を私に残した気がした。
さて
瀬々監督、渾身のヘブンズ!!ロングヘブンズストーリー
瀬々監督ファンは、ぜひ!