野田には
幼稚園から中学1年生の冬まで
取り敢えず過ごす事になる
その後
また野田に戻って
今の今まで生活するとは
この頃は微塵も心にない…
小学生に上がる時には
不安しか無かった
幼稚園は楽しく過ごせていたが
自分の心として心配しかなかった
案の定
初めは なかなか小学校に慣れず
幼稚園時代の友達も居ず
心細かった
しかし
2年生に上がる頃には
友達も沢山 出来て
毎日が楽しかったのを思い出される
そんな多分…
3年生の夏休み
一人で
とんでもない大冒険をする事になる…
家の裏手に空き地があった
その先は途方に暮れるほど
雑木林が広がっていた…
夏休みのある日
空き地で遊んでいると
遠くの遠くの方で
声が聞こえる
楽しそうな声だ
前から聴こえていたが
ふと
「何の声だ?」と思った
子供達 大人達が混じって
楽しそうに騒いでいる
「うーん🤔」
「行ってみたい」
少年はバカだ!アホすぎる!
取り敢えず
声を頼りに
雑木林の中に…
掻き分けて
掻き分けて…
「進める」
お前はバカか!
呆れてモノも言えない…
勘違いした少年は
「とても長い道なりになる」
「明日の朝 行こう」
毎朝 学校の準備は一切しない
この少年は お馬鹿だ!
ランドセルは常に空っぽ
教科書やノートは全部
教室の机の中とロッカーだ
家では一切の勉強をしない
家の勉強机に座った記憶は
高校生を卒業するまで
存在しないのだ…
朝 起きて
「いい天気だ」
「よし行くぞ」
家族や友達にも内緒だ
何故だかか そうした
そうしなければ いけない と
思ったのだ
朝食を食べ
いつもの格好
半袖半ズボンになり
お前はアホか!
朝の7時か8時に
「行ってきます」
と意気揚々と出掛ける
どのくらい先に
目的地が在るのか
想像 出来ない…
しかし
声だけを頼りに
雑木林の中に…
一歩一歩
背丈以上のアシが
辺り一面を覆っている
先が見えない…
掻き分け
掻き分け
一歩一歩
気付けば引き返せない距離に…
不安が襲うが行くしかない
前に!
この時の
アシと云うのは
湿地帯に生息する草である
嫌な予感がする…
一歩一歩が重い
足が取られる
気付くと
靴全体が…
膝下まで…
膝まで…
膝上まで…
もも まで…
もう身動きが取れない
「底なし沼だ」
心の中で
「終わった」と
絶望した
死と初めて対面した瞬間だ
泣きたいし…
半べそだが…
周りは…
誰も…
何も…
放心状態だ
只
背丈より高いアシと…
清々しい程の青空が…
泣いてても仕方がない
「どうしよう」
その場で立ち尽くし
10分〜30分
ジタバタしても
一向に動けない状況は
何も変わらない
そこら中にあるアシだけが頼りだ
弱々しい草だが
手を伸ばし捕まる事が出来る
後一つ
好材料は
半ズボンだ
長ズボンじゃなくて良かったのだ
この時
生まれてから初めて
本当の意味で考えたと思う
「片足づつだ」
「まず片足を抜こう」
それだけを考えて…
実行する
「抜けた」
一歩前へ
勇気が出た!
「今度は もう片方」
「抜けた」
一歩前へ
勇気が力強く出る!
又 一歩
又 一歩
とんでもなく時間が係るが
一歩
一歩
力強く!
そうして
途方も無い時間を掛けて
底なし沼を抜けた
「やった」
気付けば
辺り一面 薄暗くなっている…
しかし
楽しそうな声は大きくなっている
「近い」
その時
妖精の声が…
精霊の声が…
今 想うと幻聴だ
「こっちだよ こっち」
「こっちよ こっち」
周りは暗い
何も見えない
辺り一面
背丈より高い草だらけ
実際の声と
妖精 精霊達の声が頼りだ
壁が見える
柵が見える
近づく
「やっとついた」
聴いた事のあるような声
ハッと気付く
「プールだ」
「いつも行っているプールだ」
プールの裏側だが確実だ
声の主達は
隣町の市民プールの声だった!
「なんだ なんだ」と
トボトボと脇にある
あぜ道
けもの道を通り
帰路に着く…
遠くに住宅街の灯りが
見えるので家の方向は分かる…
下を向き
うなだれ
流石に疲れて
トボトボと…
真っ暗闇
家が近づき
ホッと胸を撫で下ろす
家に着き…
玄関の前に…
心の中で
「今日の事は
誰にも言わないでおこう」
「言っては駄目だ」と
全身 泥だらけ
何て言って入ろう
「こんな遅くなって…」
「心配してるかな…」
いつも通り
元気一杯に
「ただいま!」
って言おう
そうだ
そうしよう
「何て言われるか…」
父親が居たら終わりだ…
そして
「ただいま!」
母親が
「あんた何時だと思ってるの」
「お昼も食べないで」
「何その格好は」
「泥だらけで」
「直ぐお風呂に入りなさい」
「まったく ありえない」
「お風呂 上がったら ご飯だからね」
「まったく この子は」
いつもの母親が そこに居た
父親は まだだ…ホッ
安心してホッとして
すぐさま お風呂に…
裸になり
シャワーを浴びる
黒いものが足に…
「ヒルだ」
一つ一つ
手で取る
10匹は居たと思う
血も出ている
だけど
痛みはない
オチンチンもみる
一匹
引っ剥がす
「ふぅ~」
痛みはない
そう
その後 観る
映画「スタンド バイ ミー」と一緒だ
違うのは痛みがないので
安心な事
何故か安心だったのだ
おバカだ(笑)
シャワーを浴び終え
湯船に浸かる
玄関前での決意を
新たに
「今日の事は
絶対に誰かに言っては駄目だ」
そして
「よくやった」
「よくやった」
「よくやった」
と涙する
お風呂を上がり
ご飯を食べて
直ぐに寝る
物凄く
安心して気持ちの良い
寝床だった
その日の
睡眠は最高だったのを覚えている
そんな
真夏の大冒険の
一日の
現実の お話だ
こんな話を
大人になって40を過ぎた頃
家族に話をした
「あんたバカだね」
「よく生きてるわ」
「護りに感謝しなさい」
そう言われた
そして
昔
「その湿地帯から犬の鳴き声が
三日三晩してて…」
「近所の皆で探したんだけど
見付からず…」
「その声は無くなって…」
「その犬は亡くなったと思う…」
だそうだ
自分は護りに守られて
幸運だったと
今 改めて思う
感謝だm(_ _)m
ではでは~
チャオ✨