新井素子さんの小説「おしまいの日」を読みました。



結婚7年目を迎える専業主婦の三津子は、
仕事浸けで毎日帰りが遅い夫・忠春の体が
心配でならない。
食べてもらえるか判らない夕食を毎日作り、
何時に帰るか判らない忠春を、ひたすら
待つ生活の三津子。
だが、当の忠春には彼女のそんな思いは
通じていない。
そんな中、三津子の心は徐々に壊れていく。
彼女の異変に気付いた友人は、忠春に忠告しようと試みるがうまくいかず、
やがて最悪の事態がやってきて…。

発表されたのが1992年と、随分昔の作品。
今は「働き方改革」の時代だけど、
当時はそんな時代ではなかった。
少し前に「24時間戦えますか」なんて
言葉も流行っていた。
今ほど女性が働き易くなっていない時代で、
専業主婦の女性も多かったと思う。

そんな時代の女性、三津子。

話の大部分は、寂しさを紛らわそうと書いてる彼女の日記を通して語られる。
忠春に依存していて、彼だけが生活の全てで、
自分の気持ちを圧し殺して過ごす三津子。
そりゃ、気がおかしくもなるよね。
彼女が徐々に病んで頭がおかしくなっていく
姿は、何とも痛々しくて不気味。
あまりに話が暗すぎて正直、読むのも止めたいくらいでした。

でも、エピローグの部分で・・・
誰にも理解されなかった三津子の胸の内が
明らかになった時、涙が出ました。

・・・本当の意味で、狂っていたのは誰?

何とも言えない余韻の残る作品でした(*´-`)