1. It's Her Turn to Live
(William “Smokey” Robinson/Marvin Tarplin)
2. The Love Between Me and My Kids
(William “Smokey” Robinson)
3. Asleep on My Love
(William “Smokey” Robinson/Marvin Tarplin)
4. I Am I Am
(William “Smokey” Robinson)
5. Just Passing Through
(Janie Bradford)
6. Virgin Man
(William “Smokey” Robinson)
7. She's Only a Baby Herself
(William “Smokey” Robinson)
8. Fulfill Your Need
(William “Smokey” Robinson/Marvin Tarplin)
9. A Tattoo
(William “Smokey” Robinson)

Originally Released Mar. 15, 1974
Produced by William “Smokey” Robinson

George Harrisonの1976年のアルバムThirty Three & 1/3に、
Pure Smokeyという曲がある。
Smokey Robinsonのアルバムの表題をそのまま拝借し、
The Beatlesがかつて影響を受け、自身のSomething
最高の形でカヴァしたSmokey Robinsonへの
オマージュを捧げている。

そしてふと思うのだが、The Beatlesにモータウン、
或いはSmokey Robinsonの音楽をもたらしたのは、
George Harrisonだったのではないか。

The Beatlesの2枚目のアルバムにはモータウンのカヴァが
3曲収録され、全てJohn Lennonが歌っているけれども、
62年12月にハンブルグでやったライヴで
最も多く取り上げられているのはChuck Berryで、
モータウンのモの字もない。
ついでにThe ShirellesやCarole Kingもない。

デビュー・アルバムのChainsBaby It's You
それに2枚目のモータウン3曲は、ジョージが目を付け、
バンドにもたらしたのではないか。
The Beach Boysはドゥーワップからコーラス・ワークを学んだが、
The Beatlesはヴォーカル・アンサンブルだけでなく、
ソングライティングそのものをSmokey Robinsonから学んだ。

ジョージは単にドゥーワップ的なコーラス・ワークに
興味があっただけかもしれないが、ジョンとポールは、
そこから更に歌作りのコツまで押さえた。
ジョージがきっかけを作り、それを他が発展させる‥
The Beatlesは何度もそういう場面があったではないか。

 

Pure Smokey Pure Smokey
3,746円
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ソロ第2弾となった本作は、The Miraclesからの盟友にして
ギタリストのMarv Tarplinが参加。
彼は2008年にツアーをリタイヤするまで、
レコードとライヴでスモーキーと共に過ごすことになる。

1958年、The SupremesがまだPrimettesと名乗っていた時に、
彼をSmokey Robinsonに引き合わせたのだった。
スモーキーが歌を作り、他のThe Miraclesがコーラスを考えて、
それにマーヴがギターで伴奏をつけるという、
ストリート・コーナーからそのまま出てきたような魅力が、
ひいてはモータウンの原点でもあった。

Virgin Manだ。
右チャンネルで"Wah Wah" Watsonがワウワウ・ギターで
カッコいいリフを刻み、左チャンネルでMarv Tarplinが
The Tracks Of My Tearsにレイドバックした
リフを刻んで、その真ん中でスモーキーが
スムージーなファルセットを聴かせる。

次作A Quiet Stormがあまりに素晴らしすぎて
地味な、セールスもさっぱりだったという本作だが、
そんなレコードでも聴いていたGeorge Harrisonは、
The Miracles時代からSmokey Robinsonを欠かさず
聴いていたんだろうね。