1. Brown Sugar
(Mick Jagger/Keith Richards)
2. Sway
(Mick Jagger/Keith Richards)
3. Wild Horses
(Mick Jagger/Keith Richards)
4. Can't You Hear Me Knocking
(Mick Jagger/Keith Richards)
5. You Gotta Move
(Fred McDowell/Gary Davis)
6. Bitch
(Mick Jagger/Keith Richards)
7. I Got the Blues
(Mick Jagger/Keith Richards)
8. Sister Morphine
(Mick Jagger/Keith Richards/Marianne Faithfull)
9. Dead Flowers
(Mick Jagger/Keith Richards)
10. Moonlight Mile
(Mick Jagger/Keith Richards)

Originally Released Apr. 23, 1971
Produced by Jimmy Miller

Beggars Banquetの1曲目はSympathy for the Devilで、
Let It BleedGimme Shelterだった。
Miles DavisのKind of Blueの1曲目はSo Whatで、
Bob DylanのHighway 61 RevisitedLike a Rolling Stone
The Beach BoysのPet SoundsWouldn't It Be Nice
The BeatlesのAbbey RoadCome Together
そしてLed ZeppelinのセカンドはWhole Lotta Loveであった。

レコード・ジャケットがそのアルバムの顔であるなら、
アルバムの1曲目はレコードの名刺代わり。
しかもLPでは、A面の1曲目とB面の1曲目が、
レコード全体の出来を左右する。
1曲目がしょぼくても、その後の曲で持ち直したり、
名盤になったりすることもあるが、
そういうレコードに限って、聴くのが3年に1回ということも、
往々にしてある。

 

Sticky Fingers Sticky Fingers
 
Amazon

 

このアルバムはスゴイ。
Brown Sugar‥キースのリズム・カッティングが聞こえた瞬間の、
血が熱くなる昂揚感はどうだい。

まずAndy Warholのデザインによる印象的なジャケット。
昔は、ジッパーを開けると中から白いブリーフが覗く
仕掛けになっていて、これはバナナの皮が剥けた
The Velvet Undergroundのデビュー盤の第二弾といったところ。
一目で目を引く。

次にその内容。
A面1曲目がBrown Sugar、B面はBitchで、
それぞれの面のこれしかないというツカミになっている。
コンサートでいう1部、2部みたいな。
そしてこの2曲がアルバム全体に生命を与え、
2枚組にすることなく、またコンセプト・アルバムとして
打ち出すこともなく、しかし2枚組に引けを取らない
バラエティ性と、1枚の作品としての統一感をもたらしている。

ツカんだ後に何を持ってくるか。
カウントが聞こえると、ついYer Bluesを思い起こすが、
あたかもここから仕切り直しだというようなSwayは、
ストーンズによるハードロックといったところ。
一方Bitchの次のI Got the Blues
オーティス風アレンジで、ミックにもこんなクサい一面が
あったのかと思う次第。

もっとも、過去にはAs Tears Go Byを、
またこの少し後にはストーンズ版演歌Angie
産み落としているくらいだから、彼にはこういう
クサい面が元々あるのも事実。

カントリー的なWild Horses、たっぷり出番を待ってからの、
チャーリーの絶妙な入り方は見事としかいえない。
Can't You Hear Me KnockingのMick Taylorのソロを
聴いていると、ふとPaul Butterfield Blues Bandの
East-WestのMike Bloomfieldとダブるな。