1. ロック・アラウンド・ザ・クロック
作詞・作曲:Max C. Freedman and James E. Myers
2. ビー・バップ・ア・ルーラ~ジェニ・ジェニ
作詞・作曲:Gene Vincent, Donald Graves
and Bill "Sheriff Tex" Davis/
Enotris Johnson and Richard Penniman
3. 監獄ロック
作詞・作曲:Jerry Leiber and Mike Stoller
4. ロンリー・ブルー・ボーイ
作詞・作曲:Fred Wise and Ben Weisman
5. ブルー・スエード・シューズ
作詞・作曲:Carl Perkins
6. クレイジー・ラブ
作詞・作曲:Paul Anka
7. のっぽのサリー
作詞・作曲:Enotoris Johnson, Richard Penniman
and Robert Blackwell
8. ハウンド・ドッグ~ルシール
作詞・作曲:Jerry Leiber and Mike Stoller/
Albert Collins and Richard Penniman
9. キャロル~ロール・オーヴァー・ベートーベン
作詞・作曲:Chuck Berry
10. ワイルドで行こう
作詞・作曲:Mars Bonfire
11. プラウド・メアリー
作詞・作曲:John Fogerty
12. ヴィーナス
作詞・作曲:Ed Marshall and Peter DeAngelis

Originally Released May 25, 1970

日本で最初のロック・バンド‥ザ・スパイダース
最後のアルバムは、50年代から60年代末までの
ロックンロールのカヴァ集。
それもエレキやGS以前の、ロカビリー・ブーム時代の
人気レパートリーが目白押しだ。
そう聞いて買うのをやめようと思ったあなた、
(オレもか)その反応は半分正しく、半分間違ってる。

正しいほうの半分は、グループ・サウンズも
ここまで堕ちたかというもの。
正しくないほうの半分は、オリジナルだろうが
カヴァだろうが、とにかくゴキゲンに駆け回る
スパイダースの醍醐味をまだ理解していない。

The Beatles最後のシングルLet It BeのB面は、
You Know My Name (Look Up the Number)という
冗談ソングだった。オチをつけて終わらすというのが、
いかにもFab Fourらしい。

英米はともかく、当時日本ではシリアスで暗く、
重たいものが上等だと思われていた。
ロックンロールが本来持っていた
ネアカで胸がスカッとするゴキゲンさとは
程遠いものばかりだった。
1978年にデビューしたサザンオールスターズは、
クレージーキャッツもスパイダースも
お茶の間から消え、抜け落ちたすき間を埋めた。

映画『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』で
The Beatlesが、『モンティ・パイソン』ばりに
スクリーンを駆け回ったあのゴキゲンさ。
日本でそれをやったのが、スパイダースだった。
シリアスな局面も軽快に笑い飛ばすのが、
ロックンロールじゃないか。

 

 

Rock Around The Clockで始まり、
Elvis PresleyにChuck Berry、Little Richard、
Carl Perkins、Gene Vincent、Conway Twittyと
50年代末から60年代初めのロックンロールと、
CCRのProud Mary、SteppenwolfのBorn To Be Wildと、
同時期の欧米ロックのヒット曲で構成されている。

ロカビリーの定番でもあるBe-Bop-A-Lula~Jenny Jenny
Hound Dog~Lucilleでは、
かまやつさんがレズリー・スピーカーを通して歌い、
Elvis Presleyの名曲Jailhouse Rock
ファンキーなロック・ナンバーにリアレンジされている。
いずれもRod Stewartがヴォーカルにいた
第1期Jeff Beck Groupを聞き込んだ成果かもしれない。

スパイダースは70年12月に解散を表明し、
翌年1月「日劇ウエスタン・カーニバル」の
ステージで正式に解散した。