東京春祭チェンバーオーケストラのコンサートに行ってきました。
ホールは、東京文化会館小ホールでした。
堀正文さんをコンマスに、Topサイドにミュンヘン・フィルコンミスの青木尚佳さん、2ndVnTopに枝並千花さん、驚いたのは2ndTopサイドに去年の音コン1位の水野琴音さん、VaTopはN響の佐々木亮さん、VcTopはソリスト佐藤晴真さん、Topサイドにベテラン藤村俊介さん、若手の精鋭にベテランを配した構成です。
管楽器群も、Flはソロも務める高木綾子さん、Obは元新日本フィルの古部賢一さん、FgはN響の水谷上総さん、Hrnは読響の日橋辰朗さん、Tpは東響の佐藤友紀さん、Tmpも東響の清水太さん、各オケの首席奏者を揃えた強力な布陣でした。
プログラムは
グリーグ 組曲「ホルベアの時代より」
モーツァルト フルート協奏曲第2番(ソロ 高木綾子)
モーツァルト 交響曲第41番「ジュピター」
アンコールは、交響曲第40番第3楽章、でした。
まずは、弦楽合奏でグリーグ。
名手揃いだけに、申し分のない弦楽アンサンブルでした。
堀さんと佐々木さんの掛け合いも息がぴったり、さすがN響Topコンビです。
グリーグとしては少し明るめの演奏だったかもしれませんがそれが堀さんの持ち味なんだと思います。
続いて、高木さんのソロ。
大変にお綺麗でした。
年齢を感じさせない美貌、若々しく衰えぬ美音とフレージングのフルートでした。
安定した音程で、長いフレーズもたっぷりの息遣いで不安なく聴かせてくれます。
モーツァルトの器楽のコンチェルトって、やっぱり当時は超絶技巧を駆使して聴衆を沸かせることが主たる目的だったんだな、と再確認しました。
音楽性を犠牲にしたような曲芸的演出が耳についてしまいました。
一息で、こんなに長く、こんなに沢山の音で、こんなに複雑なメロディーが吹けるんだぞ、って名人芸を見せてもらうより、余裕のある息遣いで美しいメロディーを聴かせてくれる方が嬉しいな、と思いつつカデンツァを聴いていました。
休憩を挟んでジュピター。
安定感抜群で縁の下でしっかり支えるFgの水谷さんが印象的でした。
オケで弦楽器が上手いことは最低限のことですが、演奏に厚みを加え、安定感を持たらすのは、低音域を支えるFgの出来いかんだということを改めて実感しました。
前列のObとFlは音が高く、華やかなソロを演奏することが多いですから、縁の下というよりも演奏全体を煌びやかに際立たせる役割を求められていると思います。
弦楽器・管楽器ともに、これだけ腕利きのメンバーが集まると、少ない人数でも濃密で充実感に満ち満ちた演奏が聴けるんだなぁと感心しました。
食い足りなさを感じさせない、満足感を存分に味わえる演奏でした。
演奏後、譜面をごそごそ入れ替えていましたので、アンコールをやるんだと判りました。
Clがいませんから、ジュピターの第3楽章でもやるのかな、さもなければ、管楽器にはお休みしてもらってディベルティメントでもやるんだろうかと思っていたら。40番の第3楽章でした。
なるほど、40番の楽器構成も41番と同じでCl無しでした。
推進力に満ちた、爽快、爽やかなアンコールで締められた、とても気持ちの良いコンサートでした。