1. Taxman 
(George Harrison) 
2. Eleanor Rigby 
(John Lennon/Paul McCartney) 
3. I'm Only Sleeping 
(John Lennon/Paul McCartney) 
4. Love You to 
(George Harrison) 
5. Here, There and Everywhere 
(John Lennon/Paul McCartney) 
6. Yellow Submarine 
(John Lennon/Paul McCartney) 
7. She Said She Said 
(John Lennon/Paul McCartney) 
8. Good Day Sunshine 
(John Lennon/Paul McCartney) 
9. And Your Bird Can Sing 
(John Lennon/Paul McCartney) 
10. For No One 
(John Lennon/Paul McCartney) 
11. Dr. Robert 
(John Lennon/Paul McCartney) 
12. I Want to Tell You 
(George Harrison) 
13. Got to Get Into My Life 
(John Lennon/Paul McCartney) 
14. Tomorrow Never Knows 
(John Lennon/Paul McCartney) 

Originally Released Aug. 5, 1966
Produced by George Martin 

1966年6月29日、The Beatles来日。
羽田空港に降り立った4人は、
翌日から日本武道館で3日間のコンサートを行い、
アメリカより2年遅れの台風を撒き散らしていった。
日本滞在の4日間が如何に凄まじく、
また前例のない騒ぎだったかについては
改めて繰り返さないけど、
そのたった4日で残していったものはあまりに大きい。

4人が来日した時にはもうこのRevolver
レコーディングは終っており、後はアルバムの
タイトルを決めるのみで、日本ツアーの際に警察官が
手にしていた拳銃から、Revolverとなったのである。

そしてこの1966年は、なんといっても
Bob DylanのBlonde On Blonde
The Rolling StoesのAftermath
それにThe BeatlesのRevolver
The Beach BoysのPet Soundsの年である。

俗説に従えば、Rubber Soulを聴いたBrian Wilsonを、
一気にPet Soundsへ向かわせた。
そしてThe BeatlesがRevolverを作り上げた時、
Pet Soundsはもう出ていて、Today!を聴いて
Revolverへ向かわせたPaul McCartneyは、
今度はSgt. Pepper'sを作り上げるわけです。

アルバムは、George HarrisonによるTaxmanで始まる。
The YardbirdsのHeart Full of SoulでJeff Beckは、
エレクトリック・ギターをシタールのように弾く奏法で、
いわゆるラーガ・ロックへの道を切り開いたが、
このTaxmanではポールが、それに挑戦している。
Brian Jonesがそこにチャレンジしなかったのが不思議。

そして、華やかだけどうら寂しいEleanor Rigby
これがついこの間までYesterdayとかMichelleとか
言っていたのと同じ人間のすることか。
くらくらする1~2曲目なのである。

John LennonによるI'm Only Sleepingは、
まずコード進行を譜面に取って、
逆の順番にこれをひっくり返し、それに従って演奏、
そのテープを逆回転させた‥ということらしい。
歌詞は、もろドラッグ・ソング。

そしてインド人のミュージシャンを使った
George HarrisonのLove You to
次作のWithin You Without Youにも言えることだけど、
インドに惑わされてはいけない。
あくまでも、インドを介したロックンロールなのだ。

で、A面のハイライト。
Paul McCartney最高のバラードは、本作の
Here, There and Everywhereである。
The Beach BoysのGod Only Knows
触発されて書いたということだけど、
取り入れたのはせいぜいコーラスの部分だけ。
どう捻ればこんなすごいメロディが思いつくんだ。

そんな凄いバラードの後に、アニメ映画の主題歌。
振れ幅の大きさが、このアルバムの魅力だ。

1965年夏、カリフォルニアでPeter FondaとLSDをやった時に彼が、
「死んだらどうなるか知っ てるよ」
と言ったのをJohn Lennonが憶えていて、
She Said She Saidという曲にした。
この曲の"She"とは、Jane Fondaのこと。

「"死ぬってどういうことか
悲しみってどんなものか 私知ってるわ"
そんなふうに言われたら
この世に生まれてきてないような気分になる」

 

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そんな1966年に大ヒットしたアルバムがあった。
DonovanのSunshine Supermanだ。
Jimmy Pageが参加したタイトル曲は、
英国版Bob Dylanの汚名を返上し、
新たなDonovanのスタイルを作ったわけですが、
Paul McCartneyが書いたGood Day Sunshine
そのアンサー・ソングだ。
彼自身は、The Lovin' SpoonfulのDaydream
インスパイアされたと言ってますが。
The MonkeesにDaydream Believerという曲がありますが、
こっちのほうが明らかに"セバスチャン"してます。

「我ながらひどい曲だ」とJohn Lennonがのたまっていた、
And Your Bird Can Sing
しかし彼がそういった曲‥It's Only Loveにしろ
Run for Your Lifeにしろ、そう悪いものじゃない。
確かに一昔前の、ホレたハレたのラヴソングだけど、
She Said She Said同様、
このきらびやかなサウンドは捨てがたい。

このアルバムで、Paul McCartneyは本当に大化けした。
その証が、ピアノとベース、ホルン、ドラム、
そして通奏低音で鳴っているクラヴィコードで構成された、
For No Oneだ。
とにかくメロディが美しい。

続くJohn LennonのDr. Robertは、またもやのドラッグ・ソング。
あまり大きな声では言えませんが、
快楽主義に両脚を突っ込んだ歌です。

George HarrisonのI Want to Tell Youは、
彼がインド音楽と接触したから生まれたメロディ。
I Want to Hold Your Hand
インドを通過してこうなったのである、George Harrisonの中で。

Paul McCartneyのソングライティングでは、
Earth, Wind & Fireのカヴァでも知られる
Got to Get Into My Lifeが見事だ。
Stax RecordsのThe Bar-Kaysみたいな分厚いブラスが、
イントロではソフトに、やがて演奏は熱気を帯び、
エンディングで大団円を迎える。
風のように去っていくのが、またいいね。

そして、このアルバムのハイライト。
John LennonのTomorrow Never Knowsだ。
この曲が、Revolverで一番最初に
レコーディングされたというのは意外だ。
そういえば、次作のラストを飾るA Day in the Lifeも、
真っ先にレコーディングされており、
いずれものラスト・ナンバー、
そしてレコード一番の聴きどころへどうやって
持っていくかにこだわっている。
プロデューサー、George Martinの腕の見せ所である。
凄まじいサウンドだ。

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
あの時代の空気をそのままパッケージした作品だった。
The Beatlesの一作品ということを超えて。
だから完全再現不可能という点では、
Sgt. Pepper'sのほうが上だろう。
しかし時代を飛び越えてるのは、Revolverだ。