1. It's a Good Night
(William “Smokey” Robinson)
2. I Love the Nearness of You
(William “Smokey” Robinson/Stevie Wonder) 
3. Hurt's on You
(Lawrence Hanks/Rodney Massey) 
4. Ever Had a Dream
(William “Smokey” Robinson/James Bradford) 
5. Get Ready
(William “Smokey” Robinson)
6. Share It
(William “Smokey” Robinson)
7. Cruisin'
(William “Smokey” Robinson/Marvin Tarplin)

Originally Released May 22, 1979
Produced by William “Smokey” Robinson

松任谷由実が、かつてアイドル歌手のために書いた、
「まちぶせ」や「瞳はダイアモンド」のセルフ・カヴァをした時には、
本人の意気揚々さと、それを聴いてる僕の
ガッカリ度を痛感したもの。
尾崎亜美ちゃんも「天使のウィンク」を
セルフ・カヴァしているけど、
これはそんなにガッカリしなかった。
この差は何なんだろうか。

The BeatlesのI Call Your Nameという曲は、
元々Billy J. Kramer & The Dakotasのために書かれたものだが、
The Beatlesのヴァージョンを聴いてしまうと、
むしろBilly J. Kramer & The Dakotasの
オリジナルのほうにガッカリする。
しかしイギリスの4人組フォーク・グループ、The Silkieがカヴァした
You've Got to Hide Your Love Awayは、
殆ど別の曲を聴いている感じがして、
そんなにガッカリしなかった。
この差は何だろうか。

このアルバムにGet Readyが収録されている。
元々はThe Temptationsのヒット曲だ。
分厚いブラス・セクションのリフがイントロを飾っていた
The Temptationsのヴァージョンと違い、
ここではラテン・パーカッションが2ビートのリズムを叩き、
ラテン・ファンク風のディスコ・ナンバーに仕上がっている。
意外とガッカリしない。
Smokey Robinsonの汗をかかない歌がいいんだな。

 

Where There’s Smoke... Where There’s Smoke...
750円
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大ヒットシングルCruisin'を収録した
1979年のアルバムWhere There's Smoke…

Princeがデビューしたのは1978年で、
Michael Jacksonは79年にOff the Wallをリリース。
そしてThe Sugarhill GangがRapper's Delight
ヒットさせたのも79年。
そんなブラック・ミュージックの新たな流れの中で、
このWhere There's Smoke…はリリースされた。

2曲目のI Love the Nearness of Youでは、
共作したStevie Wonderのハーモニカがフィーチャーされ、
Smokey Robinsonは、意識的にか、
Stevie Wonderの音域で歌っている。

75年のアルバムA Quiet Stormで、
スイートでメロウな、都会的で洗練された音楽‥
いわゆるクワイエット・ストームを確立。
このアルバムでは、メロウな要素は薄れ、
アッパーなサウンドが並んでいますけど、
都会的なことに変わりはなく、心地よさがあります。
その顕著な例が、ラストに収録されたCruisin'です。

D'Angeloが95年にBrown Sugarの中で
カヴァしていますけど、
彼は原曲を殆どいじっていない。
それだけSmokey Robinsonによるヴァージョンが
完璧だということだろう。

Smokey Robinsonの歌にはもともと、
典型的なソウル・ミュージックにありがちな、
ギトギトしたところがない代わりに、
モダン・ジャズのような密室性があって、
それがソロになってクワイエット・ストームを確立する中で、
独特の浮遊感というか、リゾート感を
伴うことになったんですね。