1. Strange I Know
(Brian Holland/Lamont Dozier/Freddie Gorman)
2. I Forgot About You
(William “Mickey” Stevenson)
3. Locking Up My Heart
(Brian Holland/Lamont Dozier/Edward Holland, Jr.)
4. Which Way Did He Go
(William “Mickey” Stevenson)
5. Silly Boy
(Norman Whitfleid)
6. It's Gonna Take A Lot Of Doing 
(To Undo All The Damage That You've Do)
(Norman Whitfleid/William “Mickey” Stevenson)
7. Smart Aleck
(Norman Whitfleid/William “Mickey” Stevenson)
8. My Daddy Knows Best
(Berry Gordy. Jr.)
9. Too Strong To Be Strung Along
(Brian Holland/Lamont Dozier/Freddie Gorman)
10. Why Must You Go
(Norman Whitfleid/William “Mickey” Stevenson)

Originally Released Feb. 28, 1963
Produced by Brian Holland, Lamont Dozier, 
Norman Whitfleid and William “Mickey” Stevenson

僕がMiles Davisの音楽を聴くようになったのは、
The BeatlesやThe Rolling Stones、Cream等のロックから、
Robert JohnsonやMuddy Waters、Howlin' Wolf等のブルースや、
Chuck BerryやLittle Richard、Fats Dominoなどの
リズム・アンド・ブルースへ掘り下げた末の、
延長のようなものだった。

The Beatlesの2枚目とJeff Beckから、
Motown Recordsを始めとする
ソウル・ミュージックへ傾倒しだし、
やがてベースとドラムのサウンドに興味を持った。
それでMiles Davisを聴き出したわけなんだけど、
今になって思い返すと、Ginger BakerなりJohn Bonhamなり、
もっと早くにジャズへ傾倒してもよさそうなドラマーを
既に聴いていたにもかかわらず、
そうしたロックを聴いていた時分には、
そんな感情が起こらなかったんですね。
Marvin GayeのWhat's Going Onで、
ほぼ全編にわたって聴かれるJames Jamersonのベースがあって、
初めてジャズを聴いてもいいかなと思った。

そしてもう1つ。
このアルバムの1曲目に収録されている
Strange I Knowというバラード。
これを聴いていなかったら、
今僕がどういう音楽を聴いてるか分からない。

 

 

1962年のLamont DozierのシングルDearest One
Holland=Dozier=Hollandが産声を上げ、
そしてシングルにもなったThe Marvelettesの
Locking Up My Heart
いわゆる"モータウン・サウンド"の誕生と相成った。

このアルバムでは、Brian HollandとLamont Dozierに、
Freddie Gormanが加わった旧来のチームと、
Eddie Hollandが入った新しいチームとが混在し、
Holland=Dozier=Hollandが一夜にして
生まれたのではないことを教えてくれている。

先述のStrange I Knowは、旧トリオによるナンバー。
The TemptationsのMy Girlでも
オープニングの印象的なコードを弾いている
ギタリストのRobert Whiteが、
ここでも印象的なカッティングでイントロを飾り、
Benny Benjaminが細かいストローク奏法で
紙を引き裂くようなスネア・ドラムを叩き、
そしてその空間に、James Jamersonがクロマティックな
ベース・ラインをねじ込んで、ビート全体を前へ送り出す。

まず感心したのは、そのサウンドの分厚さ。
後にThe Four TopsやThe Supremesの楽曲で聴かれる
Holland=Dozier=Hollandのサウンド・スタイルが、
この時点でもう完成していることを示す。
そしてシャウトしながら、熱唱を聴かせるGladys Hortonと、
他のThe Marvelettesとのコール・アンド・レスポンス。
その切なさときたら、前作のForeverの比ではない。

Strange I Knowがあまりに凄すぎて他が霞むけど、
このアルバムには、Norman Whitfieldの楽曲も収録されている。
彼は62年くらいにレーベルに出入りするようになって、
スタジオで床掃除とか荷物運びみたいな下働きをしながら、
A&Rマン、William “Mickey” Stevensonのアシスタントをし、
その合間に曲も書くようになっていった。
そのうちの1つが、Marvin GayeのPride and Joyで、
The MarvelettesやThe Temptationsに曲を書きながら、
頭角を表していくわけです。
60年代後半のサイケデリックな音を先に知ってしまった僕としては、
ここでの楽曲は物足りない。
これがどうやって大化けしていったのか謎だ。