沼尻竜典指揮、神奈川フィルハーモニー管弦楽団のコンサートに行ってきました。

ホールは、みなとみらいホールでした。

 

新シーズン幕開けのプログラムは

 

ブルックナー 交響曲第5番

 

アンコールはありませんでした。

 

プレトークで登場した沼尻さん、印象的だったのはマーラーとの比較でした。

マーラーもブルックナーも演奏時間は長いけど音符の数が圧倒的に違う。マーラーは沢山の音符を繋げていけば音楽になり若手でもなんとかなる、一方ブルックナーは音符の数が少なく間をどうつないでゆくかがとても難しいと。

演奏時間も一楽章が20分ほど掛かるのでモーツァルトだと交響曲一曲が終わってしまう。

ただ、長いといっても80分、ワーグナーだと一幕に2時間かかったりするから、オペラの後にマーラーをやった時オケも「今日は短かったですね」という反応だったりする、と。

 

さて演奏は

どっしりと構えて、大きく骨格を構築してゆく、スケールの大きな演奏でした。

決してくどいわけでも、音が粘るわけでもありません。

管楽器群の活躍が目を惹き、Clの斎藤さんの演奏では何度も素晴らしい響きを聴かせてくれました。

 

Hrnの豊田さんも印象的でした。

長いフレーズのメロディーパートを吹くわけではないんですが、アクセントをつけるように要所要所で聞こえてくる音色は奥行きが深い、ふくよかで音でした。

 

歯切れよく軽やかな第3楽章のスケルツォに続き、重厚で大きく構える第4楽章、素晴らしいフィナーレでした。

第1楽章を思い出させる出だしから、第1・第2楽章の主題を回想し、第4楽章の第1主題のフーガ、展開部ではドッペルフーガに発展する演奏は、積み重ねるごとに大きさを増し、ブルックナーらしい荘厳で重なり合うような響きを聴かせてくれました。

最後は、各種の主題を再現しながらクライマックスを迎え、素晴らしいフィニッシュでした。

 

客席からのフライングブ拍手とブラボーの声援を両手で制し、再び訪れた静寂中、降ろされた両手の後はホールを万雷の拍手が覆いました。

最後はオケのメンバーが引っ込む中、沼尻さんが再度登場して拍手に応えていましたが、いわゆる一般参賀は神奈川フィルでは珍しいかったのではないかと思います。

ホールの全てを熱狂させる素晴らしいブルックナー故だと思います。

 

久し振りに生で聴いたブルックナーの交響曲第5番、沼尻さんから引き出された神奈川フィルの高いポテンシャルが印象的なコンサートでした。