1. Dancing with Mr. D
(Mick Jagger/Keith Richards)
2. 100 Years Ago
(Mick Jagger/Keith Richards)
3. Coming Down Again
(Mick Jagger/Keith Richards)
4. Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker)
(Mick Jagger/Keith Richards)
5. Angie
(Mick Jagger/Keith Richards)
6. Silver Train
(Mick Jagger/Keith Richards)
7. Hide Your Love
(Mick Jagger/Keith Richards)
8. Winter
(Mick Jagger/Keith Richards)
9. Can You Hear the Music
(Mick Jagger/Keith Richards)
10. Star Star
(Mick Jagger/Keith Richards)

Originally Released Aug. 31, 1973
Produced by Jimmy Miller

Satisfactionを何千回と演奏してきて、
飽きないか」と問われたKeith Richardsは、
「曲は演奏するたびに違うし、一度も同じに
演奏したことはないんだから、飽きるわけない」と答えた。

そうしてストーンズはSatisfaction
Honky Tonk Womenを演奏しているし、
ディランはどこかの町でBlowing in the Wind
Tangled Up in Blueを歌っているし、
ポールもLet It BeやBand on the Runを演奏している。
日本ならユーミンやサザン、永ちゃん、聖子ちゃんなどが、
何百回と歌ってきたものを、いつもフレッシュな気持で
歌い続けている。

何百と曲があって、なおかつその中から、
定番と呼ばれるレパートリーを持ち、
それを演奏できるミュージシャンは、それほど多くはない。
それは、その曲が出来た時と同じか、
それ以上の普遍性を常に持ち続けていなければ、
鳴らされることはないわけです。

定番とかスタンダードと呼ばれているヒット曲の中には、
客が求めているからというより、自分が歌いたいから、
或いは演奏したいからという理由で、
セットリストに載せられるものもある。
このアルバムに収録されているストーンズのAngieも、
そんな歌の1つだろう。

Angie‥日本では「悲しみのアンジー」という
邦題が付けられ、突然歌謡曲の世界が立ち上る。
ストーンズなのに。

 

 

アルバムの大半はジャマイカでレコーディングされた。
だがレコーディングの場所に選んだのが、
たまたまジャマイカだった、というだけのこと。

2曲目の100 Years Agoにレゲエの影響が
若干窺えるが、それもよく聴けばという程度。
むしろこのアルバムは、Jimi Hendrixがかつてやったことを、
(やっと)ストーンズなりに採り入れている。
つまりこれまでになくハードな音なのである。

オープニングは、Mick Taylorのレスポールが
頭から冴えまくるDancing with Mr. D
John LennonのI'm Losing Youのビートは、
ひょっとしてこの曲から来ているのか。

そしてストーンズにしては珍しく、ワウ・ペダルの
ファンキーなギター・リフが炸裂する100 Years Ago
"そういう"耳で聴くと、チャーリーのドラムも
Mitch Mitchellのように聞こえる。

3曲目にピアノのイントロが聞こえ、Elton Johnの新曲かと
思わせるが、 キースが主役のComing Down Again
相変わらず声がかわいい。ヘロインまみれなのに。
4曲目のDoo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker)でも、
ワウワウ・ギターは大活躍。

6曲目のSilver Trainは、Johnny Winterに
提供したもののセルフ・カヴァ。
2014年の来日コンサートで、Mick Taylorをゲストに迎えて
演奏した曲でもありますね。

Johnny Winter絡みというわけではないが、8曲目Winterは、
ジミヘンの「風の中のマリー」のようなテーマ。
Angieよりもこちらのほうがいい。

オリエンタルなCan You Hear the Musicはスロー・ファンクで、
ミックは主に"Can You Hear the Music"という
フレーズを繰り返しているだけである。
そしてChuck Berryのようなイントロで始まるStarfucker
有名人と寝たがるグルーピーにひたすら呪詛を浴びせる。

あまりにも有名なAngieに注目したくなるが、
アルバムの中の単なる1曲に過ぎないことが分かる。
The BeatlesのHelp!の中のYesterdayと同じである。