小泉和裕指揮、東京都交響楽団のコンサートに行ってきました。

ホールは、ミューザ川崎でした。

 

フェスタサマーミューザ、三連荘の中日、プログラムは

 

モーツァルト 交響曲第40番

ブラームス  交響曲第1番

 

アンコールはありませんでした。

 

昨日と明日はチケット完売ですが、今日は当日券があったようです。

客席を見渡すとLAブロックに目立つ一群の空席がありましたがそれでも9割近い入りだったと思います。

 

プレコンサートでモーツァルトのフルート四重奏曲第1番が演奏されました。

先日の神奈川フィルの平尾さんLastプレコンサートとは違ってステージ上に聴衆としての楽団員がいない普通の姿でした。(笑)

演奏は、FL小池郁江さん、Vn伊東翔太さん、Va石田紗樹さん、Vc伊東裕さんでした。

「チケット片手にざわつく状況で聴かせせるの?」と勿体なく思うぐらいハイレベルのFLQuartetでした。

小池さんのFLが明るく、伸び伸びと、とってもモーツァルトらしい柔らかい響きでした。

 

本番の2曲も考えてみれば、凄いプログラムだと思います。

誰もが良く知る曲であり、有名曲故に個人個人で違った好みを持っている曲だと思います。

普通にやって当たり前、ちょっとでもミスすれば非難轟々、オケだって「何この指揮者」と馬鹿にします。

聴いてる人も、演奏する人も、良く知ってる曲だけに、文句言われたり、ケチを付けられることがあっても褒められることはあまりない損な組み合わせではないでしょうか?

 

という小賢しい懸念を、小泉さんは、上からグイと押さえつけ、文句どころかぐうの音も出ない圧倒的な演奏で払拭してくれました。

 

まず40番。

12型の小振りな編成で、演奏者間の椅子の間隔もぐっと近づけ、オケをコンパクトにまとめて配置していました。

ですが演奏は、小振りでも、コンパクトでもない、フルオーケストラによる、堂々とした、ガッチリとしたモーツァルトでした。

小手先の細工とか、目新しそうな理屈とか、一切抜きにした昔ながらのモーツァルトでした。

ややもすると、自筆譜を矯めつ眇めつ、あっちから見たり、こっちから解釈したり、奏法を弄ってみたり、いろいろな演奏を試みる方が沢山いらっしゃいますが、小泉さんにとってはどこ吹く風、モーツァルトはこれ!、という信念に基づいた演奏でした。

 

信念に基づいていることに関してはブラ1も同様でした。

奇を衒うことなく、小細工を施すことなく、揺るがぬ信念に支えられた力強い足並みで、堂々と、真正面から突き進んでゆく演奏でした。

痛快で、ずっしりとした重さが心地良い、これぞブラ1、でした。

昔と違うことをする方がもてはやされたり、昔は愚かしく今が正しいと勘違いしていたり、そんな風潮が見られる中で、言い訳する素振りもなく、今まで通りを貫き通す小泉さんの姿勢がとても気持ち良かったです。

 

個々の奏者でいえば、コンマス水谷さんのソロ、Obの鷹栖さん、Hrの西條さんがとても印象に残りました。

Cbに山本さんと池松さん、両首席が並ぶ姿には今日の本気度を感じさせられました。

 

今日は18時20分からのプレコンサートを聴きたくて、早めに川崎に到着しました。

ホールに入る前に「お茶を買おう」と同じビル内のセブンイレブンに入ったら、なんとVaの村田さんが私服姿でいらっしゃいました。

「今日は下り番なんだ」と思い、一瞬市ヶ谷のことなど声を掛けようかなと思ったのですが、プライベートの時間に話かけられたくもないだろうと思い自粛しました。

その後ふと「休みに日にわざわざ川崎まで聴きに来る?」との思いが頭をよぎりました。

演奏者が登場してきたら、黒いステージ衣装に着替えた村田さんがTopサイドに座りました。

本番前の忙しい、緊張した時間に声など掛けないで良かったです。(^^)