1. 雨
作詞:森田純一 作曲:かんせつかず
2. あざやかな時代
作詞:松原敏春 作曲:星勝
3. 月光仮面
作詞:川内康範 作曲:星勝
4. 夕暮れ
作詞:井上陽水 作曲:星勝
5. 迷子列車
作詞:喰始 作曲:星勝
6. 御意見無用
作詞:鈴木ヒロミツ 作曲:星勝
7. 笑いながら眠りたい
作詞:鈴木ヒロミツ 作曲:星勝
8. サンド・バッグの木
作詞:喰始 作曲:星勝
9. ふるえ
作詞:喰始 作曲:星勝
10. なむまいだあ (河内音頭)
作詞:松原敏春 作曲:星勝

Originally Released May 5, 1972

日本のミュージシャンが日本語のロックを歌うというのは、
今でこそ当たり前の光景ですが、そこには
長く険しい道のりがあった。

ロックはあくまで英語で歌われるべきだという派と、
そろそろ自前の日本語のロックが出てきても
いいのではないかという派による、いわゆる
日本語ロック論争というものがあった。

それが当たり前の風景に落ち着いたのは、
カラオケが普及したことによる。

モップスは、当初はロック=英語派に属していた。
71年に発表した全曲メンバー・オリジナルの
『御意見無用』も、「月光仮面」以外は
英語詞だった。
しかしこの年、日本語ロック論争に
終止符を打つはっぴいえんどの『風街ろまん』が出、
モップス自身も、渋谷公会堂で催された
フォークとロックの祭典『S.O.S.コンサート』に
出演した。

実はこのコンサートには、加藤和彦さんも出演していた。
加藤さんは72年にミカ・バンドを結成するが、
目の前でモップスとハプニングス・フォーを見た体験が、
大いに刺激になったのではないか。

 

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井上陽水とRCサクセションがライヴの前座を務めていた
72年、モップスも日本語ロックに舵を切った。
その成果は、「たどりついたらいつも雨ふり」を
収録した『モップスと16人の仲間』に結実するが、
その前にリリースされたこの『雨』というアルバムも
捨てがたい。

かつて英語で歌われた「御意見無用」は
日本語の歌詞になり、「アローン」も陽水が
日本語の歌詞をつけて、「夕暮れ」になった。
陽水はこの年、『断絶』を発表、
やがて『氷の世界』を生み出す。

冒頭のアルバム・タイトル曲は、71年の
「ポプコン」に入賞した曲。
しかしモップスの魅力である荒々しさが、
このアルバムでは希薄だ。