1. Si Si
(Charlie Parker)
2. Swedish Schnapps [take 3, alternate]
(Charlie Parker)
3. Swedish Schnapps
(Charlie Parker)
4. Back Home Blues [take 1, alternate]
(Charlie Parker)
5. Back Home Blues
(Charlie Parker)
6. Lover Man
(Jimmy David/Roger "Ram" Ramirez/Jimmy Sherman)
7. Blues for Alice
(Charlie Parker)
8. Au Privave [alternate take 2]
(Charlie Parker)
9. Au Privave
(Charlie Parker)
10. She Rote [alternate take]
(Charlie Parker)
11. She Rote
(Charlie Parker)
12. K.C. Blues
(Charlie Parker)
13. Star Eyes
(Don Raye/Gene de Paul)
14. Segment
(Charlie Parker)
15. Diverse
(Charlie Parker)
16. Passport [alternate take]
(Charlie Parker)
17. Passport
(Charlie Parker)

 

1 - 7:Aug. 8, 1951
Red Rodney - trumpet
Charlie  Parker - alto saxophone
John Lewis - piano
Ray Brown - bass
Kenny Clarke - drums

8 - 13:Jan. 17, 1951
Miles Davis - trumpet
Charlie  Parker - alto saxophone
Walter Bishop, Jr. - piano
Teddy Kotick - bass
Max Roach - drums

14 - 17:May 5, 1949
Kenny Dorham - trumpet
Charlie  Parker - alto saxophone
Al Haig - piano
Tommy Potter - bass
Max Roach - drums

 

モダン・ジャズの歴史は、その全てが
Louis Armstrongを出発点として、
Coleman Hawkins、Lester Youngを経、
Dizzy Gillespie、Charlie Parkerのビバップへ至り、
Miles DavisやChet Baker、John Coltraneへと
連なる大きな流れがあります。

もっと端的に申せば、ジャズとは、
Louis ArmstrongからCharlie Parker、
そしてMiles Davisへという大きな流れがまずあり、
そこから枝分かれした支流によって
末広がりしたものだということです。

彼ら3人の横には、Duke Ellingtonというまた別の大河があり、
ビッグ・バンドでキャリアのスタートを切り、そこでの経験を基に、
少ない人数で最大の効果を上げるサウンドを模索しながらも、
ビッグ・サウンドへの憧憬を持ち続けたことです。

 

1948年暮れにCharlie Parkerのバンドを脱退した
Miles Davisは、後に『クールの誕生』と呼ばれる
プロジェクトに参加して、
9人編成によるビッグ・サウンドを模索しながら、
一方でTadd DameronやArt Blakey、Sonny Rollinsといった
新しいミュージシャンとハード・バップの夜明けを体験する。

Charlie Parkerも自身のバンドでの演奏と並行して、
弦楽器奏者とのレコーディングを繰り返していた。
バードの『ウィズ・ストリングス』と
マイルスの『クールの誕生』が動き出している中で、
このSwedish Schnappsがレコーディングされた、
という視点に立つと、見通しが良くなる。

しかも本作には、その『クールの誕生』を完成させ、
Prestige Recordsとの契約を取り付けたばかりの
マイルスが参加している。
Kind of Blueを頂点とする50年代のマイルスの
最初の音が、このヴァーヴ盤に記録されているのだった。
 

 

過去のダイアルやサヴォイ盤同様、
本作も別テイク収録で、この辺りが
多くのジャズ初心者がCharlie Parkerを敬遠する
一番の要因になっている。
それぞれ3分程度の曲を1枚のアルバムに纏めるには
素材が少ないから、ということなのでしょう。

Columbia Recordsが33回転のLPレコードを
量産、商品化したのが1947年、
マイルスがPrestige Recordsで初の33回転盤を
レコーディングしたのが1951年10月ということで、
パーカーは結局のところ、それを殆ど体験せずに
音楽人生を終えてしまった。

たった3分でパーカーのどこが凄いのかと
実感するのも無理な話だし、
ハード・バップ誕生の一番の鍵は、
長尺の演奏を記録できるようになったことにあります。

 

本作は3部構成になっていて、
Kenny Dorham、Miles Davis、Red Rodneyと
3人のトランぺッターがフィーチャーされていますが、
マイルスはPrestige Recordsでの自身の、
そしてSonny Rollinsのレコーディングを終えた後、
楽器を持ってパーカーの基に駆け付けたのだった。

 

1940年代にパーカーの後ろで
弱々しいトランペットを吹いていたマイルスは、
パリ公演からの凱旋、『クールの誕生』の完成、
そしてPrestige Recordsとの契約‥と、
キャリアを積み重ねてきた自信の漲る演奏で、
美しいバラードStar Eyesでの演奏に
それがよく表れている。

初っ端にRed Rodneyが入っているが、
当時バードはChet Bakerを見出していたけれども、
彼はまだニューヨーク進出を果たしていなかったので、
ロドニーを呼んだということなのでしょう。

マイルスの『クールの誕生』がまずあり、
そのアフターマスとしてのロドニー要請。
そこから本家マイルスお出まし‥という
なかなかの構成です。