1. Hello Goodbye 
(John Lennon/Paul McCartney) 
2. I Am the Walrus 
(John Lennon/Paul McCartney) 

Originally Released Nov. 27, 1967 

The Beatlesのアルバムがアメリカで発売される際には、
イギリスの本盤を再選曲した独自盤が作られていた。
Brian WilsonがPet Soundsを作るきっかけにしたとされる
Rubber SoulRevolverは勿論のこと、
Something NewだのYesterday and Todayという
でっち上げのレコードさえ、平気でアメリカの店頭に並んでいた。

そのお蔭で、Magical Mystery Tourという、
今やThe Beatlesのディスコグラフィに
欠かせないレコードも生まれたのだけど、
The BeatlesとGeorge Martinが、シングル1枚、アルバム1枚の
選曲や構成に費やした労力は、アメリカでは全く無視されていた。
これはThe Beatlesだけじゃなく、The Rolling Stonesも、
The AnimalsやThe Who、The Kinksも、The Yardbirdsも、
当時のイギリスのバンドは皆、そうした憂き目に遭っていた。

しかしそうした悪しき慣行は、Sgt. Pepper'sによって
終焉を迎える。
まさかこのアルバムから何曲かピックアップし、
Revolverからの数曲や、アルバムから外した
Penny Lane/Strawberry Fields Foreverを入れるなんて、
出来やしまい。
そういった事情からそのシングル2曲は、
Capitol Recordsの独自編集によるMagical Mystery Tour
収録されたのである。
前シングルAll You Need Is Love/Baby, You're a Rich Manも、
今シングルのA面曲Hello, Goodbyeもしかり。

それでHello, Goodbyeだ。
歌いだしからいきなりポール版wall of soundsが炸裂する。
何度聴いてもゾクゾクしますね。
リード・ヴォーカルの後ろの三声コーラス、
"Why do you say goodbye"というワンフレーズ前後のインスト、
そして"Hello, hello, hello"とリフレインしながら
フェイドアウトしていく曲の終盤‥
歌詞は他愛ないけど、たった3分31秒の中に色んなドラマがある。
The Beach Boysの‥いや、Brian WilsonのSMiLE
空中分解したが、Paul McCartneyはもはや敵なし。

 

 

1967年8月27日、Brian Epstein死去。
60年代には3人のブライアンがいたが、
その1人目が死んだわけです。
で、デビュー以来自分たちを支えてきた
敏腕マネージャーの死に聊か動揺する中で、
John Lennonがハレ・クリシュナにのめり込んだ時に書いたという、
I Am the Walrusはレコーディングされた。

A Day in the Lifeほどじゃないが、これも凄い曲だ。
John LennonはB面に廻されたのを怒ってたが、
これは確かにシングル向きの曲ではなく、
むしろシングル・レコードなんかに押し込めておくには惜しい。

ふわふわしたメロトロンによる導入部から、
ジョンがシャウトしながら歌いだす。
基本的にはモーダルな楽節を繰り返すだけなんだが、
"Sitting in an English garden waiting for the sun"のところで、
急に曲をぶった切って全く違うメロディをぶち込んでいる。
A Day in the Lifeで、中間部に
ポールの短いピアノ曲が挿し込まれたことに、
恐らくいい心地はしなかったのだろう。
今回は全部自分で面倒見るぞという気概が、
このワンフレーズの処置に表れている。