ガスとドイルのコラボ
星4つ

2007年仏米作品。PG-12指定、カンヌ映画祭60周年記念特別賞受賞。編集脚本監督ガスヴァンサント。

ジャケットをみる限り、ガスの原点回帰というか、原風景に戻ってきたような感じ。おぉ!カンヌ映画祭特別賞まで頂いている、スゴい。主役のゲイブネヴァンスの大変無表情で、無垢な表情。殺人を犯してしまった的なニュアンス。ガスの得意なティーンの姿をどんな風に魅せてくれるんだろうと?と思いながら、鑑賞となりました。

やはりガスヴァンサントってこういう青春映画、ネガティブっぽい映画をこの先ずーっと撮ってくれないかな?と思わずにいられない気持ちになりました。素晴らしい心象風景映画でした。物語的にちょっと足りない、もしくわ、だからナニ?的な所もみる方にはでてくるかもしれません。

物語は、家庭不安定、情緒クリアー過ぎて麻痺している無表情加減の主役ゲイブネヴァンス。どこにでもいる中学生、趣味はスケートボード。何より大好きなボード、ボード友達。ある日、友より噂のスケボー場「パラノイドパーク」に誘われた。 そこである日ゲイブがある出来事に遭遇。そこから変わる、今がゆがむ。そんなゲイブの独白、心象映像と生活な青春。

撮影。初期ウォンカーワイ監督の片腕から世界に羽ばたいたクリストファードイル。冒頭の固定画面の超早回し映像のキレイなこと。今回、8ミリ、ビデオ映像っぽい感じからフィルムのスロー、高速、織り交ぜゲイブのティーンの表情、彼目線のリアルを映し出します。さながら、ドイルとガスのコラボレーションにも見えます、ガスは今回編集も行ってます。
音楽クレジットありませんが、これまたパンクからクラシック、インスト系までバラエティーに富んだ楽器が実に音楽シーンを生き生きと表現されていました。センスがやはり素晴らしいです。
一見大事になりそうなドラマを「バッサリ」飲み込む主役ゲイブ、彼の幼い表情に魅了されながらも映画は進む、生活は何かが変わり、ゲイブも生きる。
ガスらしいティーンの目線、スケボー仲間の幼げな表情の素晴らしさ、会話のリアル感。決して俳優でわない、そのまんまティーンの表情、彼らの未熟な目線。半ば憤りすら通り越す青い立ち振る舞い。

ゲイブの見る緩やかなスケボーのループ映像にマイナスは、ゼロに溶け込んでいくようだ。

久々のガスの映像の素晴らしさにチクリとしながら溶け乗った感じでございました。ガスヴァンサントの青春映画は、やっぱり好きですね。
邦画に此処まで到達した「センス」が無いことにやはり、残念、敗北を感じますね毎回みるたんびに、、。ガンバ邦画!

追伸冒頭主人公のオジサン役で画面から見切れますが、灰色の頭のオジサンが、おそらく撮影のクリストファードイルです。さりげなく客演してます。