1. Rock and Roll Music 
(Chuck Berry)
2. It's O.K. 
(Brian Wilson/Mike Love)
3. Had to Phone Ya 
(Brian Wilson/Mike Love/Diane Rovell)
4. Chapel of Love 
(Jeff Barry/Ellie Greenwich/Phil Spector)
5. Everyone's in Love with You 
(Mike Love)
6. Talk to Me 
(Joe Seneca)
7. That Same Song 
(Brian Wilson/Mike Love)
8. T M Song 
(Brian Wilson)
9. Palisades Park 
(Chuck Barris)
10. Susie Cincinnati 
(Al Jardine)
11. A Casual Look 
(Ed Wells)
12. Blueberry Hill 
(Al Lewis/Larry Stock/Vincent Rose)
13. Back Home 
(Brian Wilson/Bob Norberg)
14. In the Still of the Night 
(Fred Parris)
15. Just Once in My Life 
(Gerry Goffin/Carole King/Phil Spector)

Originally Released July 5, 1976
Produced by Brian Wilson

Bob Dylanが1970年に発表した2枚組Self Portraitは、
幾つかの自作曲やライヴ演奏とともに、
いわゆるポップスのカヴァを収録したものだった。
当時雲隠れ状態にあったディランが、
自分の歌がどういうところから来ているのかという、
その時点での現在地を示すものだった。

2015年、今度は事実上のシナトラのトリビュート盤
Shadows in the Nightをリリース。
これは、シナトラのレパートリーを使った
Self Portraitの第2弾である。

John Lennonは1975年に、ロックンロールのカヴァ曲集
Rock 'n' Rollを出したし、Paul McCartneyも
スタンダードのカヴァ曲集Kisses on the Bottom
2012年に出していた。
それらは、ジョンとポールにとってのSelf Portraitなのだ。

そしてThe Rolling Stonesは2016年暮れに
ブルース・カヴァ・アルバムBlue & Lonesome
突如リリースして、周囲を驚かせると同時に、
Start Me Upのストーンズしか知らない人達に、
その音楽がどこから来たのかを認識させた。

 

 

1976年、結成15周年を迎えたThe Beach Boysは、
彼ら‥というかBrian WilsonにとってのSelf Portraitを
リリースした。
68年のFriends以来、久々にやる気になったブライアン。
Pet Sounds以来、久々にアルバムのプロデュースもやった。

メンバーによるオリジナルもあるけど、
半分は誰もが知っているオールディーズのカヴァ。
かつてのThe Beatlesのアルバムみたいだ。

そのThe Beatlesが1995年に『アンソロジー』シリーズの
第一弾の特典として、シングルFree as a Bird
発売した時、リンゴのドラムが鳴り、ジョージの
相変わらずなギターが聞こえた時、それは確かに
The Beatlesの音として蘇った。

60年代にやっていてもおかしくない素材なのに、
Surfin' U.S.A.Fun Fun Funで鳴っていた
Carl Wilsonのギターが、ここでは全く聞こえず、
ブライアンの声もすっかり潰れていて‥
つまり今のブライアンの声になっているしで、
複雑な気持になる。

She Loves Youで鳴っていたジョージのギターも、
Surfin' U.S.A.で鳴っていたカールのギターも、
Little Red Roosterで鳴っていたキースのギターも、
クラプトン以降のロックのギター・サウンドに慣れた
耳には、とても同じロックのエレキ・ギターとは
思えないが、実は時代を超えた音だったのだ。

このアルバムの最後から2曲目‥In the Still of the Night
デニスのヴォーカルの後ろで鳴っている美しいコーラス。
Surfer Girlのあのコーラスだ。