1. Ad Lib Blues
(Oscar Peterson/Lester Young)
2. I Can't Get Started
(Vernon Duke/Ira Gershwin)
3. Just You, Just Me
(Jesse Greer/Raymond Klages)
4. Almost Like Being in Love
(Alan Jay Lerner/Frederick Loewe)
5. Tea for Two
(Irving Caesar/Vincent Youmans)
6. There Will Never Be Another You
(Mack Gordon/Harry Warren)
7. (Back Home Again In) Indiana
(James F. Hanley/Ballard MacDonald)
8. On the Sunny Side of the Street
(Dorothy Fields/Jimmy McHugh)
9. Stardust
(Hoagy Carmichael/Mitchell Parish)
10. (I'm) Confessin' (That I Love You)
(Doc Daugherty/Al J. Neiburg/Ellis Reynolds)
11. I Can't Give You Anything But Love
(Dorothy Fields/Jimmy McHugh)
12. These Foolish Things
(Harry Link/Holt Marvell/Jack Strachey)

Lester Young - tenor saxophone
Oscar Peterson - piano
Barney Kessel - guitar
Ray Brown - bass
J. C. Heard - drums

Recorded Nov. 28, 1952

 

Oscar Petersonというピアニストの評価はビミョ~だ。
ボク自身もいささかビミョ~な印象を抱いている。

まずOscar Petersonは演奏を間違えない。
どれだけ超絶技巧、高速プレイで
鍵盤を弾こうとも、間違わない。
彼はもっぱらトリオで演奏することが多く、
Ray Brownのベース、Ed Thigpenのドラムスによる編成は、
1959年から7年間も続いた。

これはつまり、ピーターソン自身の演奏を含めた
全ての要素が、予測可能であることを意味している。

一方、Thelonious MonkやBud Powell、
Bill Evans、Herbie Hancockといった人達の演奏は、
次に何が起こるのか予測不可能で、
時には大きな演奏ミスをしたり、
相性の悪い顔ぶれと当たって、
全てが台無しになる演奏になることもある。

ピーターソンの売出しに積極的に関わったNorman Granzは、
Charlie ParkerやBud Powellのような
ハイリスクなイノベイターよりも、
演奏家も、聴衆も、全ての人が安心して聴いていられる、
事故の少ないやり方を取ったわけだ。

「何が起こるか分からない」「何をしでかすか分からない」ところに
ジャズの醍醐味があり、マイルスなんぞはそれを
何十年とやっていたわけです。

 

 

 

本盤は、そのOscar Petersonのカルテットに
Lester Youngが加わった体の演奏集。
Art Tatum、そしてNat King Coleの影響を受けていた
ピーターソンは、Barney Kesselのギターを入れ、
また盟友、Ray Brownとの付き合いもこの頃からだ。

予測可能なOscar Peterson、Ray Brown、J. C. Heardの
3人に対し、異質なLester Young、Barney Kesselという
組合せが面白い。
勿論レスターは、バードのようなビバッパーではなく、
従ってギザギザとエッジの効いたプレイは望めませんが、
歌うようにサックスを吹くプレズはしっかり堪能できます。

 

冒頭のベイシーのJumpin' at the Woodsideを素材にした
ジャム・セッションから、歌心いっぱいの
I Can't Get Startedへの急転直下。
プレズは鼻歌のようにテナーを吹き、
そこへピーターソンが伴奏をつけるといった体で、
どれもあまり前に出過ぎず、
あくまでもプレズの引き立て役に達しており、そこが好印象。

7曲目からのバラード連続攻撃。
予てからのプレズのレパートリーにして、
Miles DavisのDonna Leeの原型でもある
(Back Home Again In) Indianaは、
ここではケッセルのギターから入る変った味わい。