Quartett α のコンサートに行ってきました。

ホールは、ルーテル市谷ホールでした。

 

コンサートがないときは、日本福音ルーテル教会の市ヶ谷教会礼拝堂として利用されているホールですが、今日は祭壇もなく、礼拝堂らしさは立派なパイプオルガンだけでした。

 

客席は少し寂しい状況で、400席に対してざっと見入りは3~4割でした。

都内では、昼夜関わりなく、曜日を問わす、大小のホールで数多のコンサートが開かれていますからねぇ・・・。

メンバーがオケのツッティ4人で、著名なソリストがいるわけでもなく、活発に活動しているQuartetでもないとすると、こんなものなんでしょうか?

勿体ない・・・。

 

メンバーは、Vn猶井悠樹・大和加奈・Va村田恵子・Vc清水詩織でした。

都響の美女3人とN響の組み合わせです。

 

プログラムは

 

モーツァルト  弦楽四重奏曲第18番

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第8番(ラズモフスキー第2番)

 

アンコールは、ベートーヴェンの交響曲第1番第4楽章の弦楽四重奏版でした。

 

まず、モーツァルト。

1stVnは大和さん、2ndVnが猶井さんでした。

礼拝堂だからといって天井が特別高いわけではなく、カテドラル教会のように天井から音が降り注いでくるわけではありませんでしたが、ウッディで、柔らかく、たっぷりとした残響の音が、心地よく包み込むように響くホールでした。

QuartetやTrioなど、少人数の室内楽にはぴったりのホールだと思います。

 

さて、四人の演奏は、誰かがリーダーシップを取ってグイグイ引っ張るというスタイルではなく、頻繁にアイコンタクトを取りながら即興的に進めてゆくスタイルでもなく、オーソドックスに、楽譜に忠実な演奏でした。

演奏に、スリルや斬新さを感じる部分はありませんでしたが、ゆとりのある、安定した、たっぷりと響かせるモーツァルトでした。

第3楽章の変奏も、それぞれ変奏ごとの色付けに工夫を凝らしながら、とても楽しいヴァリエーションでした。

 

後半はベートーヴェン。

1stVnが猶井さん、2ndVnが大和さん、前半とは入替っていました。

こちらも、いかにもベートーヴェンという演奏でした。

適度な緊張感を持った推進力ある演奏は、ベートーヴェンの楽譜のなせるところだと思います。

第2楽章のスタート、1stVnから2nd、Va、Vcと受け渡し、今度は逆にVcから順々に受け渡してゆく、息の合った緊張感はとても素晴らしかったです。

ラズモフスキーをCDで聴くときは、まとめて聴くことが多かったのですが、こうやって2番だけ取り出されてみると、いつもは聴き過ごしていることに気付かされ新鮮に感じる部分がいくつもありました。

 

アンコールでは、猶井さんが、今日のコンサートのサブタイトル「オケマンの室内楽!名曲にあこがれてVol.2」についてオケマンだからこその演奏を心掛けたと話して下さいました。

そしてアンコールは「オケマンだから」とベートーヴェンの交響曲第1番第4楽章の弦楽四重奏版でした。

まずは、フルオケの各パートを4人で、しかも3種類の楽器で演奏するんですから、それは大変でした。

1stはずっと弾きっぱなしだし、2ndもVaも「内声部ですよね」と聞きたくなるほどいろんな楽器のメロディーを割り振られ、滅茶苦茶大変そうでしたが、四人とも終始笑顔が絶えず、とっても楽しそうでした。

演奏が終わった時にはホールの客席からも笑顔と笑いが起るぐらい楽しいアンコールでした。

 

演奏家が楽しみながら演奏する姿って、客席まで暖かく楽しくしてくれます。

四人による、配慮の効いたとっても楽しく心温まるコンサートでした。