クラシックギターのメンテナンスを行い、あとは弦の到着待ちのところで終わった前回のブログ。
予定通り昨日到着。
高校生のころはいきがって、やっぱり、弦は「オーガスチン」だよな、とか、いやいや、「サバレス」が最高だ!!などといっていたのですが。

YAMAHA グランドコンサート クラシックギター弦がいい音するみたいですね。
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ということで、弦を張っていきます。
昔は無造作にただとっかえていたのですが、ちゃんとこのように養生しながらかえないと、ギターの表面に傷がついてしまうのですね。インターネットの威力です。
あと、1~3弦と4~6弦の止め方異なるのも初めて知りました。インターネット様さまです。

で、糸巻きに巻こうとしたら、大問題発生。ひびの入った心棒を瞬間接着剤で何とか持たせようという企みだったのですが、弦の張力には勝てず、メキメキっとヒビが口を開け、チューニングができません。
いや~っ、参りました。やっぱり2万円ぐらいかけて、修理が必要かと覚悟を決めようかと思ったのですが、少ないチャンスにかけます。
キクタニが、糸巻き間ピッチの合わないチューニングマシン用に個別のペグを販売しているのです。
というか、中村 篤 氏も廉価版用なのか、個別のペグを採用している個体の写真がオークションにあがっていました。加工の具合や経年変化の具合から見て後からつけたものではない感じがします。
この心棒が利用できれば(既存の心棒は、ボリュウームのD型シャフトと同じ構造で抜き差しできる)、既存のチューニングマシンを生かせるのではと。
また、合わなければ全交換で個別のクロームペグになっても、中村 篤 氏も使っていたのなら、意匠上も問題なしということで、さっそく発注しました。
結論からいえば、残念ながら合いませんでした。
キクタニの物はプラスチックの糸巻きに金属の心棒が圧力封入されているようで、これを無理やり抜けば再利用ができない感じです。
また、歯車ごと利用しようとしても、歯車を止めている心棒の口径が大きく、既存の穴を広げないと通りません。ギア受けも兼ねている穴ですから、均一に穴を広げるのは素人には無理と判断しました。
で、結局見た目のクオリティは下がりますが、クロームの個別ペグに全とっかえすることにしました。
2~3時間かけて完成。ビス穴が1か所残りましたが、これは後で埋めておけば問題ない大きさです。

まっすぐに取り付けるのと、付属の木ネジの長さが9ミリ(口径は2ミリほどだと思う)ほどあって、ネックの木を突き抜けないか心配で、慎重に作業を進めました。
最初にピンバイスで目当ての穴をつけて置いて、1.5ミリのドリルで6ミリほどの深さで穴をあけ、グリスをぬった木ネジを木が割れないよう、ゆっくりとねじ込みました。いや~!!緊張しました。
最後にグリスをぬって(556がいいとの情報もありますが、粘着性に乏しく、ヘッドの木の塗料保護からすれば、やっぱり昔からのグリスがいいのでは)、動きをスムーズにするとともに摩耗予防をしておきました。
ということで、3日間にわたるメンテナンス作業が完成しました。
1弦6弦は外側に、その他は内側に巻いていくということも、初めて知りました(高校生の時代はそういう情報を仕入れる手段が皆無でした)。
牛骨(だとおもう。)のナットが年季を経て象牙のように輝いているのがなんとも言えません(象牙っぽい年輪が出ているのですが、まさかねぇ)。

ワックスの効果もあって、極薄ラッカーのつやが、ある程度戻りました。

トーレス型のボディーは、均衡がとれていてすばらしいフォルムですね。

あにはからんだ(や)のハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)の艶も50年前の製作当時と変わらない感じがします。

いや~っ、いい仕事しました。でも、これが人の物だったら、怖くてできないだろうと思います。
ゲルストマン症候群の自分にはギターリペアを仕事にはできないとつくづく思いました。