1. Sing This All Together
(Mick Jagger/Keith Richards)
2. Citadel
(Mick Jagger/Keith Richards)
3. In Another Land
(Bill Wyman)
4. 2000 Man
(Mick Jagger/Keith Richards)
5. Sing This All Together (See What Happens)
(Mick Jagger/Keith Richards)
6. She's a Rainbow
(Mick Jagger/Keith Richards)
7. The Lantern
(Mick Jagger/Keith Richards)
8. Gomper
(Mick Jagger/Keith Richards)
9. 2000 Light Years from Home
(Mick Jagger/Keith Richards)
10. On with the Show
(Mick Jagger/Keith Richards)

Originally Released Dec. 8, 1967
Produced by The Rolling Stones

僕は、生まれる前後5年くらいの音楽が好きだ。
生まれる5年前というと1967年で、
そっから10年間ということになる。

その10年間は、一言でいえば僕の原風景なのだけど、
何が間違いという表現はなく、
むしろ何が間違いなのかを、この10年の間に
寄ってたかって探っていたともいえる。

1967年はサイケデリック・ロックとファンク、
フリー・ジャズが一斉に花開いた年で、
The BeatlesやThe Rolling Stonesのように
ヒットを約束された連中でさえも、
何か変わったことをやろうと息巻いていた。

サイケデリック・ロックというと、
サンフランシスコとニューヨークにあった
『フィルモア』での出来事を外すわけにはいかない。
つまり単に音楽を演奏するだけでなく、
Andy Warholが始めたと言われるライト・ショーとか、
歪んだフォントをあしらったポスターとか、
おかしな恰好をしたヒッピーとか、
そこに付随した全てが欠かせない要素だったと思う。

だからファンはおろか、ストーンズの間でも、
「あれはなかったことに」と言っている、
このTheir Satanic Majesties Requestも、
いつもと違う照明にしてみるとか、お香を焚いてみるとか、
『アニマル・ハウス』のようにどんちゃん騒ぎしながら
聴くとか、サイケデリックな雰囲気になって初めて
見えてくるものがあるのではないか。
 

 

「みんなで歌おう」と歌うオープニング・ナンバー。
ミックの声がThe Beach BoysのCarl Wilsonみたいだけど、
そういう耳で聴くと、BB5のWild Honeyのようにも聞こえる。

5曲目にも同じタイトルのフリー・ジャズが出てきて、
ブライアンがメロトロンやら管楽器やらあれこれ操作し、
彼の見せ場のようになっているが、
それ以上にキースのかき鳴らすギターがカッコいい。

キンキー・スタイルが楽しいCitadelは、
時計の針を戻したような懐かしのブリティッシュ・ロック。
で、Bill WymanがSmall Facesのメンバーと作った
In Another Land
George HarrisonのIt's All Too Much同様、
これはギャグですな。しかもスベってる。

2000 Manで、やっとストーンズを聴いてることを実感。
2つの曲を繋いでいるわけですが、アコースティック・パートの部分‥
ディランのDesolation Rowのメロディに似ている。 

John Paul Jonesがストリングス・アレンジで
参加したShe's a Rainbow
Nicky HopkinsのRuss Freemanみたいなかわいいピアノと、
チャーリーの重低音ドラムの対比がおもしろい。
2つ飛ばして、2000 Light Years from Homeは、
Pink FloydのArnold Layneみたい。

The BeatlesのSgt. Pepper'sは架空バンドによる
コンサートという設定だったけど、
ストーンズの本作も実はそうだったのかということが、
最後になって分かるという次第。

サマー・オヴ・ラヴはサーカスのシーズンだったのである。
どこまでも非日常。
が、ひとたびテント小屋を出ると、いつもと変わらぬ
現実の世界に引き戻される。
The Beatlesは時同じくしてMagical Mystery Tourを上梓し、
ストーンズの本作同様、ダダ滑りに終った1967年は、
こうしてあっけなく終ったのだった。