久しぶりのブログ投稿になるが、実は最近出張で日本に帰っていた。

仕事だったので、当然訪問先があったわけだが、ここで問題だったのが、訪問先との食事をどうするかだった。

前にも書いたと思うが、私はもうかれこれ10年ほどベジタリアンを続けており、特にパンデミックが始まった頃からは、動物性食品を一切摂らないビーガンである。

アメリカでは、最近出身国や宗教に関係なくベジタリアンやビーガンも増えており、ほとんどのレストラン(少なくとも都市部では)にはベジタリアン向けメニューもあるが、日本で育った私は、日本では「好き嫌いせず何でも食べること」が今でも美徳とされていることも分かっている。

 

今回は同僚も数名同行したわけだが、同僚たちは私がベジタリアンであることを知っているので、訪問先と関係のない食事については、一人でホテルの部屋で食べることで了解してもらった。

しかし、問題は訪問先と一緒の食事だ。

 

日本に着いて二日目の夜は、訪問先との食事に誘われていた。

この食事会は、訪問先で業績を上げた人のお祝いも含むということだったので、顔を出しておいた方がよいと思い、出席する旨伝えておいた。

いざとなれば、お通しや付け合わせの野菜など、何か食べるものはあるだろうと思っていたのだ。

しかし、私の出席が決まった後に受け取ったメールによると、予約したレストランではコースメニューを注文したとのことで、その詳細を見てみると、全ての料理に必ず肉か魚が入っている。

幸い、コースと言っても、大皿料理をシェアするものなので、私一人が食べていなくても誰にも気づかれないだろうと思っていたのだが…。

 

当日、私の横にいた訪問先の女性が、私の目の前の小皿に肉の入ったサラダを盛りつけようとしたので、

あ。いいです。

と、やんわり断ろうとすると、驚いた顔をされた。

私が改めて、

食べたいものがあったら自分で取りますので、いいですよ。

と言っても、彼女はまだ不思議そうな顔をしていた。

いいんですか?お腹空きますよ。

と彼女が心配そうに訊いてくるので、最初は、

まだ時差であまりお腹が空いていないんです。

と言って言葉を濁していたが、彼女はずっと心配し続けていたので、ついに私は、変人扱いされることを覚悟の上、迷った挙句、

実はベジタリアンなんです。

と言ってしまった。

 

実際時差のせいでそれほどお腹が空いていなかったのも事実だし、それに、実はホテルの向かいにあったスーパーで果物を買い込んでおいたので、お腹が空いて眠れないという心配はなかった。

もちろん、無理してでも肉や魚を食べるというオプションもあったのかもしれないが、長年食べていなかった動物性食品を今の私の体が消化できるかどうかも不安だった。

だから、私はここでは水だけ飲んでやり過ごし、訪問先の人には一切迷惑をかけたり気を遣わせたりしたくなかったのだが、結局メニューを渡され、

食べられるものを選んで注文してください。

と言われてしまった。

私のせいで余計なお金がかかるのは申し訳ないですから。本当に大丈夫なんですよ。

と断ったのだが、どうしても注文してほしいようだったので、結局お言葉に甘えてキュウリの小鉢を注文した。

 

 

その翌日からは、二日間の会議のため、宿泊施設で合宿を行うことになっていた。

合宿には一日目の昼食と夕食、二日目の朝食と昼食が含まれており、事前に食事についてのアンケートがあって、どうしてもアレルギー等で食べられないものについては報告できるようになっていたのだが、そのアンケートには以下のような注意書きがあった。

 

食べられないものとは、好き嫌いのことではありません。

また、メニューによっては対応できない場合もあります。

アレルギーが起きた際の対応について把握するため、医師の診断書を提出していただく場合もございます。

 

つまり、命に係わるアレルギーがない限り、多少体に合わなくても、無理してでも食べろということらしかった。

アメリカでは絶対このようなことはあり得ないと思うが、やはりここは「好き嫌いせず何でも食べること」が昔から美徳とされてきた日本独特だと思った。

幸い自分で食事を持ち込むことは許可されていたので、私は全ての食事を断り、代わりに買い込んでおいた果物を持っていくことにした。

ここでも、無理してでも他の人と同じものを食べるべきか迷ったのだが、やはり長年食べていない動物性食品を食べることで消化不良や体調不良を起こすのではないかという不安があった。

結局、食事会場で一人だけ違うものを食べるのは抵抗があったため、全ての食事は部屋で一人で食べた。

相手先の人たちは食事会場に私がいないことに気づいていたかどうかはわからないが、気づかれていたとしたら、やはり変人だと思われていたかもしれない。

 

 

この合宿が終わった後、実家に帰ったのだが、幸い私の家族は私がベジタリアンであることに理解を示してくれた。

とはいっても、レストランを選ぶにしても、ベジタリアンメニューがある店を選ぶのは安易ではなかった。

実家があるのは農業の盛んな地域でもあるため、地元野菜を使用していることをアピールしている店は沢山あるのだが、メニューを見ると殆どと言っていいほど肉や魚が入っているのだ。

 

 

日本にもベジタリアンは少数派ながらも存在すると思うのだが、特に仕事での食事ではどうするのが最適なオプションなのだろうか?

やはり、周囲に失礼のないよう、無理してでも動物性食品を食べるべきだったのだろうか。

変人と思われるのはまだいいとして、迷惑な人、面倒な人と思われていなかったかが不安である。

だからといって、また肉を食べられるようになりたいとは考えていないのだが…。

 

にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村