朱野帰子さんの小説
「駅物語」を読みました。



東京駅を舞台に、新人駅員の女の子の
奮闘を描いたお話。
作者はちょっと前にドラマで話題になった
「私、定時で帰ります」の朱野帰子さん。

駅で様々なポジションで働く駅員さん、
運転士さんのお仕事の裏側を覗くことが
出来ます。

毎日毎日数えきれない膨大な人々を、
安全に、正確に、目的地へ運ぶために
神経をすり減らす一方で、
身勝手な利用客たちのぶつけてくる
クレームにも対処しなければならない。
体力勝負の仕事だし、ダイヤなどを
覚えたりと記憶力も相当必要。

電車ってこんな風に走らせているのですね。
何とハードな仕事なんだろう。
私だったら、とても務まらない。

特に、人身事故現場で駅員たちに
課せられた仕事は、目を背けたくなる
ような過酷さで、ただただ驚くばかり。

駅員さん、本当にお疲れ様です。

ところで、
「お客様に幸せな奇跡を起こしたい」
という主人公に対して、上役はこう言います。
「奇跡なんて起こさなくていい。
大切なのは何も起きないことだ。」

そうなのです。

そして、それは別に鉄道会社じゃなくても、
どんな職業でも言えること。

"何も起きない"ようにする為に働いて
くれている「誰か」が世の中には
いっぱい居て、私の"いつもと変わらない
日常"が保たれている。

そして、最近は仕事が何でもかんでも
AI化が進んでいるけど、
人が本気で取り組む血の通った仕事に
勝るものは無いのかも、と思いました。

働いている全ての人に有り難うって
言いたくなる。
そんな優しい気持ちになれるお話でした(*´-`)