Favori(ファボリ)」は、ラスターブロッサム株式会社が運営する、鞄、バッグなどのオーダーメイドブランドです。

twitterでお気に入り発言にマーキングすることや、銀座のベルギービール専門店や、コサージュや生活雑貨を扱う個人デザイナーのウェブショップや、欧州セレクトショップの「Favori」とは全く関係がありません。念のため。ネーミングの重複はウェブの宿命とは言え、こうしたストレートな名称は、ネットプロモーションでは思わぬ弊害を起こす場合もあるので気をつけましょう。また、トップページには「鞄、バッグ、オーダーメイドであなたのお気に入りを!」というキャッチコピーがありますが、「鞄」と「バッグ」ってどう違うんだろう、という疑問を持って、wikipediaで「鞄」を検索し「バッグともいう」という一文を見つけて衝撃を受けたりしないようにしましょう。

ここから勝手な想像をします。「普通の鞄メーカーではつまらん、何か新機軸を考えないとならんなあ」と、社長が悶々としていたところ、若い社員が「ボス!マーケットニーズがマックスまでセパレートされたナウ、メーカーにマストなのはエッジの効いたウォンツをエクスプレッションできるフラッグシップマテリアルですよ!」と言ったかどうかは定かではありませんが、「Favori」は若い社員の企画提案で立ち上がったようです。あくまでも想像ですので、念のため。

ということで、「Favori」と一緒に変態画期的なバッグを共同開発したジニアスアキバメンバーのakio0911氏について書こうと思います。

akio0911氏は、知る人ぞ知るHacker's Cafe」という秘密結社(チームラボ猪子社長談)のメンバーでもあり、ジニアスアキバのメンバーでもあります。別にジニアスアキバメンバーになりたいとか、なってくれ、という話は一切無しで、勝手にメンバーだと僕が言っています。本当に迷惑だと思っていたらこのページをハッキングして改竄するはずなので、この記述が残っているうちは大丈夫でしょう。ちなみに念のためにパスワードも教えてあります。

「Hacker's Cafe」は、プログラミングやデジタルガジェットが大好きな人たちがアドホックに集まって情報交換をしたり、思い思いに好きなハッキングをして一緒に楽んでいるグループです。去年「TechCrunch」の本体の方の記者が取材で東京に来た時、面白そうだから見に行こうとパーティーに乱入し、誰に話しかけるということもなく、部屋の片隅でノートブックを開いてコードが書きまくっていたところ、記者が「彼らは何をやっているんだ」と興味を示し、翌日には「TechCrunch」に「Cool Japanese geek group」として紹介されました。パーティーには、自分の会社のことを書いて欲しいベンチャー社長連中がわんさか居たというのに、全く空気を読めていません。

「Hacker's Cafe」にはまだ、固定した活動場所がありません。電源とネット環境を求めて、基本的には秋葉原のリナックスカフェ、ルノアール、アイカフェという漫画喫茶、モンハンカフェ、マクドナルドなどを放浪しながら活動を行っています。そんな不遇な状況を見た某氏が、良かったらここ使いなよ、と提供してくれたのが、何を間違えたのかオシャレなリア充が集う表参道の、さらにブルガリとかプラダが集まるハイソビルGYREの4階にある「SMOKE」というお店でした。「Hacker's Cafe」のために、わざわざ光回線まで引き、全ての席に電源まで完備するサポート振りでしたが、オシャレピーポーや芸能人が集うお店でのハッキング活動は、ちょっと窮屈そうです。その中でもakio0911氏は、その違和感バリバリの状況を結構喜んでいて、「ここにサーバーを置いてディオールサーバーと名付けよう」とか、「オープンテラスで青空ハッカソンをやろう」と提案し続けています。

さておき、その「SMOKE」を提供してくれた某氏のラインから浮上してきたのが「Favori」のオリジナルバッグ開発のお話でした。

「ということで、プライスレスなハイクオリティバッグをシンクするのがマストなので、誰かエクセレントなパーソンきぼんぬ」と「Favori」の人が言ったかどうかは知りませんが、そこに紹介されたのはakio0911氏でした。ハイセンスかつエレガントな人物である、という紹介だったようです。これは間違いではないでしょう。RCカーの車体にノートブックを載せた「自走式ウェブサーバー」はある種のセンスが無ければ作れなかったでしょうし、位置情報とARを駆使した「電脳スターラリー」はある種のエレガントさがなければ成立しなかったでしょう。

でも次元が違いすぎます。

「Favori」スタッフがakio0911氏と初めて「SMOKE」で会ったとき、一番最初にakio0911氏から発せられた提案は以下のようなものでした。

「iPhoneと連動してバッグの表面が様々な色に変わるやつ、作れないでしょうか」

何を言っているんだこの人は、という「Favori」スタッフの表情は今でも忘れることができません。akio0911氏、この人はバッグ屋さんや、ディスプレイ屋やないで、という周囲の声にならない叫びが、僕には聞こえてきました。

理解の範疇を超えた提案に苦しみの表情を浮かべて、それはちょっと難しいかも…という「Favori」スタッフに、akio0911氏は、

「じゃあ、私はいつもmac bookを持ち歩いているので、これが入る鞄で…」

ああ、それなら普通に作れそうです。「Favori」スタッフはほっとしています。何を隠そう約10年前、エレファントデザインというクールな会社が「本当に欲しいと思える鞄」を開発するインターネットプロジェクトを立ち上げ、とても素晴らしい鞄が出来上がった時も、ノートPCが入ることが前提でした。今のニーズに応えた、シンプルかつファッショナブルな鞄、しかもアーティストやクリエイター必携のmac book専用、ということであれば、とてもオシャレな香りがします。

「で、僕の持っているiPhone三台がディスプレイできるようにしてください。」

普通の人はiPhoneを三台も持っていませんし、iPhoneはディスプレイではありません。そんなもの作っても、一般消費者には中々売れないでしょう。「Favori」スタッフは泣きそうです。でも、さすがプロです。また勝手に想像して書きますが「これはメーカーに対する宣戦布告である。我々は負けるわけにいかない。」と「Favori」スタッフが思ったかどうか分かりませんが、それから数週間後、鞄が出来上がってきました。

これです。

GENIUS AKIBA-デジタルサイネージバッグ


とても変態素敵ですね。

true-タッチパネル操作対応


相変わらず「Favori」スタッフは泣きそうな顔をしていましたが、それが「ようやくできた」という安堵の涙なのか「こんなもの作ってしまった」という悔悟の涙なのかは把握できません。

そして、作ってしまったからには、メーカーとしては売らなければなりません。誤解の無いよう何度も書きますが、あくまで想像ですが、「めちゃくちゃニッチなこの商品、どうやって売るんだYO!」という喧々囂々の社内論議が繰り返される中、akio0911氏は、出来上がった鞄を持って、サンフランシスコで開催された「Worldwide Developers Conference 2009」に参加します。

「WWDC」は、Appleのプラットフォームでイノベーションを行うデベロッパーにとって非常に重要な技術イベントです。1000人を超えるアップルのエンジニアがモスコーンウェストに集結し、アップルの最新テクノロジーを解説し、コードレベルのアドバイスを参加者に提供するなど、数十万人が全世界から参加するイベントでは当然のように新しい情報が目白押しです。

そんな情報イベントの中、akio0911氏の鞄が、また「TechCrunch」の記者の目に止まり、今度はギーク御用達の最先端グッズが紹介される「CrunchGear」に「Geek designs iPhone-powered digital signage bag」というタイトルで掲載されました。

これは以前、「Hacker's Cafe」が「TechCrunch」に掲載された以上に異常なことなのですが、akio0911氏は、さほど意に介している様子はなく、「Favori」スタッフに報告もしないばかりか、

「コード書いてる」

というのんびりしたコメントを「WWDC」会場からtwittしています。しょうがないので僕が密告しておきました。

「Favori」はこの報告を受け、もしかしたら我々はとんでもないものを作ってしまったのではないか、と、ようやく気付きだします。あ、書き忘れてましたが、あくまでこれも想像ですよ、想像。で、「WWDC」から帰国したakio0911氏は速攻で「SMOKE」に呼び出され、商品撮影が行われました。数日後、「Favori」サイトで変態素敵な鞄の商品紹介と販売が開始されます。

Link: 鞄・バッグのオーダーメイドであなたのお気に入りを

この鞄、「Product No.3」として紹介されていますが、No.1と2は、増田成美さんという女性の方のオーダー鞄が紹介されています。その女性用鞄と、サイトの全体的な雰囲気を見ても、明らかに「Favori」のオシャレピーポー向けに商品開発を行おうとしていた意図が見え隠れするのですが、「Product No.3」が異様な雰囲気を醸し出していて、正直方向性が狂ったとしか思えないのがまた変態素敵ですね。

そして、トップページからのリンクに使われているakio0911氏の写真がこれです。

true-akio0911


ECサイトによるネットテロ活動と判断されて当局から調査が入ってもおかしくないですね。

このページが出来上がる前日、「iPhone 3GS」の日本発売イベントが表参道で開催されましたが、「WWDC」に続き、akio0911氏は、そのイベントにもこの鞄を持って参加するという暴挙に出ます。

表参道では、巷では結構有名な株式会社ソラノートの美人広報スタッフである「そらの」さんがUstreamでリアルタイム配信を行っていました。この「そらの」さんという方は、フリーハグとpokenとインターネット放送を武器に、様々な著名人にインタビューをしたり、イベントに参加するなど、幅広い活動を行っている人気者です。

akio0911氏は彼女を見つけるやいなや、すたすたと近づいて行って、iPhone三連鞄で戦いを挑みました。

一応関心は持ってもらったようですが、いきなりの変態素敵鞄攻撃に、「そらの」さんは大量のHPを失ったようです。彼女に話かけた人は大抵ハグをしてもらえるのですが「ちょっと疲れているのでハグできないんですが」と、こちらから聞いてもいないのに言い訳をしてくれました。

この配信は相当多くの方々が見ていたようで、中にはiPhoneアプリ「PocketGuitar」で世界的に有名な笠谷真也氏もいて、

「たまたま ust 見たら @akio0911 が出てて吹いた」

という素敵twittが出ていました。

akio0911氏は、この出会いの直後、「そらの」さんに対して、

「@ksorano I am バッグの人」

という意味不明なtwittをしていたことも付け加えておきます。

最後に変態素敵鞄にもう少し触れておきます。

true-デジタルサイネージバッグ


銀色の素材は一見塩ビに見えますが、本物の牛革で、特殊な染め方で絶妙な風合いを醸し出しています。透明ポケットは、もちろんタッチパネル入力対応で、ポケットに入れたままiPhoneの操作が可能。手持ちと斜めがけの2WAY使用になっているのでオタクの人の様々なコーディネートに対応できます。

この鞄が24,000円(税込)というのは、破格です。普通のオーダーメイド鞄は最低でも30,000~50,000円以上はします。ありきたりな鞄に飽きた方、常に時代の崖っぷち最先端を走りたい方、iPhoneを何台も所有していて扱いに困っている方は、この機会にお求めになってはいかがでしょうか。

ここまで書いて、そうだ、アフェリエイトで僕も便乗しよう、と思ったのですが、超低価格過ぎて卸販売は無理だそうですよ。残念。

「Favori」さんには、今後もこんな変態素敵鞄をどんどん世の中に投下していって、人々の価値観に混乱を生じさせ、所謂オシャレピーポーをどんどん駆逐していって欲しいものです。そうすれば、世界は平和になって、人々がもっと豊かで楽しい人生を送れるようになるはずです。
Cut&Paste」は、2005年11月にNewYorkで始まった「デジタルデザイントーナメント」です。

GENIUS AKIBA-Cut&Paste会場 渋谷WOMBこのイベントは、メーカーがクリエイターへのデジタルツールの販売だけじゃなくて、新しい時間と空間を提供することで、新人クリエイターの発掘、クリエイティブスキルの進化、オーディエンスとのシンパシーを創造していく、デジタル・インタラクティブ・クラブイベントとなっています。簡単に書けば、観客の目の前で限られた時間内にPCを駆使して作品を創り競い合わせる大会ですね。スポンサーとしてAutodesk、Wacom、Pantone、55DSLなどが協賛や協力、ツールの提供を行っています。15分、20分の短い時間の中で、与えられたテーマに沿い、如何にクオリティの高い作品を創り上げるか、という、ちょっとDTPやデザインを齧ったことのある人間にとっては非常に興味深い、エキサイティングな内容となっています。

これまで開催されてきたイベントでは、2Dデザイン部門しか無かったのですが、今年から3Dデザイン部門と、モーションデザイン部門が新しく増設され、 Cut&Paste2009は過去最大の規模となっています。大会(予選)はロサンゼルス(2/21)、サンフランシスコ(2/28)、ポートランド(3/7)、ボストン (3/14)、ニューヨーク(3/21)、トロント(3/28)、シカゴ(4/4)、アムステルダム(4/2)、ロンドン(4/4)、 ベルリン(4/18)、バルセロナ(4/25)、ミラノ(5/9)、香港(5/15)、上海(5/23)、東京(5/30)、シドニー(6/6)、の世界16都市で開催され、2Dデザイン部門、 3Dデザイン部門、モーションデザイン部門において各1名の優勝者が選ばれ、6月20日に予定されているニューヨークの世界大会への参加権を得ることができます。

ということで、2009年5月30日(土)、渋谷WOMBで開催されたCut&Paste2009アジア地区東京大会に行ってきました。ちなみに、もちろんトーナメント参加ではなくて、新しくできた3Dデザイン部門にプレイヤーとして参加するスタジオミーツ代表でジニアスアキバメンバーでもあるMAHIRO氏の付き添いです。

GENIUS AKIBA-不敵な笑みを浮かべるMAHIRO氏渋谷WOMBには14:00に到着。Cut&Paste現場担当のJhon氏がキラキラ輝く目でブリーフィングを行いました。左画像が不敵な笑みを浮かべながら直前ブリーフィングを受けているMAHIRO氏です。質疑応答のとき、さっそくMAHIRO氏が挙手。「72dpiの解像度ということだが、ピクセル数で教えてほしい。」という質問に、Jhon氏も通訳もちょっと戸惑いの表情。後で聞くと、これまでの仕事では解像度をまったく気にしたことがなく、設定方法も知らない、とのこと。DTPの世界では解像度というのはまず最初に抜ける関門であり、これまで気にしたことが無いというMAHIRO氏に、僕も驚愕しました。この日、まず最初の問題勃発です。まあ、サイズ指定のダイアログに一緒に表示されてると思うよ、大丈夫大丈夫、と言いながら、僕は一抹の不安を感じていました。

実は不安材料は他にもありました。Cut&Pasteの東京大会は、部門増設という新しい要素に運営側が激しく機動力を削がれていたらしく、公式なルールは、なんと前日まで通達されていなかったという経緯がありました。また、作品は与えられたテーマに沿って制作されますが、これも2日前にメールで告知されるという状況。このテーマ告知がされた28日に、一応作戦会議をしよう、ということで二人でブレストをやりましたが、翌日、MAHIRO氏は「他の参加者が必死に悩んでいるとすれば悩み甲斐もあるが、予選の状況を鑑みるに、それほど対して悩んでいないと思われる。そんな状況の中、俺が悩むのは徹底的におかしい。」と言い出し、作戦立案を放棄。いや、一応考えた方がいいのでは、という進言にも「おまえはブレストをやろうと言いながら、途中で寝てしまった。そんな奴の言うことは断固として聞けない。」と怒りだす始末。そんな折での解像度ネタだったので、この調子で行くとMAHIRO氏は途中で激怒して家に帰る可能性も捨てきれないなあ、とぼんやり思った次第。

ブリーフィングが終了すると待機を命じられますが、大人しく中で待つような人間ではないので速攻で遅い昼飯を食べに行きました。円山町のど真ん中には飲食店が殆どありません。しょうがなく、近くにあった「つけ麺なかむら」でいいか、と問うと、「あまりラーメンは好きではない。」とMAHIRO氏。何故かを問うと「麺ごときに金を払う奴の気が知れない。肉を食わせろ。」と、また怒りだしました。他に店らしい店も無く、なんとか説き伏せて店に入りました。「つけ麺なかむら」は結構美味しかったです。大盛り、中盛り、小盛りすべて同じ値段というサービスもとても気に入りました。今度あぶらそばも食べに行きたいです。

GENIUS AKIBA-会場セッティングを睨むMAHIRO氏さて、マシンチューニングタイムがあるというので、16:00には開場戻り。開場は17:00、イベント開始は17:30です。しかし、一向にチューニング作業開始の合図は無く、17:00直前にようやくマシンに触ることのできる状況となりました。写真は何かへの怒りを抑えつつスタッフのセッティング作業を見守るMAHIRO氏。

ここでまた問題が発生します。新設部門ということもあって運営側は手探り状態で環境作りを行っていたようです。すべての参加者からも要望を聞き、公平で安定したシステムが組まれるハズでした。MAHIRO氏はMAXという3Dソフトウェアで参戦する旨を運営側に伝えてあり、また、「絶対に日本語版を入れておくように。」という要望も再三に渡って伝えていたのですが、Windows機に入れられていたのはバージョンも異なる英語版ということが直前になって判明。MAHIRO氏は「英語爆発しろ。俺は今後絶対に英語は喋らん。」とブツブツ言いつつ、開始を待つこととなりました。後で聞いたところ、英語版ソフトはご丁寧にプルダウンメニュー等もアルファベット順に並んでおり、作業は常に項目を探しながら行ったそうです。adobe製品のフルバージョンアップに悩んだ方や、初めてVistaに触ったときの元XPユーザーはその苛酷な状況が容易に理解できると思います。

17:30頃には観客もそこそこ入り、多少時間が押し気味でイベントが始まりました。3Dデザイン部門はファーストバトルとなります。プレイヤーは3名。他の方のこともいろいろ書きたいのですが、ここでは敢えて書きません。第一線のテーマは「Virus(ウィルス)」。前日ブレスト時に、MAHIRO氏が持ち出してきたアイデアに不安を感じていた僕は、もっと別のものを考えようと言っていたのですが、つけ麺を食べながら「もうアレで行くことに決めている。」と断言されたので見守ることにしました。

GENIUS AKIBA-Cut&Paste2009東京大会3Dデザイン部門第一戦会場中央には巨大なリアプロジェクターが5つ設置され、観客は個々のプレイヤーの作品が出来上がっていく様子をリアルタイムで見ることができます。画面が並んでいるので作業の遅れややり直しなども素人でも肌で感じることができます。また、3Dデザインでは、モデリング作業が中心となるので、ある程度作業が進まなければプレイヤーが何を作っているのか分かりづらいのが特徴です。

GENIUS AKIBA-Cut&Paste2009対戦中のMAHIRO氏しかし、開始10秒後にはMAHIRO氏の画面に人型のモデルが突如現れ、瞬時にポーズ設定が施され、作業がガンガン進んでいきました。形のあるものが画面に出ていると、自然に観客はそちらの画面に注目します。中央の巨大プロジェクターはステージ上のメインカメラがプレイヤーの作業や手元を映し出しているのですが、他のプレイヤーの作業画面よりもMAHIRO氏の作業画面の方が絵的に分かりやすいので、頻繁にメインカメラもMAHIRO氏を追うことになりました。英語版でバージョンも違うのに作業はサクサク進んでいきます。

GENIUS AKIBA-Cut&Paste2009の観客開始10分後に最初のカウントダウンコールがあります。その時点でMAHIRO氏のモデリング作業は殆ど終わっていました。他のプレイヤーは細かいモデリング作業に追われ、観客はまだどんなものが出来上がるか予想もできません。残り10分コールから数分して、MAHIRO氏の画面上ではバックグラウンドテクスチャが現れ、レンダリングも終了。そこでMAHIRO氏は突然Windowsのスタートボタンをクリックして何かを探し始めました。後から聞くと、マインスイーパーを立ち上げて遊ぼうとしていたのですが、インストールされていなかったとのこと。しょうがないので、MAHIRO氏はマシンにインストールされていたAutodeskの他のソフトを立ち上げ、タブレットの描き心地を試し始めました。巨大なスクリーン上に現れた意味不明な立体落書き。MAHIRO氏が遊んでいることを理解しているのは僕だけだったので、それを見て2階席で一人爆笑し、外人観客からものすごい眼で睨まれました。とても怖かったです。

終了5秒前から観客と共に秒読みが始まります。その直前、MAHIRO氏の隣のプレイヤーのマシンがクラッシュ。もう一人のプレイヤーはまだレンダリング作業に移ることができないまま。MAHIRO氏の落書きはようやく3秒前に終了し、作品が画面に映し出されました。

GENIUS AKIBA-Cut&Paste2009の観客MCが一人一人の感想を拾っていきます。最初はMAHIRO氏。「時間が余った。」と何故か怒りだすMAHIRO氏にMCが困っています。他のプレイヤーは、不本意な結果に相当落胆しているコメントを残していました。「…と、いうことで、みなさん大変だったようですが…」とMCが締め始めたのを聞いて、またMAHIRO氏は「人の言うことを聞いているのか、俺は時間が余ったと言っているのだ。大変などとは一言も言ってもいないし、感じていない。」とMCに喧嘩を売り始めたので、他のスタッフが慌てて制止に入りました。

まあ、とりあえず、第一戦は無事終了です。

控え席に戻ってきたMAHIRO氏に、レンダリングの最後に絶対に不必要と思われるブラー効果が入って作品がぼやけた感じになったので、あれはやめた方がいい、と進言したところ、「俺はアートが嫌いなんだと言っただろう。部下にも仕事を教えるとき、絶対にアート作品を作ろうと思うな、と教えている。今回おまえはこれがアートバトルだと言った。あのブラーをかけることであれは俺の嫌いなアートになった。それのどこが悪い。」と激昂。ここで僕は、わかったわかった、でも次はやらないよね?、という余計なことを言ってしまいました。案の定、MAHIRO氏はニヤリと笑いながら、「次も絶対やる。」と断言。溜息。

GENIUS AKIBA-Cut&Paste2009の観客3Dデザイン部門のファーストバトルが終わると、2Dデザイン部門のバトルが開始されました。が、このあたりは省略します。この部門は昔からあったので、観客も勝手を知っており結構盛り上がっていました。それを見ながらアート嫌いのMAHIRO氏は怒りをずっと抑え続けている表情をしていたので、僕は話しかけることもできませんでした。

セカンドバトルのテーマは、「Descent from Heaven(降臨)」です。開始直後、MAHIRO氏の画面には惑星の地面っぽいテクスチャマトリックスが表示されました。その後約10分は同じ画面が続き、何の作業をしているか全然わからない状態。どうしたのか、とハラハラしながら見ていると、怒りの形相のMAHIRO氏が挙手してスタッフを呼ぼうとしています。マシントラブルでもあったのかな、と心配していると、すぐ近くにいたイベントの最高責任者がMAHIRO氏に近づきます。この人は英語しか喋らないということをMAHIRO氏は事前に知っていたので、英語が嫌いなMAHIRO氏は「おまえじゃない。英語はあっちへ行け。日本語を呼べ。」と日本語で怒鳴りつけました。

どうやら、英語のメニュー項目に嫌気がさし、やろうとしている作業ができないようです。日本語がわかるスタッフに「メニュー項目を一瞬で日本語に全部変えろ今変えろすぐ変えろ」と無理難題をふっかけています。スタッフがそれはフェアじゃない、というようなことを言ってしまったらしく、MAHIRO氏の怒りは頂点に達しました。「あれだけ日本語バージョンを入れておけと言ったのにお前らは一体何を考えているのか。それがアートか。ここは治外法権か。俺はこれから3D業界の頂点に立つ人間である。その暁にはお前らが業界に存在できなくすることも意のままだ。これ以上俺を怒らせるな。」と叫び、巨大スクリーンが設置されている支柱を鷲掴みにして崩壊させようとしだしたので、慌ててスタッフが制止。「Autodeskの人間を呼んで来い。絶対に来ているはずだ。今呼べすぐ呼べ。」とMAHIRO氏が絶叫したので、慌ててAutodeskの一番偉い人がステージに上げられました。そんなに騒いだにも関わらず、ヒアリングは一瞬で終了。MAHIRO氏は何事も無かったかのように作業を続け、繰り返し執拗に開閉する作業ウィンドウが画面に映し出され続けました。

怯えたMCが小さい声で10分前コール。それから数分が経過してもMAHIRO氏の画面には変化がありません。15分が過ぎたあたりで、地面のようなテクスチャマトリックスに劇的な変化が訪れます。それまで平面だったテクスチャの中央がいきなり崩壊し、地面が割れ、土砂が飛び散り、ぽっかりと巨大な穴が開きました。呆気にとられていると、MAHIRO氏は穴の上に何かの作業点を複数配置し、微調整を始めているようです。


GENIUS AKIBA-Cut&Paste2009東京大会3Dデザイン部門第二戦30秒前コールがされ、ようやくMAHIRO氏がレンダリングを開始。火星から送られてくる画像表示のように上部から表示されていく作品には、最初は作業点の効果を見ることができませんでした。ミスったか?終了5秒前のカウントダウン。もう再レンダリングの時間はありません。レンダリングが終了してしまい、画像がすべて現れた、と思われた直後、惑星の地面に穿たれた巨大な穴の上に一瞬で稲妻が表示されました。作業点はその稲妻を表示するためのものだったようです。そしてブラー効果。やっぱりブラーかけんのかよ、と、終了直前完成の驚きと落胆が同時に僕を襲いました。

後にMAHIRO氏に聞いたところ、やっぱり第二戦でも時間が余ったので、DJの音楽に合わせて作業ウィンドウの開閉をしていた、とのこと。執拗に開閉する作業ウィンドウはそれだったようです。それも飽きて、もう作業を終わらそうと思ったのだけれど普通に終わっても面白くないので、どうせなら終了直前に作品を完成させようとあまり意味のない作業を繰り返していたそうです。

第二戦終了後、すぐに集計がされ、優勝者発表のときにはMAHIRO氏の名前が呼ばれました。

GENIUS AKIBA-Cut&Paste2009東京大会優勝当然だ、というような顔をして戻ってくるんだろうな、と思っていると、当然だ、というような顔をしたMAHIRO氏が戻ってきました。賞賛の意を伝え、これで日本代表でニューヨーク大会だな、と言うと、またMAHIRO氏は怒りだし「日本代表じゃない、日本一だ。それにニューヨークへ行ったら優勝して世界一になるに決まっているが、行くかどうか決めていない。6月20日は肝機能検査という大事な用事があるのだ。」と吐き捨てるように言ったので、絶対行くように今も説得が続いています。

GENIUS AKIBA-Cut&Paste2009東京大会3Dデザイン部門優勝大会数終了後、一緒に晩御飯を食べていると、そこで僕は驚愕の事実を聞くことになりました。第二戦の、直前に作品が完成する演出は当然意図的に仕掛けたものだったのですが、そこで使われていた地面が割れるとか稲妻が最後に表示される、というテクニックは、ブレスト中に僕が寝てしまった後、一人でソフトウェアを弄っていて、初めて見つけた機能を組み合わせて表現したそうです。

ここまで来ると異常です。ニューヨーク世界大会に参加するとしたら、そこでも相当奇抜なことをやると思われ、今から楽しみだなあ、と、渋谷の不二家で「何故カレーライスより先にパフェを持ってくるのか。店長を呼べ。」と店員を怒鳴るMAHIRO氏を見ながら、僕はぼんやりと考えていました。

ああ、そうそう。六本木のアフターパーティーでは、某学校の校長先生から、講師やってみないか、と誘われていましたよ。既に仙台と東京の専門学校で講師もしているMAHIRO氏。こういう先生が教えているのであれば、今後、大量にキワモノクリエイターとか排出されそうです。楽しみですね。
錦糸町店は、楽しい
とりあえず、錦糸町店は、楽しい。

ステーキ ステーキハウス ビリー・ザ・キッド錦糸町店

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庶民的な値段のステーキハウスチェーンの老舗。オーダーすると、まずメキシカン風(?)サラダが出てきて、次にステーキ(or ハンバーグ)、ライス、最後に所々が欠けたホーローのカップでアメリカンコーヒーが出てくる。ステーキは山盛りのおろしにんにくと、大量のマスタードでワイルドに食す。錦糸町店のコーヒーは何年も変わらず究極の出涸らしを誇るため、コーヒーが苦手な方でもほうじ茶感覚で楽しめるかもしれません。未だに淹れ方が謎悩むサイドメニューのメキスープも美味でファンが多く、ライスをぶっ込んでリゾット風にして食べるのが通。

お店のサイトはコチラURLステーキハウス ビリー・ザ・キッド

プレゼント 今日のオマケ プレゼント

トマト 秘伝のメキスープ(4人前)のレシピ

【材料】
モウ 牛肉(300g)
新たまねぎ 玉ねぎ(大2個)
キャラメル ビーフコンソメ固形スープ(4ヶ)
唐辛子 チリパウダー(10g)
パプリカ 赤 パプリカ(5g)
バター バター(適量)
レトロ瓶 オリーブオイル(大さじ2)
水 水(800cc)
酢 酢(200cc)
ニンニク ニンニク(1片)
醤油 調味料(醤油、味の素、ソース、タバスコ)

【作り方】
1、刻みニンニクをオリーブオイルで炒め、荒みじん切りした玉ねぎを茶色くなるまで炒める。
2、1にバターを入れ、チリパウダー10g、パプリカ5g、ビーフコンソメを入れ、弱火で粉っぽさを飛ばす。
3、水を800cc加える。
4、表面を焼いた牛肉を入れる。
5、お酢を200cc入れる。
6、調味料で味を整える。
7、弱火で3時間以上煮込む。



「GENIUS AKIBA」は、様々な専門分野で活動している人々の集合体です。マンガ、アニメ、ゲーム、音楽、スポーツ、演劇、ファッション等はもちろん、プランニングやプログラム開発、そしてジャグリング等、そのフィールドは広大かつ深遠です。



「GENIUS AKIBA」は、「ありきたり」なモノや「画一的」なコトから最も遠い存在です。故に「一般」の「普通」のヒトたちからは敬遠されることも多々あります。「特殊」で「異常」。それが膠着した現在の状況を打開する可能性を生み出します。



「GENIUS AKIBA」は、「こんなコトを考えたんだけれど、実現する方法が分からない」、「こんなモノ作っちゃったんだけど、何に使えるか分からない」というコト、モノ、ヒトを募集しています。全ては妄想や偶然、無駄や副産物から始まります。



「GENIUS AKIBA」は、解決不可能な無理難題に直面してしまった企業の方や、代理店の普通でつまらない企画書に飽きてしまった方も募集しています。その内容に応じて様々な頭脳、状況をアレンジし、解決策、打開策を真剣に模索させて頂きます。



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