監督:Richard Lester
製作:Walter Shenson
脚本:Alun Owen
撮影:Gilbert Taylor
編集:John Jympson
衣装デザイン:Julie Harris
音楽:The Beatles、George Martin
配給:United Artists 

出演:John Lennon、Paul McCartney、
George Harrison、Ringo Starr、
Wilfrid Brambell、Norman Rossington
John Junkin、Victor Spinetti、その他

上映時間:87分
製作国:イギリス
初公開年月:1964/7/6 (UK)
1964/8/11 (USA)

好きな映画3本を挙げよと言われれば、
『死刑台のエレベーター』と『ニッポン無責任時代』、
そしてこの『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』を
迷いなく挙げる。
それぞれの年代の空気が、
そのまま映像にパッケージされているから。
懐古趣味に寄った作品を観るくらいなら、
これら3本を観た方がマシなんです。

Bing Crosby以来、歌手デビューから銀幕へ‥という流れが、
洋の東西を問わず、一般化していた時代があった。
そしてElvis Presleyがそうしたように、
The Beatlesも銀幕デビューを果たした。
この流れは日本でも早速取り入れられ、
『ザ・スパイダースのゴー・ゴー・向こう見ず作戦』に、
『ザ・タイガース 世界はボクらを待っている』、
『ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを』と、
代表的なGSグループを主役にした映画が軒並公開されているし、
ジュリーとショーケンは、GSブームが去ってからも、
優れた映像作品に出演してるのはよく知られること。

 

 

The Beatlesの映画は計4本作られていますが、
"動くThe Beatles"を体感するなら、これ1本で十分。
とにかく彼らの天真爛漫なハチャメチャぶり、
アイドル性、随所に盛り込まれた音楽の素晴らしさに、
ただただ打ちのめされる。

コメディとロックンロールがこれほどマッチした
ロック・バンド、また映像作品も、そうはない。
Charlie Chaplinを産んだブリティッシュ・コメディの
伝統の中にこの映画はあり、
またThe Beatlesというグループ自体も、
お笑いの要素を常に含んでいた。
そこが、このグループの魅力でもある。

The Beatlesのパロディから生まれた
The Monkeesというグループがありますけど、
この映画に関しては、それよりも、
イギリスでいえば『モンティ・パイソン』シリーズ、
日本でいえば浅草演芸のような肌触りを感じますね。
とにかくよく走る。エノケンみたいに、
4人はひたすら走り回っている。

そういえば、この映画には、
後にGeorge Harrisonと結婚するも、
Eric Claptpnと不適切な関係になってしまった、
Pattie Boydも出てるんですよね。
Laylaに歌われた人です。

最後に。
この映画のタイトルは現在、
『ア・ハード・デイズ・ナイト』となっています。
原題のまま。
これがいけすかない。
1964年、The Beatlesはやってきたんです。
イギリスを飛び出し、レコードとこの映画がやってきたことを、
かまやつさんも、細野さんも、清志郎やチャボさん、
吉田拓郎、浜田省吾、桑田佳祐、佐野元春‥
衝撃をもって迎え入れた。
その1964年の衝撃があまりにも大きく、
また持続性のあるものだったから、今の僕もある。
オリジナルを尊重する気持も分からないではないが、
ここは『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』。