1. モジョ・ワーキング
作詞・作曲:Preston Foster 編曲:ザ・ゴールデン・カップス
2. アイム・ソー・グラッド
作詞・作曲:Skip James 編曲:ザ・ゴールデン・カップス
3. 59番街
作詞・作曲:Paul Simon 編曲:ザ・ゴールデン・カップス
4. ワン・モア・ハートエイク
作詞・作曲:William “Smokey” Robinson, Ronald White, 
Robert Rogers, Warren Moore and Marvin Tarplin
編曲:ザ・ゴールデン・カップス
5. 魔女の季節
作詞・作曲:Donovan Leitch 編曲:ザ・ゴールデン・カップス
6. グロリア
作詞・作曲:Van Morrison 編曲:ザ・ゴールデン・カップス
7. 悪い星の下に
作詞・作曲:Booker T. Jones and William Bell
編曲:ザ・ゴールデン・カップス
8. マンズ・テンプテーション
作詞・作曲:Curtis Mayfield 編曲:ザ・ゴールデン・カップス
9. ゼンのブルース
作詞・作曲・編曲:ザ・ゴールデン・カップス

Originally Released Aug. 1, 1969

1966年、ブルース・ロックの傑作East-West
置き土産にPaul Butterfield Blues Bandを抜けた
Mike Bloomfieldは、やはりギタリストのNick Gravenites、
キーボードのBarry Goldberg、ベースのHarvey Brooks、
そしてドラムスのBuddy MilesとThe Electric Flagを結成する。
イギリスのCreamに対抗するグループといわれた彼らは、
ブラス・セクションを導入するなど、R&Bとロック、
ジャズを融合させ、即興性に富んだ音楽をやっていた。
1967年のRoger Cormanの映画『白昼の幻想』に
彼らの音楽が使われ、翌年にはA Long Time Comin'という
アルバムもリリースされている。
だがそのアルバムをリリースした直後に、
Mike Bloomfieldは追われるようにバンドを抜けてしまう。

他方The Blues Projectに参加していたAl Kooperは、
グループのギタリスト、Steve Katzらと
Blood, Sweat & Tearsを結成。
1968年にリリースされたChild Is Father to the Manは、
The BeatlesのSgt. Pepper'sを筆頭に、
ChicagoやThe Buckinghamsといったブラス・ロック、
それに当時ニューヨークで話題になっていた
Joe Zawinul擁するCannonball Adderley Quintetや、
Keith JarrettとJack DeJonettesが参加した
Charles Lloyd Quartetなどのジャズ・グループの
コンセプトも取り入れ、おしゃれで枯れた音楽に
仕上がっている。
Blood, Sweat & Tearsといえば、名曲Spinning Wheel
収録した1969年のBlood, Sweat & Tears以降の作品が
有名だが、僕はAl Kooperが参加した唯一のアルバム
Child Is Father to the Man以上のものはないと断言する。
つまり、Al Kooperはそのデビュー盤をもって、
やっぱりグループを追い出されたわけです。

さてそんなAl Kooperは、同じようにフリーターとなった
Mike Bloomfield、Buffalo Springfieldを追い出された
Stephen Stillsに声を掛け、即興演奏主体の音楽をやろうと
提案する。
それで1968年にSuper Sessionという
アルバムをリリース。
そして同じ年の9月26日からの3日間、
サンフランシスコの『フィルモア・オーディトリアム』で、
Super Sessionのコンセプトを持ち込んだ
ライヴを行った。
Carlos SantanaやElvin Bishopも参加したその演奏は、
『フィルモアの奇蹟』という2枚組のアルバムで発表され、
やはり『フィルモア』でのライヴを収録したCreamの
Wheels of Fireと並んで、大きな話題になった。
Bob DylanとThe Beatlesの音楽が衝突して生まれた
成果がそこに刻まれているわけだが、Al Kooperと
Mike Bloomfieldは奇しくも、ディランの
Highway 61 Revisitedで顔を合わせた
仲だったのである。
 

 

Derek & The DominosのLaylaに「いとしのレイラ」
という邦題がつけられたのは何故か。
それはゴールデン・カップスの「いとしのジザベル」が
あったからだし、桑田佳祐がそのヒット曲に
「いとしのエリー」と付けたのは、尊敬する
ゴールデン・カップスとクラプトンに対する、
彼なりの敬意に表し方なのです。

そのゴールデン・カップスには「いとしのジザベル」、
「長い髪の少女」「愛する君に」などのヒット曲もあるが、
彼らの真骨頂はライヴだ。
1969年4月21日、カップスは横浜の『ZEN』に
出演したが、そこでの演奏を収録したのが
このアルバムだ。
ラインナップは、Al KooperとMike Bloomfieldの
Supre Sessionと、CreamのWheels of Fire
カヴァが中心だ。

異常な熱気!
『ZEN』ってジャズ喫茶ですよ。
当時はライヴハウスなんてなかったから、
タイガースやテンプターズといった人気グループも、
ジャズ喫茶や歌声喫茶みたいなところで演奏していた。
その狭さが、異様なハイテンションを生んでいる。
しかも素材がクラプトンやブルームフィールドなのに、
よくありがちな長いギター・ソロもドラム・ソロもない、
ミッキー吉野のハモンドが唸りを上げ、あくまでも
メンバーのインター・プレイで押し切っている。