1. Changing of the Guards
(Bob Dylan)
2. New Pony
(Bob Dylan)
3. No Time to Think
(Bob Dylan)
4. Baby, Stop Crying
(Bob Dylan)
5. Is Your Love in Vain?
(Bob Dylan)
6. Senor (Tales of Yankee Power) 
(Bob Dylan)
7. True Love Tends to Forget
(Bob Dylan)
8. We Better Talk This Over
(Bob Dylan)
9. Where Are You Tonight? (Journey Through Dark Heat)
(Bob Dylan)

Originally Released June 15, 1978
Produced by Don DeVito

1978年2月、Bob Dylanは遂に日本の地を踏んだ。
実際のステージと記者会見の模様はNHKのニュースでも
取り上げられたそうですが、今では何事もなかったような
扱い。
昭和史の1ページとして話題になるThe Beatlesとは、
大きな違いだ。

当時5歳の僕は、勿論そんなおっさんのことは、
顔も名前も全く知らなかったし、
解散が目前に迫ったキャンディーズのほうが
遥かに重大な問題だった。

しかしサザンオールスターズがデビューした年に
ディランが来日したというのも、不思議な縁を感じる。
『武道館』の最後は「時代は変る」で〆られていた。

だが変わったのは時代だけじゃなかった。

 

 

前作『欲望』から1年9ヶ月ぶりの新作。
毎回違うことをやるディランだが、
まさかAOR路線に乗り込むとは誰が予想しただろう。

George HarrisonのMy Sweet Roadみたいな
Changing of the Guardsは、フェードインから始まって、
The Shirellesみたいな女性コーラスが、
ディランとコール&レスポンスするという展開。
続くNew Ponyはブルースだが、
これもジョージ風なギター・サウンドによって、
ビート感が増している。

76年11月25日、The Bandの解散コンサートが行われ、
ディランも、数々のゲスト・ミュージシャンとともに、
これに顔を出した。
その模様は映画『ラスト・ワルツ』及びそのサントラ盤で
確認できる。
その直前にはクラプトンのアルバムNo Reason To Cry
Sign Languageを提供し、ゲストで歌ってもいる。
The Band、Eric ClaptonのR&B志向に直接触れたことで、
ディランの中にもある種の化学反応が起きたんだ。

日本滞在中に作ったとされ、武道館でも
早速歌われたIs Your Love in Vain?
センチメンタルなこと。
かなり凝ったイントロで始まるSenorも、
どこか黄昏ている。

『欲望』でアフリカをチラ見したディランだが、
コンガのソロから始まるラストの
Where Are You Tonight?に至っても、
打楽器による複合リズムの道を模索していたことが分かる。