1. Gimme Shelter
(Mick Jagger/Keith Richards)
2. Love in Vain
(Robert Johnson)
3. Country Honk
(Mick Jagger/Keith Richards)
4. Live with Me
(Mick Jagger/Keith Richards)
5. Let It Bleed
(Mick Jagger/Keith Richards)
6. Midnight Rambler
(Mick Jagger/Keith Richards)
7. You Got the Silver
(Mick Jagger/Keith Richards)
8. Monkey Man
(Mick Jagger/Keith Richards)
9. You Can't Always Get What You Want
(Mick Jagger/Keith Richards)

Originally Released Dec. 5, 1969
Produced by Jimmy Miller

The BeatlesはAbbey Roadを完成させて解散したが、
The Rolling Stonesは雨降って地固まるというのか、
失意のSatanic Majestiesによって、
自分たちの立ち位置を再確認することができた。

それは同時にBrian Jonesとの離別をもたらしたが、
68年に出たアルバムBeggars Banquetは、
すぐにこのLet It Bleedへと繋がり、
またそれらと相前後してリリースされたシングル
Jumpin' Jack Flash、Honky Tonk Womenによって、
夢の60年代に別れを告げ、新しい時代を迎える準備が整った。

そのThe Rolling Stonesの立ち位置とは、ロックンロールが
ロックンロールであるための立ち位置だ。
無邪気にコピーしていた黒人のR&Bから、
Elvis PresleyもThe BeatlesもThe Rolling Stonesも、
自分達のオリジナルのロックンロールを見つけていった。
そしてそこへいち早く戻ってこれたのが、
The Rolling Stonesだったということです。

 

Let It Bleed Let It Bleed
 
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Beggars Banquetの1曲目は衝撃的だったが、
本作のオープニング‥Gimme Shelter
カッコよさもハンパじゃない。
キースのイントロが聞こえた瞬間から、腰がムズムズ。
コーラスが絡み、チャーリーの重いドラムが
タイトなビートを刻むと、座りションベンも辞さない、
最高の流れ。

かつて、組敷いた女に俺の言いなりになれとのたまう
Under My Thumbという歌がありましたが、
ここでは暴力からの逃げ場所としての女となっている。

2曲目はRobert JohnsonのLove in Vainだが、
拝借しているのは歌詞だけで、全く別の曲に作り変えている。
そのための役回りは、ついこの間まではBrian Jonesが
担っていたが、ここではRy Cooderのマンドリンを
フィーチャーしている。
そのRy Cooderは、5曲目のLet It Bleed
達人技としか言いようのないスライド・ギターを披露。

Country HonkHonky Tonk Women
カントリー・ヴァージョンということだが、
どこかカントリー自体を茶化している風。
新加入のMick Taylorのスライドをフィーチャー。
そのMick Taylorは次のLive With Meにもフィーチャーで、
ストーンズのサックスといえばのBobby Keysも初登場。

ミックのブルース・ハープがカッコいいMidnight Ramblerこそ、
ストーンズのへヴィさを象徴するものだろう。
へヴィといってもヘヴィメタルのそれではなく、
演奏が進むにつれて心の昂揚を押し隠さなくなっていく、
衒いのない熱っぽさだ。
You Got the Silverのキースを聴くと、
"好青年"の三文字を思い浮かべる。

Chuck BerryにToo Much Monkey Businessという曲があり、
The MiraclesにもMickey's Monkeyというヒット曲があるが、
ストーンズも3番目のお猿さんソング‥Monkey Manを上梓。
モンキー・マンはホモの隠語。

で、ラストは、このアルバムでは一番最初に
レコーディングされた「無情の世界」。

Paul McCartneyは60年代最後のアルバムで
"Boy, your're gonna carry that weight
Carry that weight, a long time"と歌い、
Mick Jaggerは"if you try sometime you find
You get what you need"と歌った。
欲しいものはいつでも手に入るわけじゃないし、
手が届かない時もあるが、本当に必要なものは
得てしてもう手に入っているんだよと。

ポールは、ジョン、そしてビートルズとの別れを、
ミックはビートルズ・コンプレックスを取り除いた時に、
本来いるべき場所を自分に言い聞かせて、
新しい時代を迎え入れたわけですね。