アラン・ギルバート指揮、東京都交響楽団のコンサートに行ってきました。

ホールは、サントリーホールでした。

 

先週に続きマチネで都響、今日は完売ではなかったようですが、平日昼間としては良く入っていたと思います。

 

プログラムは

 

マグヌス・リンドベルイ EXPO

エドゥアルド・トゥビン コントラバス協奏曲(ソロ 池松宏)

リムスキー=コルサコフ 交響組曲「シェヘラザード」

 

アンコールは池松さんのCbと吉野直子さんのHpのデュオで、スタンリー・マイヤーの「ディア・ハンター」から「カヴァティーナ 」でした。

 

先ずは、リンドベルイのEXPO。

次のトゥビンもですが、お二人とも初めて名前を聞く作曲家でした。

また、僕のレベルでは理解できない現代音楽が始まるのかと身構えていたら、調性もあり、メロディーもあり、テンポ感もオーソドックスでとっても聴きやすかったです。

何年か経って「聴いたことあるよね」と言われても覚えてはいませんが違和感なく聴ける曲でした。

 

続いて、コントラバス協奏曲。

コントラバスをソロで聴くことが滅多にないありませんし、ましてや協奏曲は初めてでした。

プログラムのインタビューで「マーラーの1番でのソロの方がよほど緊張する。」その理由として「協奏曲やリサイタルで上手くいかなかった場合、個人として批判を受ければよいわけですが、オーケストラ内のソロは、都響を代表して弾くプレッシャーがかかります。」と答えていらっしゃるのを読んで「なるほど」と納得しました。

まず、ピアノ椅子に座って弾くんだ、とビックリしました。

オケで弾くとき同様、ハイスツールに座るんだと思っていました。

Cbの演奏テクニックは全く分かりませんが、素晴らしい演奏だったと思います。

オケでは、Vcのオクターブ下を弾いていたり、ピッチカートしか思い浮かびませんが、コンチェルトでは幅広音域で、目の回るような早い指の動きで、弓遣いを見せてくれました。

単一楽章の曲ですが、第2楽章の最後のカデンツァは、こんな風にも弾けるんだ、と認識を新たにしました。

 

アンコールは吉野さんとのデュオ。

鳥肌が立つ素晴らしい演奏でした。

こんな演奏が聴けるならCbのソロリサイタルも聴きに行く価値があるなぁ、と思いました。

日頃はオケで縁の下の力持ち的存在のCbですが今日はメインとしてとても魅力的でした。

 

吉野さんのHpも心洗われました。

繊細で、多彩な音色で、Cbを引き立てる見事なデュオでした。

今日のHpの位置はイングリッシュホルンの隣、いつもの下手の隅っこではなく堂々とオケの中心に位置していました。

そのポジションがとても良く生きたと思います。

 

後半はシェヘラザード。

矢部さんのソロ、今更とは思いますが、それでも言葉を尽くして絶賛したい、素晴らしいソロでした。

清楚な姫を思い起こさせる、透明感の高い、繊細ながらもしっかりとした芯の通った、凛とした響きのソロでした。

そのソロが曲が進んでいくに従って艶やかな魅惑的な姫に変わってゆくのも興味深かったです。

Vcの伊東さんも負けず劣らず素晴らしいソロでした。

矢部さんに負けないぐらい伊東さんに感心しました。

プログラムやflierにはヴァイオリンソロしか名前が載りませんが「Vcも載せてあげてよ」と思う素晴らしい演奏でした。

 

吉野さんのHpがここでも生き生きと、矢部さんの、伊東さんのソロと絡み、より一層深い音の世界を創り出してくれます。

池松さんとのデュオといい、今日のコンサートの素晴らしさ、吉野さんに拠るところが大きかったと思います。

Hpのポジション、大正解だったと思います。

 

途中で、えっと思ったのがCbのTopサイドに池松さんがいらっしゃるのに気付いた時です。

オケメンバーがコンチェルトのソロを弾いて、その後オケに戻るのは珍しくありませんが、いらっしゃるとは思わなかったので微笑ましくビックリしました。

 

終演後、最後のカーテンコールで、矢部さんを立たせ、伊東さんを立たせ、吉野さんを立たせ、最後にCbパートにいる池松さんに手を差し伸べ、その時初めて気づいた方も多かったと思いますが万雷の拍手が送られていました。

 

それにしても素晴らしいシェヘラザードでした。

先週の「運命」とは違ったコントロールで都響が持つ力を最大限引き出していたと思います。

木管のソロも、Obの広田さん、Flとの松木さん、Fgの岡本さん、そして西條さん、緊張感に満ちた、素晴らしい演奏でした。

お互いが緊張感をもって刺激をしあいながら、オケとしては暖かな、豊かな一体感を醸し出す、ハイレベルな演奏だったと思います。

それを引き出したのはアラン・ギルバートですが、都響のポテンシャルの高さ、スケールの大きさも再認識できたコンサートでした。