ジョナサン・ノット指揮、市日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートに行ってきました。
ホールは、ミューザ川崎でした。
フェスタサマーミューザ、3連荘3日目は、ガッカリとビックリから始まって、不安と期待が相半ばするコンサートでした。
プログラムは
マーラー 交響曲第7番「夜の歌」
アンコールはありませんでした。
7月29日、定価が上限のチケット販売サイトを見ていたら「ノット&新日本フィル」の売りが複数出ていました。
「えっ?」とミューザ川崎のWebを見たら「指揮者変更のお知らせ」が。
「えーーーっ!ミッキーのマーラー、しかも7番が聴きたくてチケット買ったのに・・・」と大ショック!
しかしピンチヒッター「ジョナサン・ノット」に「えっ、ノット?」と大ビックリ!
主催のミューザ川崎を本拠とする東響のシェフとしてホールの苦境を救ったんだと思います。
初めてフルオケで、プログラムが難曲マーラーの7番、ノットの男気に感激でした。
チケットは完売のコンサート、一部の人はチケットサイトに出品していましたが、すぐに買い手がついていましたし、ホールは見渡す限り満席でした。
オケは、ノットの意向に沿って対向配置でした。
出だしは、少しゆっくり目でノットはいつも以上に丁寧な棒でした。
応えるオケも棒に集中して、いつも以上に雰囲気が引き締まっているように感じました。
すみだトリフォニーホールではホーム故のリラックスできる環境だと思いますし、今日のミューザはフェスタサマーミューザぐらいでしか演奏する機会がないうえに、急な指揮者の変更、ピリピリしていたと思います。
しかし不安は第1楽章が始まって程なく払拭されたと思います。
ノットの動きは、いつも以上にしなやかで、腰低くオケ全体を包み込むように、滑らかな指揮に、オケも柔軟に応えていたように思います。
弦の各パートはとてもまとまりが良かったと思いますし、各Topのソロも素晴らしかったと思います。
ただ、五重奏には若干粗さも感じられましたが、難曲のマーラーの7番でたった3日のリハーサルで初めての棒についてゆく中では已むを得ないことかもしれないと思います。
VaTopはゲストの安藤裕子さん、ソロも素晴らしかったし、Vaパートのまとまりが良く内声部の充実につながっていたと思います。
スケルツォで乗ってきた演奏、第5楽章はスピード感あふれ、明快に振り分ける棒に合わせてオケはビビットに反応し、怒涛の大円団でした。
若干フライング気味でしたが、万雷の拍手とブラボーが鳴り響きました。
わかりにくいことに関しては定評のある7番ですが、ノットは明快に、見通し良く、混沌を感じさせることなく、とても良く整理した解釈でした。
モヤモヤとした、濃い霧の中を彷徨うような演奏とは一線を画す、からりと晴れあがった痛快な演奏でした。
カーテンコールでは、数回目にお約束の「オケが立たずに指揮者だけ」のシーンで、ノットが拍手に応えた後オケを立たそうとしますが立ちません、もう一度指揮者だけで拍手を受けて、オケを立たせました。
再び登場した時、またもオケは立ちません、ノットは綱を引くようなしぐさで立たせようとしますが立たないオケに諦め、拍手を受けた後でオケがやっと立ち上がりました。
儀礼的に指揮者だけに、というのは毎回目にする光景ですが、3度も立たないというのは初めて見ました。
オケとノットとのつながりを強く感じた光景でした。
降板の井上道義さん、7月20日の神奈川フィルとのコンサートでもしんどそうでした。
ピアノとの共演の後、ピアノに寄りかかって息を切らし、拍手もピアニストの松田さんだけで受けるように促し、ご自身はピアノに寄りかかって肩で息をしていました。
年内引退も已むを得ないのかなぁと思いましたが、その時から具合が悪かったのかもしれません。
おそらく井上さんが振る年内の公演は、オペラもコンサートも、チケット完売だと思います。
早期に快癒されて、また元気で愉快にオケをドライブする姿を拝見させて欲しいと思います。
スピード感あふれ、