1. Hi-Jack
作曲:エディ藩
2. 24時間
作詞:John Aguinalds 作曲:ミッキー吉野
3. Feel This Way
作詞・作曲:エディ藩
4. Web
作詞:John Aguinalds 作曲:ミッキー吉野
5. やぶにらみの女
作詞・作曲:柳ジョージ
6. 怒りの涙
作詞・作曲:Bob Dylan and Richard Manuel
7. V.D. (Vernards Going Doomed Again)
作詞:John Aguinalds 作曲:ミッキー吉野
8. Woman's Gone
作詞:John Aguinalds 作曲:ミッキー吉野
9. Underture:Empty Dream
作詞:Christopher 作曲:アイ高野

Originally Released Jan. 10, 1971

1972年生まれの僕は、The Beatlesは勿論のこと、
ゴールデン・カップスやモップス、ジャックス、
はっぴいえんど、サディスティック・ミカ・バンドら、
60年代から70年代に活動した、日本の偉大な
ロック・バンドを知らずに過ごしてきた。

あまりにも幼すぎて、素通りするしかなかったと
いえばそれまでだけど、それにしたって、
何事もなかったような扱いではないか。
ジュリーやショーケン、吉田拓郎といった人達、
或いは南沙織や山口百恵、キャンディーズといった
アイドルとは、雲泥の差だ。

欧米では、Bob DylanやThe Beatles、David Bowieらの
始めたことが全く断絶していない。
それにひきかえ日本では、エレキ・ブームもGSも、
フォークやニュー・ミュージックも、
その時だけのブームで完結し、
あたかもなかったことにされている。
意気揚々とスパイダースの話をするミュージシャンが、
本当はたくさんいるべきなんだ。
 

 

本作は、ゴールデン・カップスの通算4枚目の
スタジオ・アルバム。
ケネス伊東が70年にバンドを去り、
代わってパワー・ハウスの柳ジョージが加入。
メンバーはデイブ平尾にエディ藩、ミッキー吉野、
柳ジョージ、それにアイ高野の、いわゆる第5期というので、
アルバム・タイトルも『第5世代』となった。

70年3月のよど号ハイジャックに題材を取った
インスト・ナンバーで始まる本作は、正に
ミッキー吉野の才能大爆発。
このアルバムに関する限り、すっかり主導権を握っている。
しかも1曲‥「怒りの涙」を除いて、
バンド・メンバーによるオリジナルで固めてきた。
デイブ平尾は2曲のみで参加と影が薄いが、
これは驚異的な演奏を誇ってきた器楽バンドの
宿命ともいえる。

英米ロックの影響をただ受け流しているだけの
時代はとっくに去り、自分達のロックを作り上げる
必要があった。
そしてカップスはミッキー吉野主導の下、
それを実現した。
が、本作発表直後に彼はバンドを退団し、
本作からのライヴ演奏、また本作のコンセプトを
更に推し進めることなく、72年の解散を迎えてしまった。

スパイダースの『明治百年、すぱいだーす七年』と
ゴールデン・カップスの本作、そしてモップスの
『御意見無用』は、黎明期の日本ロックを知る上で、
欠かせないアルバムなのだった。