1. All I Really Want to Do
(Bob Dylan)
2. Black Crow Blues
(Bob Dylan)
3. Spanish Harlem Incident
(Bob Dylan)
4. Chimes of Freedom
(Bob Dylan)
5. I Shall Be Free No. 10
(Bob Dylan)
6. To Ramona
(Bob Dylan)
7. Motorpsycho Nitemare
(Bob Dylan)
8. My Back Pages
(Bob Dylan)
9. I Don't Believe You (She Acts Like We Never Have Met)
(Bob Dylan)
10. Ballad in Plain D
(Bob Dylan)
11. It Ain't Me Babe
(Bob Dylan)

Originally Released Aug. 8, 1964
Produced by Tom Wilson

Bob Dylanという人の名前を最初に知ったのは、
ガロの「学生街の喫茶店」で、更にその曲となると、
The Byrdsが歌ったMr. Tambourine Man
Jimi HendrixによるAll Along the Watchtowerであった。

House of the Risin' Sunはディランも歌っているが、
The Animalsのヴァージョンで知ったのだし、
それを「朝日楼」として歌っていた
ちあきなおみさんのほうを、
ディランよりも先に聴いた具合である。

同じようなことはSmokey Robinsonにもいえて、
The TemptationsのMy GirlGet Ready
The Beatlesが歌ったYou've Really Got a Hold on Meは、
耳に胼胝ができるほど聴いたというのに、
スモーキー当人の歌にはなかなか辿りつかず、
Carole Kingは、The Loco-MotionOne Fine Day
(You Make Me Feel Like) A Natural Womanだった。

そういえばユーミンを知ったのも、
ハイ・ファイ・セットの「冷たい雨」であり、
「まちぶせ」や「赤いスイートピー」だったな。

外側からそこへやってきた時に、
作り手や歌の魅力が高まるというわけです。

 

 

1962年12月中旬から約1ヶ月間、
ディランはロンドンを訪れていた。
The Beatlesは2枚目のシングルが発売直前、
The Rolling Stonesはやっと産声を上げたばかり、
Eric Claptonに至っては、ロンドンでも
知る人ぞ知るというだけの存在で、
結局ロンドンで何が起きているのかを見ずに、
ニューヨークへ帰ってしまったようだ。

だがそれから1年後、状況は全く変わった。
1964年2月7日、The Beatlesが
ジョン・F・ケネディ空港に降り立つ。
4人を乗せたパンナム機にはPhil Spectorも同乗しており、
ポップ・ミュージックの主役が入れ替わった瞬間を、
残酷にも映し出した。

Smokey RobinsonやBrian Wilsonがそうだったように、
ディランもThe Beatlesに衝撃を受けた。
Fab Fourに対する最初のリアクションが、
この4枚目のアルバムだ。
特に前作で露骨に表れたプロテストなテーマから一転、
My Back Pagesに見られるように、
そうした過去の自分を批判すらしている。

後のJohn Lennonがそうだったように、
「風に吹かれて」だの「時代は変る」だのと
歌ったばかりに、怪しげな政治団体とか運動家が、
ディランの名前を利用しようと、
言い寄ってきたのではないかと思う。
或いは抗議や脅迫めいた言動をしてくるヤツ。
それでアナザー・サイド‥別のことだって
やれるよというわけだ。

アルバム中4曲が、後にThe Byrdsによってカヴァされ、
ラストのIt Ain't Me Babe
The Turtlesのシングルで有名とあって、
知っている曲がじゃんじゃん出てくるから、
ヒット曲にはほぼ縁遠いディランなのに、
一種のベスト・ヒット集の様相を呈している。
ここがまた、ディランの面白いところだ。