井上道義指揮、東京都交響楽団のコンサートに行ってきました。

ホールは、東京文化会館でした。

 

都響第999回定期演奏会、年内で引退する井上道義最後の都響定期でした。

 

最後ということもあってか、チケットは完売、ホールは満席でした。

 

プログラムは

 

ベートーヴェン   交響曲第6番「田園」

ショスタコーヴィチ 交響曲第6番

 

アンコールはありませんでした。

 

まずは田園。

指揮者の要望でステージを日頃よりも暗くしての演奏開始でした。

8型の小編成、指揮台も置かれていませんでした。

2ndVnとVaが場所を入替ったかたちの対向配置、Cbは上手のVcの後ろです。

コンマスは就任披露の水谷さん、サイドを山本さんが固めます。

2ndVn遠藤さん、Vaは店村さん、Vcは古川さん、Cbは池松&山本の首席コンビ、Fl柳原、Ob広田、Clサトー、Fg長、Hor西條、都響が誇る主席の各面々がずらりと顔を揃えました。

ただ、不思議なことにTimpは置いてるのに奏者がいません。

加えてTpもTbもステージ上に姿が見えません。

 

いつもより照明を落とした薄暗いステージで演奏が開始されました。

ミッキーの動きは、しなやかで、優雅に踊るような指揮振りです。

引き出される音は8型と小振りなだけに、引き締まったとても良い響きでした。

特に素晴らしかったのが、8型なので池松&山本の首席二人だけが並ぶCb、ズシッを響く重低音が大変に素敵でした。

ベートーヴェンの時代のCbはまだ発展途上、にも拘らず、こんなに上手に使っていたんだと感心しました。

 

第3楽章、トリオが始まる直前にTmp奏者が登場、TpとTbも一緒に登場しスタンディングでの演奏でした。

確かに、訪れる嵐とともに登場しても間に合いますから最初からいる必要は無いってことだったんですね。

初めて目にする粋な演出でした。

 

休憩を挟んでタコ6。

巨人の間に挟まれた奇妙な3楽章の交響曲、がこの曲の印象です。

その印象をより増幅させてくれる、とても印象深い演奏でした。

オケは通常配置に戻って16型、ピッコロに、イングリッシュホルンに、バスクラ、コントラファゴット、チェレスタまで、オールスターメンバーがステージ上に並びます。

田園よりも短い、30分程度の曲なのにこの編成、圧巻の眺めでした。

 

印象に残ったのはピッコロの小池さん、演奏終了後のカーテンコールでミッキーから最初に立たされたのも納得の演奏でした。

もう一つ印象に残ったのはバスクラ、大活躍でした。

 

重く苦しい第1楽章と弾けるような第3楽章、明と暗のコントラストの見事なまでの描き分け、ショスタコを手中に収めているミッキーならでは演奏でした。

第3楽章の最後ではほとんど棒を止めてニヤリと客席を振り返ったままでエンディングでした。

ミッキーらしい最後でした。

 

カーテンコールの途中でコソコソと遠藤さんがステージ袖に消えてゆきました。

最後だからお花を渡すんだな、と思って見ていたら、案の定、花束というよりは一抱えもあるような大型のブーケを抱えてミッキーの後を追って遠藤さんが登場しました。

しかし、遠藤さんの存在に気付いていないのか、気付かない振りなのか、指揮台の前で止まる素振りもなく、ズンズンとCbに向かって歩を進めます。

気が付いてもらえず後ろで戸惑いながらも、一旦立ち止まり、一二歩歩を進め、また泊まり、今度はぴょんぴょんと両足で飛んで背後に近づきます。

その仕草がとっても可愛く、えんかなさんに惚れ直してしまいました。

やっと気が付いたミッキー、大仰に驚くや大きなブーケとともにえんかなさんを抱きしめました。

プレゼンターを、しかも女性を、力一杯抱きしめてしまうなんて、ミッキー以外の誰もやらないだろうなぁと微笑ましく眺めました。

 

まだまだやれると思います。

これが最後とは思えない、弾むような歩きっぷり、矍鑠とした姿勢、勿体ないな~ぁ。