私たちは既に2軒のカフェに振られていた。
行く予定の3軒のカフェのうち、2軒が営業していなかったのだ。
あと一軒に望みを託し、私たちは香取に向かっていた。


表に出れば海、振り返れば山

といったカフェに散々行った私たちであるが、今回は古い町並みを楽しむためにはるばる香取までやって来た。

うのはバイト先の方に紹介してもらった。
検索した時に、たまたま出てきた写真が気になってどうしてもその正体を突き止めずにはいられなかった。
それは植木鉢のようなマグカップに黒々とした液体が並々と注がれて、上には土のような粉末がかけられている飲み物。

これ、絶対頼もう
と決心した。
香取神宮の参道をすたこら歩く

お店の前に着いてとりあえずぱしゃり
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お店に入るとソファの4人席と入り口付近の小さなスペースに並びの2人席しか空いてなかった。
私たちは遠慮して2人席に腰掛けた。
さっきとった写真を眺めながら、
あれ、なんだか綺麗になってる気がする
リニューアルしたのかな
などと、店の人の前で失礼極まりない客である。
メニューの豊富さになんだかわくわくした
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この中のどれが植木鉢なのだろうか。
きっと黒蜜ラテに違いない。


いそいそ動くお兄さんを呼び止めた。
これなんですか。
と携帯の写真を指差しながら尋ねると、
ホットチョコレートです
とかえってきた。

思いがけない返答に
え、
となってしまった。
少し間をおいてから
じゃあ、それと抹茶ミルクとお団子のセットでお願いします

奥のほうでは、おばあさんたちが一生懸命注文された品を運んでいる。
その姿はけなげで、ほんわかした気持ちになる。
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お団子は焦げめの香ばしい味
わーさん曰く、これは西友のお団子とは違うそうな。
当たり前である。
抹茶ミルクはふんわりしたミルクの甘さに際立つぴんとした抹茶の風味
誠においしゅうございました。

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紺と朱色のしましまのレトロなワンピース、昭和のレコード、多種多様な置物、薄汚れたタペストリー。
これといった統一感もなく、ただ置きたいものを置いているだけの店内。
雑多な空間。

お客や時代に媚びない趣がこの店にはある。
そういった飾らないところがこの店の親しみやすさや居心地の良さ所以なのだと思う。
何時間でもいられる
といった具合だ。
その通り、私たちは長い間そこにいた。
気づくともう香取神宮の拝観時間が迫っている。
最初は狭く感じられたこの席も帰る頃には離れ難くなっていた。
ソファの4人席にはおっちゃんが一人、どかんと座りBGMのレコードを選んでいた。
勝手気儘のやりたい放題。
それが許されるこの店の懐の広さ。

また来よう。
そう決めて薄暗い香取神宮をすたすたと歩いた。


わーさんは車をびゅんびゅん走らせる。
窓の外にはおそらく利根川であろう大きな黒い帯が横たわる。
その奥にはちかちかと灯りが光っていた。
茨城。
しばらくその風景が流れていた。
飽きずに何も考えずにじっと眺めていた。
何もかも遠くに感じた。
きっと眠い、これは。



そう思い始めた時、銚子についた。 
もう夜だった
灯台からは一直線に光線が伸びて、くるくると滑らかに回転している。
風に運ばれてくる海の匂い。
確かにそこに海はあった。
だけど、銚子には初めて来たのでどんな海か全く分からなかった。

また来よう。

今度は鰻を食べて、振られた2軒のカフェに再チャレンジして、うのでお茶して、銚子に行く。
次はちゃんと日が暮れる前に銚子に行かなきゃ。