1. Mother's Little Helper
(Mick Jagger/Keith Richards)
2. Stupid Girl
(Mick Jagger/Keith Richards)
3. Lady Jane
(Mick Jagger/Keith Richards)
4. Under My Thumb
(Mick Jagger/Keith Richards)
5. Doncha Bother Me
(Mick Jagger/Keith Richards)
6. Goin' Home
(Mick Jagger/Keith Richards)
7. Flight 505
(Mick Jagger/Keith Richards)
8. High and Dry
(Mick Jagger/Keith Richards)
9. Out of Time
(Mick Jagger/Keith Richards)
10. It's Not Easy
(Mick Jagger/Keith Richards)
11. I Am Waiting
(Mick Jagger/Keith Richards)
12. Take It or Leave It
(Mick Jagger/Keith Richards)
13. Think
(Mick Jagger/Keith Richards)
14. What to Do
(Mick Jagger/Keith Richards)

Originally Released Apr. 15, 1966
Produced by Andrew Loog Oldham

1966年は、イギリスのミュージシャンが自らの手で
ブリティッシュ・インベイションを終らせた年だ。
The Roling StonesのAftermath
The BeatlesのRevolvler
The KinksのFace to Faceは、
それを象徴する作品といえる。

既にアメリカではフォーク・ロックとブルース・ロックが
人気になり始めていて、それらを演奏する
若いミュージシャンのたまり場である
『フィルモア』がオープンしていた。

またこの年にはThe Beatlesをコピーしたような
The Monkeesがデビューして、彼らのコメディ番組も、
当時絶大な人気を誇った。
The MonkeesとイギリスのHerman's Hermitsは、
多分に仕組まれたものではあったけど、
The Beatlesらの急激な変化や、
『フィルモア』辺りでやっているものには
馴染めないという人達の受け皿になったわけです。

一般に"ビートルズみたいな"という時、
実際にそのモデルとなっているのは、
The MonkeesとHerman's Hermitsだということは、
指摘しておきたい。

つまりThe BeatlesやThe Animals、The Rolling Stonesらが
イギリスからもたらしたロックンロール・サウンドは、
66年にはアメリカにすっかり取り込まれていたのである。

6月29日、The Beatles来日。
翌日より3日間、武道館でコンサートをやったが、
それは彼らの最後の旅の途上であった。
The Beatlesがコンサート活動を一切取りやめると、
The Rolling Stonesもこれに倣った。
そして再びステージに戻ってきた時、The Beatlesは消滅し、
Brian Jonesは死んだ。
 

 

Tell Meから約2年、ストーンズもやっとここまで来た。
全曲Mick Jagger - Keith Richards作。
これも、先のOut of Our Heads同様、
アメリカとイギリスで内容が異なる。
ついでとばかりに、ジャケットも違う。
アメリカ盤では1曲目にPaint It, Blackを収録する一方、
Mother's Little Helper、Out of Time、Take It or Leave It
カットし、全11曲にしてある。

勿論Paint It, Blackを収録するためではあるけど、
もう1つは音質を極力保つためであると考える。
LPレコードは内側へ行くほど音質が低下するため、
片面6曲くらいがその最低ラインだと、
アメリカのカッティング・エンジニアは踏んでいたようだ。
これは結構重要なことだと思うんだよね。

また人が音楽に集中していられる時間も、
片面6曲くらいがいい按配なのではないか。
ハイレゾだなんだとCDや配信の音質にこだわるよりも、
アルバムの中身を半分に分けてくれたほうが、
ずっとありがたいのではないか。
2枚組のアルバムは4枚組のCDになって、
かつてのSPレコードのように場所を取ってしまうが。

このアルバムの目玉は、11分13秒に及ぶGoing Homeだが、
イギリス盤では6曲目、LPではA面のラスト、
アメリカ盤では一番最後、LPではB面のラストに入っている。
アメリカのR&Bの余波を受けて辿りついたストーンズの、
この時点での総決算がGoing Homeなのだからして、
イギリス盤もそこはこだわってほしかった。

キースのアコギが聞こえると、一瞬Bee Geesかな?と
思わせるが、次に来るのはストリングスではなく
ブライアンがダルシマーを爪弾くLady Janeは、
その導入部から美しい。
それとチェンバロを弾くJack Nitzche、
絶妙な出方なんだ。

そして必殺のUnder My Thumb
これを聴きたいがために、前の3曲を辛抱してるんだ。
チャーリーがスネアで合図すると、
キースのカッコいいリフが炸裂!
The Four TopsのIt's The Same Old Song
基になってるんだね。
お尻ムズムズベースが、これまたカッコいい。
そのUnder My Thumbのついでに出来たOut of Timeは、
チャーリーのシングル・ストロークがアクセントになっている。

ともあれ、ストーンズの新たな旅はここから始まった。