Yちゃんと日本で別れてから40年がすぎていた。

2000年代に入り、

全く予想もしてなかったカルガリー訪問が三度もできたことは、

とても幸せなことだった。

 

それは、お互いに独り身になったころのことだった。

Yちゃんからカルガリ-へ来ない?と。

飛行機で約8時間でバンク-バ-へ、簡単にカナダに行ける時代になっていた。

 

 

~ カルガリー ~

 

国際色豊かでフレンドリーなYちゃんの住むカルガリー。

バンク-バ-から飛行機で約1時間、

ロッキー山脈を越えて最初に出会う大きな町である。

カルガリーとは、スコットランド語で”透明な流水”を意味するのだそうだ。

なるほど、豊富なきれいな水、生活用水は全て無料だと言う。

 

Yちゃんの住まいは、カルガリー国際空港から車で1時間弱の住宅地にあった。

同じような広い庭付きの平屋の住宅が並ぶブロックの一角だ。

お互いに隣との仕切りのない住宅が並ぶ。

宅地は広く見える。

さすがにカナダだ!

Yちゃん宅の、緑一面に敷き詰められた庭の芝は、

一日中、散水の水を貰い生き生きと輝いていた。

時にシマリスが、水浴びに来るのだろうか、庭を駆け抜ける。

ここならではの歓声があがる時だった。


 

~ ロッキ―山脈へ ~

 

カルガリーの夏の夜は10時頃まで明るい。

Yちゃん、三日間フルに使って、車でロッキー山脈を回ってくれたね。

目の前に広がる針葉樹林の中から、高く力強くそびえ上がる白い岩肌、

足元に広がるお花畑、

ときに目の前に広がる紺碧の湖。

出迎えてくれるのは、ロッキーの動物たち。

車からは出られないが、

角を自慢しに会いにくるエルク、

かわいいシマリスが自分の住処の穴から覗き、

そして威厳のあるロッキーのヘラシカなど、

今でも、雄大な景色が次々と鮮明に湧き上がってくる。

 

地図を広げて、”Yちゃん、ここどこを走ってるの?” 

”知らない!どこかへ出るでしょう”

答える運転手も気持ちが雄大になっていた。

人間を、雄大さの中へスッポリと包み込んでくれる旅だった。

 

 

~ カルガリーの祭り ~

 

Yちゃんが大変苦労して手に入れてくれたチケット。

それが、騎馬警察隊が開拓したというこの町、カルガリーの名残で、

毎年7月に世界最大のショウ、「スタンピード」と言われる祭りだ。

カーボーイのショウが10日間行われる。

町全体が西部開拓時代になるのだ。

Yちゃんのおかげでショウを一日運よく見学できたことには、感謝感激だったよ。

 

ここで、祭りの記念にとカーボウイハットをゲット、成田空港まで冠って帰り、

その飛行機の機長さんから声をかけられて、

スタンピードの話ができたことも、嬉しい思い出の一つになっている。

 

 

~ 焼肉パーティー ~

 

Yちゃんが近くでお付き合いしている、イギリスから来たというご婦人と、

南アフリカから来たというN婦人たちと、

彼女たちの住むガーデンで、

アルバ-タ-牛で食べた焼肉、最高に美味しかった。

おたがいに、雰囲気とジェスチャアと表情混じりでする会話も、

笑いを誘うパ-ティ-に。

アルバ-タ-牛は、カナダでも人気の牛肉だと言う。

楽しく嬉しい食事会だった。

もう一度食べに行きたかったよ。

 

 

~ エドモントンでは ~

 

アルバ-タ-州の北にあるエドモントン、

Yちゃんがお買い物に連れて行ってくれた。

なんと、世界最大と言われているショピングモ-ルへ。

 

エドモントンへはカルガリーから飛行機で一時間、

60を超えるという、多様な民族が集まっている、国際都市と言われている街だ。

世界一と言われるショッピングモールがあり、

800軒以上のショップ、レストラン、

波が寄せては返るプ-ルに、アイススケートリンクやパターゴルフコース、

一日いても飽きることはないだろう。

ボヤボヤしてると、自分がどこに居るのか分からなくなる。

Yちゃんにしっかりとついて回ることに。

カナダに住む人でも、”エドモントンで買ってきた”と言えば自慢になると言う。

街中ではビジネスマン姿の人が多く国際的な雰囲気が漂っていた。

 

 

 

・・・思い返せば尽きぬほどのカナダでのYちゃんとの時間だった。

 

Yちゃんからの最後のお誘いがあった。

”カルガリーへ来ない?隣の家getしておくから。”

”夏だけでも行くからよろしくね”、と返事した。

冗談交じりで頼んだものの、夢のような話が最後となった。

Yちゃんは施設に入ってからは、

ここ数年、文字も書けなくなり、話もできなくなっていたから・・・

 

 

Yちゃん、忘れられない、楽しい、沢山の思い出をありがとう。

ありがとうございました。

いつまでも、何時までも感謝してます。