1. Girl from the North Country
(Bob Dylan)
2. Nashville Skyline Rag
(Bob Dylan)
3. To Be Alone with You
(Bob Dylan)
4. I Threw It All Away
(Bob Dylan)
5. Peggy Day
(Bob Dylan)
6. Lay Lady Lay
(Bob Dylan)
7. One More Night
(Bob Dylan)
8. Tell Me That It Isn't True
(Bob Dylan)
9. Country Pie
(Bob Dylan)
10. Tonight I'll Be Staying Here With You
(Bob Dylan)

Originally Released Apr. 9, 1969
Produced by Bob Johnston

1960年代は激動の10年だった。
音楽も、映画も、ファッションや、人々が話す言葉や
歩き方でさえも、1960年と1969年では大きく違う。

1960年、ギター・ミュージックの王者はChuck Berryだったが、
1969年にはJimi Hendrixになっていた。
1960年、The Beatlesはリヴァプールのしがない
インディー・バンドに過ぎなかったが、
1969年、Abbey Roadで頂点を極めた末に、瓦解した。

1961年、『シャボン玉ホリデー』がスタートして
クレージーキャッツはお茶の間の人気者になったが、
1969年には『8時だョ!全員集合』が始まった。
えびす顔の植木等から般若顔のいかりや長介へ‥
この変化が全てを物語っていると思う。

 

 

そんな激動の10年にあって、Miles DavisとBob Dylanだけが、
真っ直ぐな道を走り切った。
John ColtraneもThe BeatlesもJimi Hendrixも、
一時的な突風だったかのように。
それにしては凄まじい瞬間風速を記録したわけだが。

マイルスもディランも涼しい顔で混乱を来すことなく
走っていたが、それが逆に周囲を混乱させた。
マイルスは大胆にバンドをエレクトリック化して、
Kind of Blueの世界と訣別し、
かつて「フォークの貴公子」と呼ばれていたディランは、
ナッシュヴィルの歌と風土にどっぷり浸かっていた。

当のディランは、ひとっ走りした後のような、
爽やかな表情で、笑みさえ浮かべている。
笑ったくらいで事件になるのも、
マイルスとディランくらいだろう。