周防監督が妻草刈民代を撮るドキュメント
(映像面は星5つ)
製作プロダクション、アルタミラピクチャーズ。製作亀山千広ほか。監督構成周防正行。
「相撲」「学生」をリミックスしたモックン主演の素晴らしい日本版「がんばれベアーズ」土俵版の「シコふんじゃった」
「サラリーマン」と「社交ダンス」をリミックスし、大ヒット。海外を含め周防監督のエポックメイキングを打ち出した「シャルウィダンス」
「坊さん」と「若者」をリミックスした「ファンシィダンス」
そして大好きな小津安二郎にオマージュを捧げ、ポルノを限界まで小津に近づけた隠れた傑作「変態家族兄貴の嫁さん」
緻密な裁判劇でなんと「痴漢冤罪」を描いた「それでも僕はやってない」
周防監督は佳作ながらも、同時代で見つめ続けたオリジナルコメディにこだわり続ける作家さん。
周防監督は、
スポーツ物
職業物
オマージュ物
とざっくり別れると思います。
ニュースで今度は、バレーでドキュメント。そして我が愛するコメディアン
チャップリン
をとりあげたと?。
「シャルウィダンス」後出演していたバレリーナ、草刈さんとご結婚。草刈さんは、唯一のプロのバレリーナで、結婚した時はちょいと驚きました。
妻である民代さん出演のバレーを撮ったドキュメンタリー。
準新作鑑賞となりました。
妻である草刈さんの引退公演もからんだ(のかな?)
本作は、まさしく愛すべきオマージュ物であり
愛する妻に向けての映画
なんでしょうかね。
アプローチのドキュメント、製作過程パート。
休憩後
バレー演舞
という二部構成。
バレー構成は、
犬の生活
黄金狂時代
街の灯
モダンタイムス
ライムライト
草刈民代さんのあでやかな創作バレーが見れますよー、バレーファン必見!街の灯特に必見。
で、すが、
なんで?周防監督がチャップリンなのか?
チャップリンに対してどういう思いが
周防監督、草刈さんにあるかは、全くわからず。
まあ恐らく振り付け師の
ローランプティ氏。数々の舞台を草刈さんとやられている模様で、その流れの一環なんかな?としかわかりません。
ローランプティ氏にインタビューしますが、
監督の意図がわからないのが、もどかしかったですね。パンフレットに書いてあるよ!というんならそれまた、残念。
ドキュメンタリーの核であるスタートラインがちょっと曖昧なんで、
扱うチャップリンの偉大さ、デカさが
少しぼやけてしまうのも残念。
ローランプティさんや踊り子のさんの思いは伝わるんですが、草刈さん、周防監督の思いが一部しかわからないのが残念でしたね。
チャップリンといっても
アレンジは正直、
「物真似はしない」というポリシーのもと
あくまで
設定
扮装
音楽
を借りた程度で
チャップリンを大好きな人たちが徹底的にオマージュを捧げたというものではありません。
なんで
チャップリンが好きな私としては
非常に肩すかしを食らいました。
正直
チャップリン、いらないんじゃないのかな?とも思っちゃいました。
チャップリンにかすってるだけですかね。
そこ、チャップリンの偉大さがあまり生かされていない気がしました、すいません、チャップリンが大好きな自分としては物足りない寂しさがつきまとったのが事実。
ダンシングチャップリンですが、
ダンシングチャップリンから着想を得た草刈さんのダンスバレー
という所でしょうか。
あと周防監督の演出も
少し甘めになったのかな?と。ドキュメンタリー部分のツッコミ、それぞれ思いのインタビューの少なさ
あと公園のくだりも正直、プティ曰わくに私も賛同さちゃいます。
さて周防監督が魅せる
草刈民代さんのチャップリンバレー
是非美しい演舞を!
蛇足な追記
チャップリンが「公園と警官と女性がいれば映画が出来る」
と言ったのは、初期の映画作りです。
バレーで演目に上がった作品は、トコトンスタジオ作品。全然発想が違いますんであしからず。
「黄金狂時代」で外で撮るロケーション撮影をチャップリンは、大嫌いになりました。
なんでもっと作りこんみ、チャップリンににじりよる
バレーだったら良かったのになぁと思ったのも事実。
そこがシンプルすぎて物足りなさを感じました。
日本一チャップリンが好きな自分としては、残念でした。