1. On a Night Like This
(Bob Dylan)
2. Going, Going, Gone
(Bob Dylan)
3. Tough Mama
(Bob Dylan)
4. Hazel
(Bob Dylan)
5. Something There Is About You
(Bob Dylan)
6. Forever Young
(Bob Dylan)
7. Forever Young
(Bob Dylan)
8. Dirge
(Bob Dylan)
9. You Angel You
(Bob Dylan)
10. Never Say Goodbye
(Bob Dylan)
11. Wedding Song
(Bob Dylan)

Originally Released Jan. 17, 1974
Produced by Rob Fraboni

Wayne ShorterがMiles Davisのバンドで書いた曲に
Circle in the Roundというのがある。
60年代のマイルスの黄金のクインテットに、
Joe Beckのエレクトリック・ギターが初めて
導入されたものです。

マイルスをPrince of Darknessと評したショーターは、
自身を含む周囲のミュージシャンとマイルスとの
関係を、その一語に込めた。
即ち、マイルスという強烈な影響力を持つ音楽家に
引き寄せられる惑星のようなものだと。

David GeffenのAsylum Recordsに移籍して
最初にリリースされたこのBob Dylanのアルバムには、
Planet Wavesというタイトルがつけられた。
意味としては「惑星間の波動」ということですが、
そもそもディランという強力な磁場の持ち主が、
周囲を巻き込み、ロックを生んだ。

そしてまた、その磁場に引き寄せられるように、
The Bandが全面サポートを駆って、このアルバムを完成させ、
更にコンサート・ツアーも始めるという次第。

 

 

2015年2月、グラミー賞の2日前に行われた
『MusiCares Person Of the Year』というイベントで、
ディランは40分に亘り喋り倒したが、
その中で自分は決してポップスのソングライターではないし、
なりたいとも思わなかったけど、The Byrds、Sonny & Cher、
The Turtlesといった人達が自分の曲を取り上げて、
コマーシャルなものにしてくれたし、50年経ったら、
自分の曲がコマーシャルに使われることになったと述べた。

かつて「風に吹かれて」とか「時代は変る」といった歌を
撒き散らしてきたディランは、ここにまた、
「いつまでも若く」という歌を上梓。
しかもスローなヤツとファスト・テンポ双方を
アルバムに入れるというのだから、The Band‥
というかRobbie Robertsonと過ごした時間を
いたく気に入ったのだろう。

そのロバートソンとの充実した邂逅は、
Dirgeに結実している。
ロバートソンがギターでワルツを爪弾き、
ディランがピアノを叩きつけながら歌うわけだけど、
お互いに自分の音を勝手に出し合っているように見えて、
その実、Bill EvansのピアノとScott LaFaroのベースのように、
対話するようなインター・プレイになってるのだから、
不思議だ。

それにしても、Garth Hudsonのオルガンが聞こえた瞬間の、
懐かしさはたまらんですね。
Like a Rolling StoneでのAl Kooperのオルガンを聴いても、
そのような感情は湧き上がってこないのに。
荒井由実の声とハドソンのオルガンは、
1970年代を通過した人の、一種の郷愁を誘うんですね。