1. Hot Stuff
(Mick Jagger/Keith Richards)
2. Hand of Fate
(Mick Jagger/Keith Richards)
3. Cherry Oh Baby
(Eric Donaldson)
4. Memory Motel
(Mick Jagger/Keith Richards)
5. Hey Negrita
(Mick Jagger/Keith Richards)
6. Melody
(Mick Jagger/Keith Richards)
7. Fool to Cry
(Mick Jagger/Keith Richards)
8. Crazy Mama
(Mick Jagger/Keith Richards)

Originally Released Apr. 23, 1976
Produced by The Glimmer Twins

The Rolling Stonesは、1976年にリリースした
このBlack and Blueから、ロニー時代、
つまり現在のフォーマットになる。
もっともこのアルバムでは、ゲスト、もしくは
サポート・メンバーという扱いで、本セッション終了後に、
正式にレギュラー・メンバーに迎えられる。

ジュリー演じる原爆を完成させたという主人公が、
それを武器に、様々な無理難題を吹っ掛け、その中で
「ストーンズ日本公演」を要求する『太陽を盗んだ男』は
1979年公開の映画であって、ロニーがメンバーになって
3年が経っていた。

それにしても、ジャケットの真ん中で
ミックとキースに挟まれているビルは、
やがてバンドを去り、本作ではゲスト扱いのロニーが、
ストーンズのメンバーとして今も演奏しているのだから、
縁は異なものというほかない。

ロニーが入る前は、ビルが、2人の間の
接着剤になっていた。ビルが去った今、
その役目はロニーが担っているわけだが、
嫌な顔1つせずに、飄々とこなしているところに、
彼の人柄の良さというか、人懐っこさが窺える。

『メイン・ストリートのならず者』を引き合いに出すまでもなく、
ストーンズは、ストリート・ミュージックとしての
ロックンロールを常に追求してきたバンドである。
かつてキンキー・スタイルを大胆に取り入れて
Let's Spend the Night Togetherをやったようなことが、
ロニーを得ることで再びできるようになったのである。

 

 

ブルースやワークソング、黒人霊歌が都市に出てきて、
ビバップやR&Bとなり、ジャズはハード・バップを経て
フリー・ジャズへ、R&Bはファンクとなって、
これら2つの流れはヒップホップに集合する。

そこには黒人の闘争の合図が含有されて、
ある種のメッセージ性、批評性が込められていたが、
ブルースやR&Bの真似事から出発した白人ミュージシャンも、
それを自分達へのメッセージだと受け止めた。
特にイギリスで。

Curtis Mayfieldみたいなカッティング・ギターが
印象的なHot Stuff
ファンクでもソウルでもない、新たな
ブラック・ミュージック‥ヒップホップが
誕生目前であることを察知していなければ、
出てこない音だ。

イントロのキースが全て!のHand of Fateを経て、
ファンク以上にストリート感覚剥き出しなレゲエ‥
Cherry Oh Babyをここで取り上げたりする。
ロニーのアイディアから生まれたHey Negritaでも、
再びレゲエ・ビートは登場する。

MelodyはBilly Prestonとミックのデュエットだが、
これは"もしスライがアコースティックで
Dance to the Musicをやったら"という
アイディアから生まれたのだと思う。

ラストは、ゴキゲンなロックンロール。
その前が長いだけのバラードFool to Cryだけに、
このずっしりと重く、しかしストレートなロックンロールに、
どれだけ救われることか。

レコードからCD、そしてiTunesとなった今、
Memory Motelの後のHey Negritaにも、
やはり救われる。
まったく、ロニー様様だ。

ストーンズはその原点としてのブルースやR&Bを
基軸にしつつも、コンテンポラリーなストリート感覚を
常に注視してきた。
そこを軸に、このアルバムを聴いていこう。