いつの間にか50代に入った我が娘、ヴァイオリンを持たせたのは、

彼女が5歳の時だった。

 

好きな音楽を自分の持つ楽器で奏でることができたら、

どんなにか楽しいことだろうか。

鑑賞は好きでも楽器は弾けない、そんな親の思いからだった。

 

最初は彼女のお姉ちゃんが習うピアノが弾きたいと言ってた。

彼女がヴァイオリンにいきつくまでには1年かかった。

同じ楽器で二人が競うよりは、二人で楽しんで欲しかったからだ。

 

やめたい、と言いだした時期もあった。

主人には、瓜の蔓に茄子はならぬ。

と、私にブレ-キをかけられることも。

 

進学時、指導を受けていた先生からは、

ヴァイオリンの方に進むことを勧められるが、

彼女は ”追われて弾くよりは、楽しみたい”

そう言って音大へはいく道は選ばなかった。

 

それでもその後も、子育てをしながら続けたヴァイオリン。

 

50代を過ぎた今では、

弦楽アンサンブルや、地元のアマチュア楽団に参加し、

自分も楽しみながら、人前で年に数回、皆を楽しませてくれている。

よくぞここまで続けてくれたと、感謝の気持ちが湧いてくる。

 

我が家の全ての部屋にスピーカを設置して、

好きなレコード・CⅮを流して聴いていた主人も、

きっと近くで娘の生演奏に耳を傾け、

満足していることだろう。

 

瓜の蔓に茄子はなります。

 

チャレンジすることは若いうちにするものです。

芸は身に付くと一生わすれない。

そして、芸を身につけることで、

周囲から見られる目線もかわってきます。