1. (Love Is Like a) Heat Wave
(Brian Holland/Lamont Dozier/Edward Holland, Jr.)
2. Then He Kissed Me
(Phil Spector/Jeff Barry/Ellie Greenwich)
3. Hey There Lonely Boy
(Leon Carr/Earl Shuman)
4. More
(Riz Ortolani)
5. Danke Schoen
(Kurt Schwaback/Bert Kaempfert)
6. If I Had a Hammer
(Pete Seeger/Lee Hays)
7. Hello Stranger
(Barbara Lewis)
8. Just One Look
(Gregory Carroll/Doris Payne)
9. Wait Till My Bobby Gets Home
(Phil Spector/Jeff Barry/Ellie Greenwich)
10. My Boyfriend's Back
(Bob Feldman/Jerry Goldstein/Richard Gottehrer)
11. Mockingbird
(Inez Foxx/Charlie Foxx)
Originally Released Sep. 30, 1963
Produced by William “Mickey” Stevenson,
Brian Holland and Lamont Dozier
最初のアルバムが6月末、
そしてその3ヶ月後にこのアルバムが出ている。
それは勿論、本作のタイトル曲であり、
ヒットしたばかりのシングル曲を
更に売り込むためであることは容易に想像できる。
それにしても、年2枚のアルバムというのは、
今の感覚では想像もつかないと思うけど、
音楽が手っ取り早い金儲けになり得た当時は、
これが当たり前だった。少なくとも80年代までは。
The Beach Boysなどは、1年に3枚ものアルバムを
出していた時期もあった。
しかも当時のミュージシャンやソングライターは、
曲を書くということに関してとても鍛えられていて、
年2枚のアルバムに対応するために
おいそれと曲を書けたのである。
そしてこれは後述するが、
当時はカヴァ曲の敷居が低かった。
「おれはこういう歌が作りたかったんだ」と、
あたかも自分が作ったような気になって、
The BeatlesはChuck BerryやThe Miraclesを歌い、
The Rolling StonesはMuddy WatersやRobert Johnsonを、
気軽に歌っていたのである。
Heat Wave
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冒頭でも述べたように、このアルバムは、
ビルボードのR&Bチャートで4位、
Popチャートでも4位の大ヒットを記録した
(Love Is Like a) Heat Waveを
更に売り込むために企画されたレコードである。
Berry Gordy, Jr.によれば、「金曜朝の会議」
(誰のレコードをいつ発売するかを決める)で
この曲を試聴した彼は、そのアセテイト盤を持って、
デトロイトの有名なダンス・ホール‥
グレイストーン・ボールルームへ走り、
毎週行っているダンス・パーティーのために、これを掛けた。
当然その曲を聴いた者は誰もいないのに、
すぐその場で大変な反響を呼んだそうな。
Motown Recordsの黄金期は、この曲からスタートしたのだ。
ギターのカッティングで始まるイントロから、
もう既にゴキゲンな感じ。
そしてブラス・セクションを中心とした
分厚いリズム・セクションが、猛烈な勢いでスイングしだし、
リード・シンガーのMartha Reevesが
物凄いテンションで切り込んでくる。
Rosalyn AshfordとAnnette Sterlingのコーラスも、
しょっぱなからお祭り騒ぎである。
しかも曲の中盤辺りからバック・コーラスが煽りに煽って、
熱気は更に増し、遂には主旋律を歌い出す始末。
漫才でいえば、ボケとツッコミが入れ替わるようなもの。
The BeatlesがPlease, Mr. Postmanでやってたアレ。
たった2分46秒の間に、これだけのことが出来るんだよ、音楽は。
残る10曲は、同時期にヒットしたガールズ・グループのカヴァ。
幾ら大変なヒット曲をモノにしたとはいえ、
まだライヴのためのレパートリーが少なかった当時。
Martha & The Vandellasにとっては、
そのための素材といえよう。
そしてそれを聴く僕らは、当時のアメリカン・ポップスを、
これ1枚で俯瞰出来てしまう、おいしいレコードだ。
まずPhil Spector関連2曲。
Then He Kissed MeはThe Beach Boysの十八番でもあるけど、
オリジナルはThe Crystals。
Wait Till My Bobby Gets HomeはDarlene Love。
Hey There Lonely Boyは、
Our Day Will Comeというヒット曲を持つ
Ruby & The Romanticsの1963年のナンバー。
Moreは、ご存じ『世界残酷物語』のテーマ。
Kai Windingによるレコードが有名ですが、
僕はJulie Londonの歌も好き。
Danke Schoenは62年のBert Kaempfertの
レコードがオリジナルで、翌年Wayne Newtonの歌が大ヒット。
日本でも弘田三枝子さんが歌っていましたね。
If I Had a Hammerは、あのPete Seeger擁する
ニューヨークのフォーク・グループ、The Weaversが
1949年にリリースしたものがオリジナルで、
62年にPeter, Paul & Maryが歌ってヒットさせてます。
Hello StrangerはBarbara Lewis、
Just One LookはDoris Troy。
10曲の中では、Danke SchoenとJust One Lookがいい。
曲自体がいいからだな。
My Boyfriend's BackはThe Angels。
これは、オリジナルのほうが断然いいな。
元はThe Shirellesが歌う予定だったのが、
拒否されたのかなんなのか、
Mercury Records傘下のSmash Recordsと契約したばかりの
The Angelsに廻ってきた。
Mockingbirdは、グリーンズボロ出身のデュオ、
Inez & Charlie Foxxの63年のヒット曲。
オリジナルはCharles Foxxのギターと、
ピアノのユニゾンでビートを刻んでいましたが、
Martha & The Vandellasのほうはオルガンをフィーチャー。
オリジナルの、Inez Foxxのテンションの高い歌にも、
さすがに負けていない。