1. Long Tall Sally 
(Enotoris Johnson/Richard Penniman/Robert Blackwell) 
2. I Call Your Name 
(John Lennon/Paul McCartney) 
3. Slow Down 
(Larry Williams) 
4. Matchbox 
(Carl Lee Perkins) 

Originally Released June 19, 1964

山下達郎は「The BeatlesとThe Rolling Stonesは
ロックのイロハだ」と言ったけど、
そのイロハには他にも、Chuck BerryとLittle Richard、
Elvis Presley、Buddy Hollyがある。
Elvis Presleyは言うに及ばず、他の3人も必ず通るし、
知ってて当たり前のミュージシャンなのである。

勿論、彼らの音楽を通らなくたって、
The BeatlesやThe Rolling Stones、Led Zeppelin、
RCサクセションやサザンオールスターズの
音楽は充分に楽しめるし、
それだけのクオリティを備えてはいるんだけど、
The BeatlesがChuck BerryやLittle Richardをカヴァしていれば、
その原曲を聴きたくなるのは当然の成り行きなんですね。

さて、1964年2月にアメリカ上陸を果たしたThe Beatles。
その直前にリリースされたMeet The Beatles!
売れに売れまくってる最中、
せっかちなCapitol RecordsはThe Beatles' Second Album
(実際にはアメリカでは3枚目のアルバム)を
でっち上げることにした。
しかし単にイギリスの既発曲を並べるだけでなく、
このレコードのために新曲を録音してくるところが、
The BeatlesとBrian Epsteinのエラいところ。

しかもアメリカでは、ここでの4曲を
2枚のLPに分散収録したが、
イギリスではEP盤にして発表しているのである。
即ちLong Tall SallyI Call Your Name
Second Albumに収録された分、
後の2つがSomething Newの分です。

それで最初の話に戻るわけですが、
レコードのタイトル曲であるLong Tall Sally
Little Richardのカヴァで、Paul McCartneyが
リード・ヴォーカルを務めていますけど、
異常なテンションの高さである。

同じようなアップテンポのロックンロールでも、
John Lennonにはややクールなところがあり、
事実、このレコードに入ってるSlow Down
そうなっているわけですけど、
Paul McCartneyはとにかくキレまくってる、一言で言うとヤンチャ。
Eleanor RigbyThe Fool on the Hill
凄いメロディを生んだ人でもある、ということを、
今一度確認してほしい。
こんな人じゃなきゃ、あんな凄いメロディは出てこないのかもなぁ。

 

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I Call Your Nameは、Billy J. Kramer & The Dakotasの
Bad To Me(これもJohn Lennon/Paul McCartney作)の
カップリングだったが、彼らのレコードの出来に不満があったのだろう、
The Beatles自身で再レコーディング。
やや鼻に掛かったジョンの声がたまらん。

Larry Williamsというニューオーリンズ出身の
R&B歌手兼ピアニストを、John Lennonはいたく気に入っていた。
The Beatles時代に3曲もカヴァし、
ソロになってからも75年のRock 'n' Rollで、
Bony Moronieを歌っている。

Paul McCartneyのヤンチャになれる素材が
Little Richardだったように、
John LennonにとってはそれがLarry Willamsだった。
しかし先程も述べたように、どこかクールなのである。

Carl PerkinsのMatchboxは、
元々はGeorge Harrisonのレパートリーで、
その後John Lennonが歌っていたが、
ここではRingo Starrが歌っています。