1. 本牧ブルース
作詞:なかにし礼 作曲・編曲:村井邦彦
2. ウォーキン・ブルース
作詞・作曲:Robert Johnson 編曲:ザ・ゴールデン・カップス
3. ルシール
作詞・作曲:Albert Collins and Richard Penniman
編曲:ザ・ゴールデン・カップス
4. ゲット・アウト・オブ・マイ・ライフ
作詞・作曲:Allen Toussaint 編曲:ザ・ゴールデン・カップス
5. 絶望の人生
trad. 編曲:ザ・ゴールデン・カップス
6. 君は僕に首ったけ~悲しき叫び
作詞・作曲:William “Smokey” Robinson/Sam Cooke
編曲:ザ・ゴールデン・カップス
7. 泣かずにいられない
作詞・作曲:Al Kooper 編曲:ザ・ゴールデン・カップス
8. イーヴル・ウーマン
作詞・作曲:Laurence Weiss 編曲:ザ・ゴールデン・カップス
9. ワン・モア・タイム
作詞・作曲:Van Morrison 編曲:ザ・ゴールデン・カップス
10. テイク・スリー
作詞:ケネス伊東 作曲:エディ藩、ルイズルイス加部
編曲:ザ・ゴールデン・カップス
11. 4グラムの砂
作詞:鈴木健 作曲・編曲:村井邦彦

Originally Released Mar. 10, 1969

昭和27年に発売された江利チエミの
「テネシー・ワルツ」を契機として、
既存のラテン音楽や、欧米のポップス、
ジャズ、カントリー、ロックンロールなどに、
日本語の歌詞を載せたカヴァ・ポップスの
ブームが起きた。

グループ・サウンズはそれとの差別化を図るべく、
どこのレコード会社にも所属していない、
阿久悠、橋本淳、なかにし礼といった作詞家と、
筒美京平、鈴木邦彦、村井邦彦といった
新進気鋭の作曲家と組んだ。
それは自分達で曲を作るということが
二の次になっていたグループ・サウンズの
弱点を露呈するものであり、GSの歌謡曲化を
招く要因にもなった。

いしだあゆみの「ブルー・ライト・ヨコハマ」が
大ヒットした1969年、その横浜発祥の
ゴールデン・カップスも、「本牧ブルース」を
発売した。

 

 

1曲目に「本牧ブルース」を収録したこのアルバムは、
しかし歌謡曲化を免れようと息巻くカップスの
魅力が溢れている。
折しもAl KooperとMike Bloomfieldの
Super Sessionが話題となっていた
時期だけに、Paul Butterfield Blues Bandと
The Blues Projectを中心に、ロックとR&Bの
カヴァによって構成されている。

街の中にアメリカがあった本牧から誕生した
カップスは、そのままダイレクトに、
ほぼリアルタイムのアメリカのロックで
起こっていることを、日々演奏していた。
「ブルー・ライト・ヨコハマ」にも「横浜たそがれ」にも、
それは描かれていないものだ。

特筆すべきは、キーボードのミッキー吉野が
参加したことで、サウンドにうんと厚みが増した。
当時ミッキー吉野は殆ど独学でキーボードを
弾いていたというが、既にThe NiceのKeith Emersonに
匹敵する衝撃度を持っている。

ハイライトは、The Blues ProjectのI Can't Keep From Cryin'
11分10秒もの大熱演とくる。
オリジナルがAl Kooperだけに、ミッキー吉野を
入れた効果が一番出ているし、エディ藩のギター・プレイ、
そしてルイズルイス加部の相変わらずの暴れっぷりも凄い。

山海の珍味を網羅したフルコースを戴いておきながら、
なおもお代わりもどうぞとケネス伊東が炒飯を‥
いやオリジナルの「テイク・スリー」を持ってやって来る。

「本牧ブルース」なんか、この時点で
その存在をすっかり忘れてしまってるが、
ラストの「4グラムの砂」には思わずぐっと来る。
この歌詞が好きなんだ。