1. Max Is Making Wax
(Oscar Pettiford)
2. Wee [Allen's Alley] 
(Denzil Best)
3. Hot House/52nd Street Theme
(Tadd Dameron/Thelonious Monk)
4. Conception
(George Shearing)
5. Ow!
(Dizzy Gillespie)
6. Embraceable You
(George Gershwin/Ira Gershwin)
7. 52nd Street Theme
(Thelonious Monk)
8. Eronel
(Thelonious Monk/Idrees Sulieman/Sadik Hakim)
9. Band Warming Up

Miles Davis - trumpet
Fats Navarro - trumpet (3, 4, 7, 8)
J.J. Johnson - trombone (omit 4)
Charlie Parker - alto saxophone (only 4)
Brew Moore - tenor saxophone (omit 4)
Tadd Dameron - piano (omit 4)
Walter Bishop, Jr. - piano (4, 7, 8)
Curley Russell - bass
Art Blakey - drums

June 30, 1950

Charlie Parkerのニックネームを冠した
ジャズクラブ『バードランド』は、
1949年夏にブロードウェイの52丁目にオープンして以来、
“ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド”と呼ばれ、
とりわけジャズが最も幸福だった
1950年代の黄金時代を牽引した。

この店を一躍有名にしたのは、Blue Note Recordsにおける
Art Blakeyの実況録音盤A Night at Birdlandだ。
店にはPee Wee Marquetteという名物司会者がいて、
Frankie Lymonみたいな甲高い声で
その日のバンドを呼び込むのだった。

Sarah VaughanやChris Connorの名唱で名高く、
また最近ではAmy WinehouseもカヴァしたLullaby Of Birdlandも、
Weather ReportのBirdlandも『バードランド』を
トリビュートした曲なのである。
そういえばQuincy Jonesも1989年のアルバム
Back on the Blockで『バードランド』をトリビュートしていた。

店は1965年に一旦閉店した後、86年にブロードウェイの106丁目で
営業を開始。現在は44丁目で営業を続けています。
 

 

本作は、そのオープンから約1年後、
50年6月30日に出演した時のライヴ。
この日の演奏を収録したものとしては、
The Last Bebop SessionというCDがありますが、
音源はそれと同じです。

1949年にTadd Dameronとの双頭クインテットで
パリを訪れたマイルスは、それからすぐに
ジャンキー街道をまっしぐらに突き進む。
マイルス曰く「アメリカの現実に落胆したからだ」と。

前年からの音楽的パートナー‥Tadd Dameronと、
ベースのCurley Russell、ドラムスのArt Blakeyによる
マイルスのカルテットに、
Fats NavarroやJ.J. Johnson、Brew Mooreらが
半ば飛び入りで参加しているといったふう。

Charlie Parkerも1曲だけ参加している。
この1週間後に亡くなるFats Navarroの演奏を
捉えたものでもある。

しかしよく聴けば、Art Blakeyが
凄まじいドラミングでマイルスを煽り、
それにマイルスが応戦するといったふうで、
そのカルテットの強固なチーム形成に
誰1人として入り込めない。

Art Blakeyのドラミングっちゅうのは、華がありますな。
そこが、これまでにマイルスと共演したドラマー‥
Max RoachやKenny Clarkeと違うところ。
“ラスト・ビバップ”とは即ちマイルスがブレイキーを
手に入れたことを意味し、ハード・バップの夜明け、
そしてKind of Blueまで突っ走る50年代が
スタートしたことを意味するのだった。