1. あの時君は若かった
作詞:菅原芙美恵 作曲:かまやつひろし
2. 花のサンフランシスコ
作詞・作曲:John Phillips
3. 青い影 
作詞・作曲:Gary Brooker, Keith Reid and Matthew Fisher
4. あなただけを
作詞・作曲:Darby Slick
5. もう一度 もう一度
作詞・作曲:かまやつひろし
6. ハイヒール・スニーカーズ
作詞・作曲:Robert Higginbotham
7. サニー
作詞・作曲:Bobby Hebb
8. 星空のマサチューセッツ
作詞・作曲: Barry Gibb, Robin Gibb and Maurice Gibb
9. タイム・イズ・オン・マイ・サイド
作詞・作曲:Norman Meade
10. デイ・トリッパー
作詞・作曲:John Lennon and Paul McCartney
11. イン・ザ・ミッドナイト・アワー
作詞・作曲:Wilson Pickett and Steve Cropper
12. いつまでもどこまでも 
作詞:佐々木ひろと 作曲:かまやつひろし

Originally Released Mar. 15, 1968

大阪出身のアマチュア・バンド、ファニーズはデビュー前、
メンバー全員がスパイダースのファンクラブに加入しており、
田邊さんは「もし上京するならうちへ」と誘うが、
時同じくして大阪のジャズ喫茶「ナンバ一番」で
共演したブルー・ジーンズの内田裕也から
ナベプロのオーディションを受けるよう勧められ、
彼らはこれに応じたのだった。
ファニーズは上京してナベプロのオーディションに
見事合格し、ザ・タイガースと名前を変えた。
以後の活躍は周知のとおり。

それでスパイプロダクションはこれに対抗し、
ザ・テンプターズを売り出すが、
皮肉にもこれがスパイダース人気急降下の
要因となってしまうのだった。
そんなわけでスパイダーズですら歌謡曲化していったのは、
背に腹は代えられない事情もあったのでしょうな。

 

 

1曲目に収録されている「あの時君は若かった」、
やいのかいのと云う人がいますが、
堺正章と井上順が、A Hard Day's Night
John LennonとPaul McCartneyみたいに
代わる代わる夫々の味を出してて、たまんない。
ひたすら甘い井上順を受けて、
堺正章がサビの部分をシャウトするところ、
苦味が利いてて、ちょっとだけ甘さもあるんだ。

その大ヒット曲に続いて登場するのが、
当時のフラワー~サイケデリック・ムーヴメントの
テーマ曲といってもいい、Scott McKenzieの
San Francisco (Be Sure To Wear Flowers In Your Hair)
日本では「花のサンフランシスコ」と題されたけど、
当時のシスコには髪に花を差した
裸足でニコニコして歩く長髪のヒッピーが、ごちゃまんといた。
あのThe Carpentersも、こうした中から生まれたグループだった。

それに続くのが、史上初のプログレ・ロック・バンドと称される
イギリス出身のProcol Harumの
67年のヒット曲A Whiter Shade of Pale
(邦題「青い影」)だ。
かまやつさんはすぐに「これはバッハだ」と気付き、
大野克夫さんのオルガンを前面に押し出した、
バロック調のアレンジに仕立てた。

他にもThe Bee GeesのMassachyusetts
The Rolling Stonesが歌ったTime Is on My Side
The BeatlesのDay Tripperから、
Bobby HebbのSunny
Wilson PicketのIn the Midnight Hourといった
R&Bのカヴァが居並んでいる。
こうした英米のシーン、Bobby Hebbまで取り上げちゃうシブさを
受け入れる余地が当時の日本になかったことが、
スパイダース最大の悲劇ではないか。